表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅亡世界 前編  作者: 紙本臨夢
第四章
48/58

六話

 ミリカとクラルの過去は話し終わる。

 二人の話は本当に朝食の時間だけで終わった。

 圭兎は朝食の片付けを一人でした。

 二人はうわのそらという状態だから皿を洗っても手を滑らせて落としガラスを割るという始末になると思ったから圭兎はそれは面倒くさいと思い、一人でしている。

 二人は遠慮をして自分達がやろうとしたが圭兎がキッパリ断ったので何もすることの無い状況だ。

 食器を洗っている最中に圭兎は余計なことを聞いてしまったなと後悔する。

 そう思った後に圭兎は今日が三日目だと気付いたが二人は気付いていない様子だ。

 圭兎は食器を洗い終わったら寝る前に干していてもう乾いている洗濯物を取り込みスーパーのレジから盗ってきた不透明のビニール袋にミリカとクラルの洗濯物を入れて、自分の洗濯物は半透明のビニール袋に入れる。

 次に自分の部屋へ行き自分の服や下着をクローゼットとタンスから取り出し半透明のビニール袋に入れる。

 もちろん下着は服に包んでだ。

 次にクラルの部屋へ行きクラルの服をクローゼットから取り出し不透明のビニール袋に入れて、下着を見ないようにしてタンスから取り出し不透明の小さな袋に入れる。

 ミリカの服や下着もクラルと同じようにした。

 圭兎はこれだけで精神的に疲れた。

 圭兎がリビングに行くと二人の雰囲気が圭兎とは違うかった。

 圭兎は無理矢理二人に二人の服や下着が入った不透明の袋を持たせる。

 圭兎は自分の服や下着が入った半透明の袋を持っている。


「さぁ、行くぞ。お前らの大好きな人のところへ」


 圭兎はそう言うと二人は聞こえてかわからないが首を傾げる。


「私達の大好きな人は皆死んでしまいましたよ」


「は? トシカリ・ミソンジのこと好きなんじゃ無いか?」


「まぁ、トシカリさんのことが好きですけど大好きというほどでは……。どちらかというと私達が病院でお世話になっている時に関わった患者の人の方が好きですけど。私にはその人の顔を思い出せません」


「あたしも」


 彼女らはそう答える。

 それを聞いた圭兎は内心トシカリに対してざまぁと笑っていた。

 実はトシカリが圭兎と行動した時に


丘道学園(くどうがくえん)の半数以上の人が家族を抜いて僕のことが一番好きなんだよ。今、この世界にいる人はエリカと圭兎が連れてきた人達以外は僕のことが一番家族を抜いて好きなんだよ」


 とナルシスト並みにドヤ顔で自慢していたからだ。

 圭兎は話を流していたためにそれだけが印象に残っていた。

 圭兎は二人の回答に「あぁそうなのか」と流した。

 いつもの二人ならそれで察していたが今回は察しなかったので圭兎は二人の腕を左右の手で引っ張った。


「え? えぇ⁉︎ 何ですか⁉︎」


 圭兎はその声を気にせずに二人を引っ張りながら玄関まで連れて行った。ちょうど玄関に着くとクラルが「もしかして……」と小声で言いミリカが「あぁ!」と声を上げる。

 そして、二人は確認するために圭兎に


「今日が三日目でしたね」


 と聞いて圭兎はその二人の確認に頷く。

 すると、二人は夜になった猫のように活発に動き始めた。

 なるほどな。大好きでは無いけど好きだから早く会いたいのかと思いながらゆっくりした。


「さぁ、早く行きましょう」


 クラルが笑顔でそう言う。


「そうだよ。早く行こうよ!」


 ミリカがクラルと同じ笑顔でそう言う。

 二人はそう言い手を差し出してくる。

 二人の笑顔が背後の太陽で眩しい。

 圭兎がその眩しさのあまり目を細める。

 圭兎は目を細めながら二人の手を取らずに先へ進む。

 二人はその圭兎を見て苦笑した。

 正午ぐらいに五グループの圭兎、ミリカ、クラルが集合場所に着くと一グループの雨美、美佐、トシカリがすでに居た。


「お前ら早いな」


 圭兎が首に手を置きながらそう言うとその場に居る全員が驚いた顔をしていた。

 は? リンジカとエルザが驚くのは分かるがどうしてあいつらも驚いているんだ?

