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滅亡世界 前編  作者: 紙本臨夢
第五章
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二話

 まず最初に圭兎が見つけた服屋に入ることになった。

 この場に居るのは圭兎、雨美、美佐、エリカ、トシカリ、ミレイ、ミリカ、クラル、鏡子、希楽夢、弧卯未、颯華の十二人だ。

 沙羅は颯華が目を覚ますのと同時に、なぜか、希楽夢の中に戻っていった。と圭兎はトシカリ達から聞いた。

 皆はなぜか、知能があるゾンビとの戦闘があったのに全く疲れていない。

 むしろ、元気になっている。

 圭兎はその服屋にあった服を三枚試着してみた。

 圭兎の服は全て、長くて自分の身長に合わないくらいの長さだ。

 圭兎は試着してみた服を()った。

 トシカリは服を五枚ほど試着してみる。

 トシカリの服は全て、シンプルで清潔感がある服だ。

 女子達はというと仲良く遊んでいる。

 トシカリはそれを見ながら、その服屋のレジまで行きお金を置く。

 そして、トシカリはその三人に近づくが、少しだけにして、女子達の邪魔にならないような場所に移動する。

 そんな女子達とトシカリを、横目で見ながら、圭兎は、トシカリがレジに置いたお金を回収して、少しだけこの服屋を出た。

 そして、圭兎は服屋の出入り口の目の前にある長椅子に座った。

 トシカリはそんな圭兎を見て呆れながら近づいてきた。


「男は女性の荷物持ちする役目なんだけどな」


「知ってる。だが、あいつらの買い物はまだ、長引きそうだろ」


 トシカリの言葉に圭兎が返すと、トシカリは


「意外だな」


「そうか? 普通じゃないか?」


 圭兎は少しだけ打ち解けた雰囲気で、トシカリに言葉を返す。

 そんな圭兎の雰囲気に、トシカリは気づかずに、今度は心の中で「意外だな」と呟く。

 トシカリは圭兎は荷物持ちをサボるために女子達から離れたと思っていた。


 その二人の様子を見て美佐は


「よかった」


 と安心する。

 だが、今の自分達の状況は、美佐にとって全然安心出来ない。

 なぜなら、雨美、美佐、颯華以外の全員が三人の敵になったからだ。

 雨美達の心情はそうだが、周りから見ると仲良く遊んでいるようにしか見えない。

 今の雨美達の状況は雨美、美佐、颯華の三人をエリカ、ミレイ、ミリカ、クラル、鏡子、希楽夢、弧卯未の八人が色々な服を着せている。

 三人にとって八人の目は野獣の目にしか見えない。


「次はこれにしましょうか」


「いいね。それにしよう」


「それよりここは普通の服屋よね? よく、こんな服が置いていたね」


 クラルがそう提案するとミレイとエリカが反応した。

 鏡子と希楽夢と弧卯未は、三人の目を隠している。


「さぁ、試着を始めるよ!」


 ミレイがそう言うと全員がキビキビ動き出した。

 まず、クラルとミリカが三人分のクラルが持ってきた服を集める。

 鏡子と希楽夢と弧卯未は三人を試着室に入れる。

 すると、クラルとミリカが服を集め終わり中に入る。

 それを見たミレイは、エリカに指示して、二人で圭兎とトシカリの元へと向かう。


 圭兎とトシカリは話すことが無くなり二人共ぼっとしている。

 すると、ミレイとエリカが来た。

 トシカリの方にミレイが向かう。

 圭兎の方にはエリカが来た。


「なんだ? この場所での買い物は終わったのか?」


「ううん。まだだよ。でも、圭兎に少しだけついてきて欲しいの」


「いや、遠慮しとく」


 エリカの頼みを圭兎は断る。

 すると、トシカリも圭兎と同じ頼みをされとのか


「良いじゃないか。行こうよ」


 と圭兎に言う。


「お前らだけで楽しんどけよ。俺は疲れた」


「圭兎にも来て欲しいの。お願い!」


「僕達からも頼むよ」


 そう言ってトシカリとミレイとエリカが頭を下げたので居心地が悪くなり「わかった」と嫌々だが頼みを承諾して頭を上げさせて三人について行った。


「それで、俺に何しろと言うんだ?」


「服を評価して欲しいの」


「そんなの、ミソンジだけで良いだろう。まぁ、ここまで来たしやるけどさ」


 圭兎とエリカは試着室の前で、そんな会話をする。

 すると、着替え終わったのか鏡子、希楽夢、弧卯未が試着室から出てくる。

 悪い顔をしていた。

 そんな、三人がトシカリを見ると少し驚く。

 それから、圭兎を見ると更に驚く。


「さぁ、出てきて」


 ミレイがそう言うと試着室から雨美、美佐、颯華が出てきた。

 すると、すぐに圭兎と目が合い試着室の中に三人共入ろうとしたがミリカ、クラル、エリカにそれぞれ満面の笑顔で


「逃げちゃダメだよ」


 と言われる。


「さぁ、評価をどうぞ! トシカリ君」


「うん。似合っているよ」


 トシカリは三人のゴスロリ姿を見てそう評価する。


「ありがとうございます」


 美佐は三人を代表してそうお礼を言う。


「さぁ、評価どうぞ! 圭兎君」


「良いと思うぞ」


「その理由は?」


 ミレイがそう聞くと、どうして俺だけこんなに掘り下げられているんだ? と圭兎は疑問に思ったが答える。


「三人共その姿だったら、(わたくし)は神ですとか(わたし)は武器ですとか言っても中二病みたいだから」


「それは…褒めてるの?」


「俺は一応そのつもりだが……。それに、中二病みたいだったら人間だということだ。つまり、この三人が神や武器だから話しかけ辛いと思っている奴でも普通に話しかけれるしな」


