一話
圭兎がトシカリ達と一緒に行動しないと決めたがいつの間にかトシカリ達はストーカーのように付きまとっている。
トシカリ達を巻くために突然圭兎が走り出す。
「ふぅ……巻けたか」
圭兎はそう言い走ったために額から流れてきた汗を拭う。
そろそろ夜になるな。どっかから、食料を盗って来よう。
圭兎はそう思い近くにあった店に入る。
だが、入った瞬間にそこは知能が無いゾンビの巣窟だということに気づいた。
なぜなら、ゾンビがたくさん圭兎の方に向いたからだ。
圭兎はそのゾンビの群れに立ち向かう。
妖刀罪殺を腰の鞘から勢いよく引き抜く。
この店内のゾンビの群れはそれで全滅してしまった。
なぜなら、鞘から勢いよく引き抜いた瞬間に妖刀罪殺に飲み込まれた時のように衝撃波が起きて知能の無いゾンビ達は避けることもせずにその衝撃波に飲み込まれたからだ。
圭兎はそんな自分の力を見て最初は戸惑ったがすぐに俺は化物だなという結論に至り納得した。
圭兎が今いる場所はショッピングモール。
ゾンビ達がいなくなって圭兎はすぐにそう理解した。
圭兎はとりあえず食品売り場でなく色々な他の店に入ることにした。
まず、最初に行くのは服屋。
なぜ、服屋かというと服を洗っては着るを繰り返しているから服がボロボロになってきているからだ。
どれにしようかな? あっ、俺だけが新しい服はダメか。
圭兎はそう思いその服屋を出る。
服屋を出ようとした時に圭兎は服屋にいたゾンビに襲われかけたが妖刀罪殺を勢いをつけないで腰の鞘から引き抜くが妖刀罪殺を振るうとさっきと同じように衝撃波が出てきてそのゾンビは死んだ。
圭兎はしばらく歩いてから本屋を見つけたので次は本屋に行った。
本屋では本を数冊盗った。全てバラバラのジャンルだが。
圭兎はそれでその本屋を出た。
しばらく歩くとショッピングモールの中心地的な場所に着くと上からゾンビ達が降りてきた。
「久しぶりに生きている人間に会ったな」
ゾンビの一人がそう言う。
「確かにそうね。私達の仲間に入れましょう」
さっきとはまた別のゾンビがそう言う。
すると、周りの他のゾンビが「そうだそうだ」と皆一斉に言う。
「クソ‼︎ こんな数の知能があるゾンビの群れがいるとはな」
圭兎はそう言いながら腰の鞘から妖刀罪殺を勢いよく引き抜く。
それでさっきと同じように衝撃波が出たが全てのゾンビに避けられる。
今日で何回目だろうなこいつを鞘から引き抜くのは。だが、今日初めてまともな戦闘が始まる。それに誰か一人は死ぬだろうと思ったがまさか、全員に避けられるなんて予想してなかった。
圭兎はそう思いながら知能があるゾンビ達を見る。
知能があるゾンビの群れは今までは二十代前半の男性しかいなかったがこの場所は老若男女、全て居る。
若いゾンビは最低五歳。歳をとっているゾンビは最高百歳は超えている。
だが、皆二十代前半の男性と同じ動きをしている。
それを見て圭兎はこれは大変だなと思い、気を引き締める。
そして、老若男女のゾンビ達に立ち向かう。
「ステータスアップ」
男性の一人がそう言うとその男性の速度が圭兎でも目では追えない速度になる。
それを見た知能がある他のゾンビ達も同じことを言う。
すると、やはり最初にその言葉を言った男性と一緒で圭兎でも目では追えない速度になる。
圭兎は目で開けていたら混乱すると思い、目を静かに閉じる。
「チャージスピード。バージョンアップ」
そう圭兎は言うとゾンビ達よりも速度が速くなる。
さらに
「俺にあいつらを楽に死なせれる力を」
と言うと多種多様な武器が沢山出てきた。
圭兎はその中から一本だけ手に取った。
圭兎が手に持ったのは少しだけ曲がっている西洋剣。