 圭兎はそう疑問に思った。

 今はトシカリ達は少し遠い場所に居る。なので、ミリカとクラルには見えない。だが、あっちには神も居ることだし見えないことは無い。もし、見えなくても圭兎達がいることに気付く。なのに、トシカリと雨美と美佐は圭兎を見えないどころか気配を察知すらしていなかった。

 圭兎はそこが疑問で仕方が無い。


「お前らイチャイチャするのは良いがせめて俺の気配を察しろよ」


 圭兎がそういうとそよイチャイチャを邪魔するかのようにクラルとミリカがトシカリに雨美と美佐を押しのけて近づいていく。

 すると、雨美と美佐は圭兎に近づいてきた。


「今回は集まるのが早かったですね」


「前回が遅すぎたからな」


「そうですか……」


「そっちの成果は?」


「何かの石碑を見つけました」


「っ⁉︎ どんなことが書いてあった?」


「読めませんでした。ですが、その見つけた石碑は近いので今から連れて行きましょうか?」


「頼む」


 圭兎と美佐は情報交換をして今すぐ、圭兎をその石碑がある場所に行くことになった。

 そんな二人を見て雨美は少し嫉妬していたので


「あの石碑に行くのでしたら私も連れて行ってください」


 と美佐に頭を下げる。

 それを見た美佐は圭兎に助けを求めている顔をした。


「良いだろ。別に」


 圭兎がそう言うと美佐は「それでしたら」と良い雨美に許可をしたが色々なことを注意する。

 例えば「圭兎さんの邪魔しないように」だ。

 数分後。

 圭兎はあまりにも注意が長かったので


「それぐらいにしろよ。行く時には日が暮れる」


 と美佐に言うと「わかりました」と圭兎の予想に反して素直に承諾した。

 そして、トシカリとミリカとクラルに


「ちょっと、神様達と一グループが見つけた石碑に行ってくる。皆が戻ってきたら雑談していてくれ」


 と圭兎は念のために伝えてから向かった。

 そこの石碑は圭兎が見つけた石碑とは違い地上にあった。

 その石碑は圭兎が見つけた遺跡の壁に書かれた文字と同じ文字で書かれている。

 つまり、圭兎には読めない。

 圭兎は少し待つ。

 すると、圭兎の予想通り妖刀罪殺がカタカタ震え始める。

 妖刀罪殺を鞘から抜き放つと前の遺跡と同じで妖刀罪殺が黄緑色に光っていた。

 そして、文字も黄緑色に光り読めるようになる。


【全ての手順を試してもこの世界の滅びを止められないことが八割以上を占める。その時我ら人類は滅びを受け容れることしかできない。この世界に生まれたことを呪え。我らにはそう伝えることしかできない。だが、そんなものを受け入れたく無い者達に我らは救済の手を差し伸べる。救済を求める者はここより➖へ向かえ。そこにはこの世界と似た別世界へ行ける装置がある】


