五話
翌日、圭兎は朝になってすぐに目が覚め起きた。
「んぁぁぁぁ…さて、何をするか」
圭兎はまだ少し眠気が残っていたので伸びをしてからそう言った。
とりあえず、今日は少しで元の世界に戻るための情報を集めなければな。
圭兎はそう考えた。
「おはよう! 圭兎! えっ、ちょ…」
弧卯未は挨拶をしたが、圭兎の様子を見て驚いた。
なぜなら、圭兎は目の下にくっきりとクマが出来ていたからだ。
「昨日、何時間寝たの?」
弧卯未が圭兎にそう質問した。
その言葉に圭兎はこっちの世界での三日前の希楽夢との会話を思い出しこれからの事を決めた。
「そんなことどうでもいいからこれからの事が決まったぞ」
圭兎は弧卯未がしてきた質問をそらした。
「どうするの?」
「先に雨美を起こして来い」
圭兎は弧卯未が聞いたが、すぐに一人足りない事を思い出し指示を出した。
「わかったわ」
弧卯未は了承した。
「で、これからどうするの?」
弧卯未はすぐさま雨美を起こしてきてそう圭兎に聞いた。
「ひとまず、初瀬川を元の世界に帰すための方法を探る。そして、初瀬川を元の世界に帰したら俺と雨美が元の世界に帰る方法を探る。以上だ。質問は」
「はい」
「なんだ初瀬川」
圭兎がこれからする事を二人に話し質問を募ったら弧卯未が手を挙げたので圭兎はすぐさま当てた。
「どうしてみんなで帰る方法を探らないの?」
弧卯未は至極当たり前のこれからを聞いた。
「そんな都合のいい事があるわけ無いだろ」
圭兎は平然と答えた。
「それだったらあたしも帰らないよ!」
弧卯未はいきなり声を荒げてそう言った。
「はいはい、わかったから。じゃあ、俺たちも一緒に帰る方法を探す。これでいいな?」
圭兎はそう言った。すると、弧卯未は
「よろしい」
と先生ずらして言った。圭兎はその弧卯未の姿を見てめんどくせぇと思った。
早朝から時間が過ぎもう昼前だ。
「何も進展ないな」
圭兎は伸びをしながらそう言った。
「まぁ、仕方ないよ」
雨美は圭兎の背中を軽く叩きながらそう言った。だが、雨美の内心はすごく謝っていた。
「確かにね」
弧卯未は雨美が半泣きになっているのに気付かずそう言った。
「まぁ、もう少しで昼だし昼食を食べよう…いや、今の無しだ」
圭兎が食べようと言おうとしたが、途中で言葉を切ったので不思議に思い雨美と弧卯未は圭兎が向いている方を見て絶句した。なぜなら、人間の形をしているが人間ではない生物がいたからだ。そう、ゾンビだ。
「う……そ……」
弧卯未はゾンビの存在を圭兎から聞いていたが信じていなかったのでゾンビが本当に現れたのを見て驚き腰を抜かし立てないでいた。
「ちっ! 雨美! そいつを連れてどこかに隠れていろ!」
圭兎は雨美に指示を出した。だが、雨美は
「たった一体です。圭兎さんならなんとかできるでしょう」
と言った。圭兎は「やはりな」と思った。
なので圭兎はすかさず言った。
「お前に見えないようだが一体じゃない。五体はいる。俺はこの剣、妖刀罪殺がいるおかげで分かるがな。だから、走って遠くへ行って早く隠れろ。良いな」
圭兎は静かに雨美だけに聞こえる声でそう言った。
「分かりました。どうか、ご無事で。必ず助けに行きますから」
雨美はそう言って走り去っていく。
圭兎はその後ろ姿を見送った。そして、圭兎は
「ご無事でか…。それはどうかな?」
圭兎は腰に掛けてある鞘の中から妖刀罪殺を抜き放ち、一人で十五体以上のゾンビの群れに挑んでいった。
「っ‼︎」
ゾンビの群れと戦い始めて五分がたった。
圭兎は苦戦している。
なぜなら、ゾンビを数体殺した後に増援が現れたからだ。増援がゾンビだけならまだ良かった。しかし、その増援の中にはスライムや現実世界に存在しない獣の姿をしたモンスターなどが混ざっていたからだ。
「これは、本格的にヤバイな」
圭兎は苦笑しながらそう言った。
そして、何か勝つ方法は無いかと考えた。
圭兎は今まで滅亡世界であったことを思い出していった。
そして、夢の世界で水川忌楼に言われたあることを思い出した。
(あったな。勝てる唯一の方法が)
圭兎はそう思いすぐさま行動に移した。
罪殺で指に刃を当てて少しだけ血を出した。
「罪殺! 力を貸せ! 血が足りないならもっとくれてやる!」
圭兎はそう言い罪殺の柄に力を入れた。
すると、今まで藍色だった圭兎の服が一瞬にして漆黒になった。
罪殺は黒色だったが赤黒い色になった。
「いくぞ!」
圭兎はものすごい速度で敵に向かっていった。
一体、二体、三体とことごとく倒していく。
そして、十秒もしない内に敵を全滅させた。
「さて、雨美らを探しに行くか」
圭兎はそう言って罪殺の力を解き、雨美達を探し始めた。
圭兎が雨美達を探し始めてから時間が過ぎて、夕時になった。
「あいつらどこに行ったんだ?」
ゾンビを殺した時から今までずっと探していたが、どこにもいなかったので圭兎はそうつぶやいた。
すると、近くに森があった。
(もしかしたら、ここにいるかもな)
圭兎はそう思って森の中に入っていった。