他の多種多様な武器は全て圭兎の周りに浮遊している。
「妖刀罪殺剣士形態 罰」
圭兎がそう言うと身体中がいつもの赤黒い鎧に包まれて、さらに、その赤黒い鎧の上に薄い黒色の膜が張る。
発した言葉は全て圭兎の頭の中に泡のように浮いていた字。
圭兎は足を踏み込み瞬時に地面を蹴る。
すると、圭兎は今まで感じたことの無い速度で移動する。
知能があるゾンビ達の速度も今の圭兎には遅く見える。
すると、突然頭の中で電気を発する。
圭兎はその痺れるような痛みで少し目を瞑る。
目を開けると目の前は真っ白になっていた。
だが、赤黒く光っている場所が数箇所ある。
圭兎はなんとなくその赤黒く光っている場所を数える。
すると、パッと見の知能があるゾンビ達の数と一緒だ。
この赤黒く光っている場所は敵の位置を知らせているのかと圭兎は理解して赤黒い光りの一つに向かって妖刀罪殺を振るった。
すると、何かを斬った感触があった。
それで圭兎は赤黒い光は敵の位置をを知らせているという自分の予想が合っていたので少し安心する。
その後も圭兎は赤黒い光りを斬っていった。
全ての赤黒い光りを斬ったので圭兎は「一部解除」と言う。
すると、圭兎の視界が真っ白だったのが現実と同じ色で色づく。
だが、ほとんど赤。
圭兎はその赤の量を見て敵を全て殺したなと思う。
だが、倒れていたはずの敵が全員起き上がる。
「まだ、生きているのか?」
誰も答えてくれないと思っていながらも圭兎はそう呟く。
だが、予想に反して圭兎の疑問に対してかはわからないが返事をする者が居る。
「気を抜くな‼︎」
その声を聞いて驚き、圭兎は声が聞こえた方に振り向く。
すると、そこには意識をいつの間にか意識を取り戻して普通に歩いている颯華と圭兎にストーカー紛いのことをしていたトシカリ達が居る。
そして、圭兎に叫んだのはトシカリだ。
圭兎はトシカリにさっき言われたことを思い出して前を向いた時には知能があるゾンビの群れは圭兎の目の前にいた。
咄嗟の判断で妖刀罪殺を振ったが避けられ右脇腹をゾンビの一人に抉られる。そのゾンビは小学生くらいの男の子。
「ぐっ⁉︎」
いつもよりも痛みを感じたので圭兎はそう呻く。
抉られた右脇腹を見ると傷が修復せずに血が広がってる。それを圭兎は着ている服で判断した。
久しぶりにこんなに血を流したな。
圭兎はそう思いながらも身体を動かす。
だが、さっきとは違うゾンビに左の首筋を咬まれる。そのゾンビは圭兎と高校生くらいの少女。
「クソ‼︎」
圭兎はそう言う。妖刀罪殺で作られた鎧を着ているのだが、ゾンビには容易く抉られるし噛み砕かれる。
対処法をしばらく敵の攻撃を必死に避けながら考えているとある予想が浮かんだ。
まさか……そういうことかよ。
圭兎は心の中でこんなこともわからなかった自分に呆れる。
そして
「血を吸え‼︎」
と圭兎は妖刀罪殺に向けてそう言う。
圭兎はとりあえず右脇腹の血を吸わせることにした。
すると、妖刀罪殺は喉の渇きを癒すように血を勢いよく吸う。
右脇腹から流れてきている血を全て吸うと右脇腹の傷も左首筋の傷もすぐに治る。
「さぁ、これでこいつらを皆殺し出来る」
圭兎はそう言うと妖刀罪殺の鎧はさらに強固になる。すると、さっきまでと同じように視界は真っ白になった。敵の位置を知らせる赤黒い光りを除いて。
圭兎は赤黒い光りの一つに妖刀罪殺を振り下ろす。
だが、鉄と鉄がぶつかり合ったような甲高い音が耳に響いたので圭兎は一度を閉じてすぐに開ける。
すると、目の前には希楽夢を守るために圭兎が渡していた日本刀で希楽夢を守っている。
それを見た圭兎は後ろに飛び退いた。
「敵と味方の区別がつかないのか……」
圭兎は小声でそう呟く。