「っ⁉︎」


 圭兎がそう言うと、その場に居る圭兎とゴスロリ姿の三人以外が、息を飲んだ音が聞こえた。

 圭兎とトシカリはその後に、服屋でしばらくの間全員の服装の評価を言わされていた。

 トシカリは、全て真面目に答えていたが、圭兎は、全て適当に答えた。

 服屋で皆、それぞれの服を三着から五着ほど買っていた。

 もちろん、払っていったお金を、全て圭兎がバレないように回収した。

 次は靴屋に向かった。

 靴屋でも雨美と美佐と颯華は着せ替え人形にされていた。

 靴屋では評価を言わされないでいた。

 靴屋で皆、それぞれの靴を一足から二足買っていた。

 圭兎は靴屋で女子達がヒールなどおしゃれな靴を買うと思っていたが、すぐに動ける運動靴を買っていた。

 だが、その代わりに、トシカリがハイカットスニーカーを買っていた。

 服屋と同様に、トシカリ達が置いていったお金を圭兎はバレないように回収する。


「さて、最後に食料品を()うぞ」


 誰にも盗ることがバレないように、圭兎はそう言う。


「そうだね。食料品が無くなりそうだしね」


 トシカリはそう言う。圭兎はそれで少し罪悪感を覚えた。


「えっ…と……どこに食料品売り場があるんだ?」


 圭兎は小声でそう言い、近くにあった店内マップを見た。

 その店内マップで食料品売り場の場所を探す。


「このまま、真っ直ぐ進むと着くみたいだな」


 圭兎はそう言い歩き出す。


「あっ……」


 誰がそう呟くと突然、ショッピングモール全体に明かりが点いた。


「っ⁉︎」


 突然のまばゆい光に、皆、目を潰されそうになった。

 なぜなら、今は、この世界に来て九日目の夜だからだ。

 つまり、圭兎が暴走した日の翌日。

 今まで、このショッピングモールは、懐中電灯も使わずに買い物していた。

 夜だから、普通は暗くて前が見えないが、なぜか皆、普通に見えていた。

 そんな目にショッピングモールの明かりは、閃光弾のような眩しさだ。

 皆、しばらく目を瞑っていた。

 慣れたので皆、目を開ける。


「誰? 間違えて明かりを点けたのは?」


 ミレイはそう皆に聞く。

 すると、トシカリが申し訳なさそうに手を挙げる。


「トシカリ君……。貴方はいつも」


「わ、悪い」


 ミレイの呆れた顔にトシカリは申し訳なくなり謝った。


「さぁ、先に進むぞ」


「えっ⁉︎」


 圭兎が先に進むと言うと皆、驚きのあまりに声を上げる。

 その声を聞こえていたがあえて聞こえてないフリをして先に進む。



「ちょっと待って‼︎」


 そろそろ、食料品売り場に着く場所まで進むとエリカがそう言い、皆を止めた。


「なんだよ?」


「これ」


 圭兎が聞くとエリカは、自分の右隣を指差して言う。


「これって?」


 圭兎はそう言いながらエリカが指を差した方を見た。

 すると、そこには、店内の明かりより少し明るいマネキンが置いてあった。


「下着売り場か」


 圭兎の言った通りそこには、下着売り場があった。

 ちなみに男性の下着売り場は女性の下着売り場を通らないと行けない。

 確かにここ以外はどこにも下着売り場が無かったなと圭兎は思い出しエリカが言いたいことを理解した。


「じゃあ、ちょっと行ってくるわ」


 そう言い圭兎は女性の下着売り場に近づいて行った。

 そして、女性の下着売り場の中に入って行った。

 もちろん、目を瞑りながらだが。

 エリカ達八人は、そんな圭兎を茫然(ぼうぜん)と見ている。

 雨美達三人は、その状態のエリカ達を見る。

 エリカ達は圭兎は目を開けながら堂々と女性の下着売り場に入って行ったと思っている。


「痛っ⁉︎」


 エリカ達は、男性の下着売り場の商品棚に頭をを強くぶつけてそう言った圭兎を見て、やっと、目を瞑って向かったと理解した。

 すると、突然、あることを決心して圭兎は腰の鞘から妖刀罪殺を抜く。

 そして、妖刀罪殺を店の壁に刺し、人が一人通れるぐらいの大きさの縦の長方形の形にした。

 それで、店の壁に通路が出来た。

 圭兎は、その通路を通り、皆の元に戻った。


「ミソンジ。お前は俺が今、通ってきた道を通れ。すると、直接、男性の下着売り場に着くぞ」


「わ、わかった」


 突然圭兎に話しかけられて、トシカリは少し戸惑ったがちゃんと返事をする。


「あっ⁉︎ そうだ、雨美と美佐と颯華は今回は自分の中好きなように選んで良いよ。さすがに、下着までは干渉する気無いし」


