花の月 壱蔭の日 カイの日記
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花月五日(晴れ)
今日はイェリと一緒に入学する王立薬学院の入学式だった。
師匠に無理矢理入学させられたけど、入ってよかったかも。明日からが楽しみだ。
入学早々に友達ができたしね。
同じ学科のアル先輩。
僕たちを案内してくれて、いろんなことを話してくれたんだ。
薬師として必要なことは師匠がすべて教えてくれたと思っていたけど、全然足りてなかったってわかったよ。だから師匠は僕とイェリをここに入学させてくれたんだね。
僕はここでたくさん学んで立派な薬師になるよ!
勝手に入学させられた恨みは忘れ物ないけど!
それにしても、ここに入学してもイェリは変わらない。怒りっぽいままだ。感情的になっていては、いい薬師にはなれないのに。
イェリは僕の妹分なんだから、僕がちゃんと面倒を見てやらなきゃ。
僕とイェリの入学させられた学科は違うけど、目標は同じ。師匠のような薬師を目指して修行しているんだから。受ける授業は違っても、薬師の基本は何も変わらないもんね。
物心ついてからイェリと別々のことをするのは初めてで、ちょっぴり不安だけど兄貴として妹分にそんな姿は見せられないしな。
師匠は「楽しんでおいで」って僕たちを送り出してくれたっけ。
うん。学校って初めてだから不安と期待でドキドキだけど、イェリとアル先輩と楽しい学院生活になるように頑張るよ。
……そう言えば師匠、魔術科主任のメディオル先生が師匠のうっかりをよく知ってるみたいだったけど、一体この学院で何やらかしたわけ?
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