圭兎はそれからどうするかと戦闘中なのに立ち止まって考えてしまった。
そのせいで背後から知能があるゾンビ達がきていることに気づくのが遅れる。
気づいた時には知能があるゾンビ達が圭兎に攻撃を放っていた。
「くっ⁉︎」
何かおかしいと感じた圭兎は逃げようとしたが逃げれなかった。
なぜなら、ゾンビが特殊能力的な何かで圭兎を止めているからだ。
「さてと、そろそろ俺たちも本気を出そうかな」
ゾンビの群れのリーダー的な若い男性がそう言うと周りのゾンビ達がニヤリと笑う。
万事休すかと圭兎はそう思い死を覚悟する。
そして、ゾンビ達の攻撃が俺に当たると思った圭兎は目を瞑る。
すると、突然身体が押される。
圭兎はそれでバランスを崩し倒れそうになったがなんとか持ち堪え押された方を見た。
そこには、トシカリ達がゾンビの攻撃を全て防いでいる。
「お前らどうして?」
圭兎は驚き過ぎてそう聞く。
その圭兎の疑問にすぐに全員が答えてくれた。
「仲間だから」
皆が口を揃えてそう言う。
だが、圭兎にはその理由が理解できなかった。
「仲間? 誰と誰が?」
圭兎はそう言いながらゾンビ達に立ち向かう。
「え? 僕達と圭兎がだけど」
トシカリはそう言いながらゾンビを数体倒す。
だが、それでは動くから圭兎以外の他のメンバーが細切れにして倒す。
圭兎は一人で他の敵を全員微塵切りにして殺す。
「それで誰と誰が仲間だって?」
「さっきも言った通り僕達と圭兎が」
トシカリはさっき言ったことをもう一度言う。
その答えを聞いた圭兎は
「俺とお前らは味方じゃない。敵だ。俺に味方なんて誰一人居ない」
圭兎はトシカリ達に振り向きながらそう言う。
「っ⁉︎」
トシカリ達は息を飲む。
なぜなら、圭兎がトシカリ達に初めて悲しそうな顔をしたからだ。
「じゃあな」圭兎はそう言いこの場を立ち去ろうとする。
だが、近くに居た颯華が圭兎の手を持ち止める。
「離せ」
「嫌です‼︎」
圭兎が冷たい声で言ったが颯華はそれを強く否定する。
「このままだと貴方が罪悪感で押しつぶされていまいますから」
颯華は誰も説明を求めていないのにそう説明する。
「罪悪感? 俺が? 何に対して?」
圭兎は自分でも罪悪感があることを知っているがあえてそう聞く。
「それは……」
颯華は圭兎が色々なことに対して罪悪感があることを知っているが口籠る。
なぜなら、圭兎に罪悪感がある理由をここに居る人達は知らないからだ。
「貴方はゾンビを倒すことに対して罪悪感を抱いています」
颯華では無くなぜか美佐がそう言った。
「どうしてゾンビを殺すことに俺が罪悪感を抱く? そう思った理由は?」
「その言葉です」
「はぁ?」
圭兎の言葉に美佐は反応したが圭兎にはどういうことかわからなかった。
「貴方はゾンビを“倒す”ことを“殺す”と言っています」
言われて初めて自分がそう言っていることに圭兎は気づく。
「つまり貴方はゾンビを生物だとおもっているのです」
圭兎はその美佐の言葉を聞いて色々な反論が頭に浮かんだが口籠る。その全てには説得力が無いことに気づいたからだ。
「はいはい、わかった、わかった。お前らと一緒に行動すれば良いんだな。でも、後ろから殺されても知らないぞ」
「あぁ」
圭兎の言葉にトシカリはそう返事する。
「それじゃあ、早速だが、仲間とかふざけた言葉に基づいていることをするか。まずはこのショッピングモールで欲しい物を盗っていこうか」
圭兎は反感を買われるだろうと思いそう提案する。
「確かにね。この世界で生きていくためにはしないといけないことだね。それに皆もそろそろ気分転換したいだろうしね」
圭兎の思いに反してトシカリはそう言う。
「やったぁ‼︎」
その場に居る女性は皆そう喜んだ。




