七話
滅亡世界にビンタの音が響いた。
「どうして、志水圭兎君を見捨てたの!?」
ミレイ・レイシンは涙を浮かべながらトシカリ・ミソンジにそう訴えた。
「どうしたんだよミレイ。あいつに操られたか?」
トシカリは平然とそう言った。
「操られてなんかいないよ! あなたがおかしいんでしょう!」
ミレイは怒りを抑えそう言った。
「じゃあ、どうしたんだよ? あいつのこと別になんとも思ってなかっただろ? だから、操られているか洗脳されている以外無いだろ」
トシカリは平然とそう言った。
そのトシカリの態度にミレイは抑えていた怒りが爆発した。
「あなた、おかしいでしょう! 人を一人殺しているのよ! それなのに何も思わないって!」
「人? 俺がいつ殺したんだ? 志水は人の皮を被った化け物だろう? 化け物を殺して何が悪いんだ?」
ミレイの怒りはすぐに消えた。
なぜなら、トシカリは圭兎のことを人だと思っていないと分かったからだ。
「さ、ずっとここにいても何も始まらない。この世界を抜け出す手掛かりを探さないと」
トシカリはそう言った。圭兎のことを忘れて。
(一人の命を終わらせておいて、始まるも何も無いじゃない)
とその場にいるトシカリ以外のみんなが同じことを思った。
「あ! この世界で暮らすには武器を手に入れないとな! ちょうどここに博物館があるし」
トシカリは突然そう元気に言った。
だが、みんなは無言でトシカリの言うことにを聞いて博物館に入った。
「すごい、量だな。よし。皆、この博物館内は別行動だ。広いしな。解散」
トシカリはそう言ってその場からいなくなった。
「……」
みんな無言だった。
「さて、それじゃあ私達も別行動ね」
気まずくなりミレイがそう言うと皆、ばらけていった。
トシカリよりみんな、早く元の場所に戻っきた。そして、雨美達以外のみんなそれぞれの武器を持っていた。
エリカ・タンダクは細剣。
ミレイは短剣。
ミリカ・リンジカはライフル。
クラル・エルザはスナイパーライフル。
蘭駆鏡子は日本刀。
すると、トシカリが帰ってきた。
「お? みんな早いな」
トシカリはエリカと違う形の細剣を持っていた。
「さて、ここから移動するか」
とトシカリは言った。みんながその後についていった。
トシカリ達はしばらく、歩いていた。
「少し休憩入れようか」
トシカリがそう言うと皆この場から少し離れたそれぞれの場所に座って休憩していた。
現在トシカリ達がいる場所は武器を手に入れた、博物館から二、三キロ離れた場所だ。
それから、小一時間休憩を入れてまた、歩き出そうとした瞬間に地響きがした。
「な、なんだ? 地震かな?」
トシカリは思ったことをそのまま、口に出した。すると、美佐が
「いいえ。違います。これは、何か大きなものが落ちた音です」
と静かにだが、早口にそう言った。
すると、トシカリが
「少し、様子を見に行こう」
と言って一人で駆け出して行ったので残りの皆がそれに走って付いて行った。
少し、走るとトシカリは急に止まった。
皆がトシカリに追い付いてすぐに絶句した。
なぜならそこには、数え切れない程のゾンビとモンスターがいたからだ。いやそれ以外にも、大きな影があったからだ。皆はその影を見て絶句している。
その影は、十メートルぐらいの大きさの機械だ。
すると突然、機械が四足歩行で動いた。
そして、トシカリ達を見た。
「っ!? ぜ、全員戦闘態勢の用意を」
トシカリは驚き、このままではどうせ皆、殺られると思いそう指示を出した。
皆、トシカリと同じ思いだったので、そのトシカリの指示に皆従って戦闘態勢に入った。
「まずは、神様の二人とミリカとクラルの遠距離攻撃で僕たち皆が通れる道を作り、敵に突然しよう。それで良い?」
とトシカリは作戦の概要を早口で教えてこれで、良いかと皆に聞いた。
すると皆、頷いたのでトシカリは「作戦開始‼︎」と言った。
そして、化物との戦いが始まった。
神達はトシカリに指示された通りに動いた。
そして、トシカリ達も苦戦を強いられながらも作戦通りに動いた。
ゾンビを過半数倒した。そして、モンスターも三割を倒した。
その状況を見たトシカリは
(よし。いけそうだ)
と油断した。
だが、その油断がある物が動いていることに気付かなかった。
あの、四足歩行の機械が動いたのだ。
そして、その機械から出てきたのがゾンビや、モンスターだった。
「っ!?」
トシカリは、機械の中が見えたので見てみるとそこには、減らした数の倍いや、それ以上のゾンビとモンスターが入っていた。
その様子を見たトシカリは、
(もう、自分達は勝てない)
と理解した。