 なぜか、突然、思い出しミレイは三人にそう言う。


「それでしたら、圭兎さん。貴方が(わたくし)の下着選びに付き合ってください」


「はぁ⁉︎」


 何を思ったのか美佐が圭兎にそう言ったら、圭兎が一番最初にそんな反応をしたが、後から他の者もそんな反応する。


「いやいや、さすがにそれはおかしいだろう」


「圭兎の言う通りよ! どうして、男の圭兎に頼むの?」


「そうですよ‼︎ 神界でも貴女は自由奔放な方でしたが、ここに来てまで自由奔放にしますか? 普通」


 圭兎の言葉にエリカと雨美が続くと美佐は「そうなの?」みたいな驚いた顔をした。

 だが、


「それでしたら、この滅亡世界でも私は自由奔放にしますね」


 と美佐は諦めない。

 その光景を見兼ねたのかエリカと雨美以外の他の女子も美佐の説得にかかる。

 それから、数分後。美佐は説得された。

 美佐は自分で下着を選ぶことになった。

 それでひとまず安心して、自分が作った通路を通って、圭兎は男性の下着売り場まで来て、すぐに、自分の下着を選んで()った。

 圭兎はそれで、下着売り場の前に戻る。

 すると、圭兎の予想通り誰も居なかった。

 さすがに、この店ではお金をバレずに回収をしないことにした。

 なので、圭兎は、皆を、下着売り場の前で待つことにした。

 もちろん、下着売り場とは逆の方向を向いてだ。

 それから、数十分後。皆は戻ってきた。

 女子達は今まで行った店の荷物は、全て圭兎とトシカリに持たせたが、さすがに、今回はどっちにも持たせずに自分で持つ。

 だが、雨美と美佐と颯華が圭兎に買った物を、渡そうとしたが、圭兎を含めての三人以外の全員に止められて自分で持つ。


「このまま、真っ直ぐ行くと食品売り場に着くぞ」


 忘れてたら困るので念のために圭兎が皆に言った。

 しばらく、歩くと食品売り場に着いた。

 すると、今まで、ミレイやエリカやクラルの言われる通りに動いていた鏡子や弧卯未達が元気に動き出した。

 着せ替え人形にされてた三人と自分の意思で着せ替え人形にしてた三人も元気に動き出した。

 その中にはトシカリも混ざっていた。

 圭兎は皆を見送ってからゆったりと動き始める。

 圭兎は今、食品売り場のお酒売り場に居る。

 もちろん、飲むためのお酒では無い。料理するためのお酒だ。

 だが、圭兎はそんなお酒などを見ずにずっと、床を見ている。

 床にはゾンビの死体がゴロゴロと転がっている。

 圭兎はそのために床を見て不思議に思っている。

 どうしてだ? 俺はここに来てない。多分、あいつらも。もしかして、この滅亡世界に生き残りが居るってことか? だが、このゾンビの死体の様子から見ると戦闘慣れしている。それに斬り落とされた首の断面を見ると俺達とよく似た武器。だが、刀館という名前なのに刀以外も大量にあった。だが、鍵が掛かっていなかったのはこの妖刀罪殺だけだった。あいつらが武器を盗ってからもう一度、刀館に行ってみたが武器が置いてなかったのは俺達の武器を持っている人数と一緒だった。しかも、刀館を見に行ったのは一昨日だ。

 圭兎は頭の中でそう考える。

 とりあえず、圭兎はお酒売り場を出た。

 何も盗らずに。

 というより盗れる状態では無かった。

 なぜなら、ゾンビの死体で足の踏み場が無かったからだ。

 ゾンビを踏むのに抵抗があった圭兎は盗らずに出てきた。

 しばらく歩くと、食料を買い終えた皆に集合した。


「圭兎さん! いっぱい買ったから明日に色々料理を作ってね!」


「あぁ」


 ミリカの言葉に圭兎は生返事をした。

 さっきのお酒売り場のことで圭兎の頭はいっぱいだ。

 考え事をしながらショッピングモールを歩いているといつの間にか出口に着いていた。

 外に出ると丁度、朝陽が昇ってきていたところだ。


「わぁ‼︎ キレイ‼︎」


「確かにね」


「このショッピングモールって丘の上だったんだね」


 皆、朝陽を見て口々に感想を言っていた。

 だが、圭兎はずっと、あのお酒売り場の状態を考えている。

 そのおかげで、皆が向いていることに気づかなかった。


「ん?」


「圭兎さん。この朝陽を見ての感想は?」


「久々に見る朝陽はキレイだな」


 圭兎は適当に流した。

 すると


「っ⁉︎」


 突然、頭に何かを感じて、圭兎は、その何かに吸い取られるように、その何かを感じた方向にフラフラと向かっていく。

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