 そう石碑には書かれていた。だが、大事な方角が書かれた部分が黒く塗り潰されている。


「クソが‼︎」


 圭兎はそう言い石碑を殴ろうとしたがギリギリの所でなんとか堪えた。

 妖刀罪殺の光が消える。

 妖刀罪殺の光が消えると石碑の光も消えた。

 そして、石碑は誰も触れていないのに粉々に砕け散った。


「何かわかった?」


 雨美は圭兎にそう聞く。


「いいや、何もわからなかった」


 そう圭兎が答えると雨美も美佐も落ち込んだ。


「そんな落ち込むなって。そのうち見つかるだろしな」


 圭兎はそう言い二人の頭に手を置いてそのまま歩き去った。

 二人は顔を赤くしながら圭兎の後ろについて行った。

 この世界のどこかには元の世界に戻れる装置があることがわかった。次からはそれを探すのが俺の調査だな。

 圭兎はそう歩きながら思っているとトシカリ達の所に着いた。

 もうすでに、全員が戻ってきていた。

 誰一人欠けることもなく。

 圭兎は安堵した。

 だが、すぐに首を振ってこいつらは敵なのに何、安堵しているんだ俺は。

 圭兎は一人でそう思い直した。


「でっ、成果は?」


 圭兎は皆と合流するとすぐにそう口を開いて聞いた。

 すると、全員が首を振った。トシカリも雨美も美佐も。


「そうか……」


 圭兎はそう言う。

 それから皆は黙り込んでしばらくしてから


「へ?」


 と変な声を皆が出した。


「は?」


 圭兎はその声にそう返した。


「いや、あなただからやっぱり貴族は役立たずだなとでも言うかと思って」


 皆を代表してミレイがそう答える。


「何だ? 行って欲しいのか?」


「いや、遠慮しておくわ」


「だろうな。でも、今回は俺も成果が無かったしそんなことを言う資格は無いさ」


「なんか、丸くなったわね」


 圭兎はミレイにそう言われた。

 きっと、辛い過去があったのは自分だけじゃ無いってわかったからな。

 圭兎は心の中でそう思った。


「さてと。またグループ分けのくじ引きをする……か……」


 圭兎の声は最後の部分だけ小さかった。

 なぜなら、両手が飛ばされて腹に剣が刺さっていた。

 圭兎は刺さっている剣を引き抜いた。


「妖刀罪殺……。ここに付いている血を……吸え」


 圭兎はそう言い引き抜いた剣を妖刀罪殺を鞘から出し刃の部分に血が付いている部分を当てた。

 すると、妖刀罪殺は凄い勢いで血を吸った。

 そして、腹の傷も一瞬で治った。

 だが、黒い痣が顔を除いての全身に出来た。

 そして、その黒い痣が圭兎の生命力を吸うかのように脈打った。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」


 圭兎は痛さのあまり叫んだ。

 痛みはマシになった。

 だが、まだ怪我口を抉られたように痛い。

 だが、圭兎はその痛みに慣れている。

 今まで、この世界で怪我口を抉られたことは何度もあったからだ。


「大丈夫⁉︎」


 エリカが圭兎に聞いてきた。

 圭兎はその声でそこに皆が居ることを思い出す。

 妖刀罪殺の存在を知っているのは弧卯未の颯華と忌楼の三人だけだ。

 他は弧卯未の話でしか妖刀罪殺の存在を知らない。

 ましてや、その妖刀罪殺を圭兎が持っていることは弧卯未と颯華と忌楼以外は誰も気付いていなかった。


「おい、それって」


「今は違うことに集中しろ!!」


 トシカリは弧卯未の話を思い出しそう聞こうとしたが圭兎に(さえぎ)られて途中で止める。

 そう今は、誰にも気付かれずに圭兎を襲撃した犯人を探すのが先決だ。

 皆が真剣に探してる中、圭兎は一人で妖刀罪殺を抑えている。

 今にも妖刀罪殺が圭兎の身体を引っ張って行きそうだからだ。

 だが、その圭兎の努力を無駄にだった。

 なぜなら、妖刀罪殺に圭兎が引っ張られて連れて行かれたからだ。

 圭兎はその速度が速いのでGで死ぬなと思ったが、なぜか唱えてもいないのに妖刀罪殺剣士形態になっていた。

 それから少ししてから妖刀罪殺が速度を落としたところ──一軒家の廃墟には人がいた。


「っ⁉︎」


 圭兎はそこにいた存在に驚いた。


「久し振りだね。お兄ちゃん」


 そこには圭兎の実の妹二人が居たからだ。

 あいつらは死んだ。俺が殺した。そして、この世界でも俺という存在が存在しないだろうから二人は存在しない。

 圭兎はそう自分に言い聞かせて二人に斬りかかったが


「やめてお兄ちゃん‼︎ また、私たちを殺すの?」


 と言われて妖刀罪殺が止まる。

 そして、圭兎は密かに微笑みその二人を斬り殺した。

 なぜ、圭兎が殺せたかというと圭兎の妹はついさっき言ったようなことを言わないからだ。

 その証拠に圭兎が妖刀罪殺に見せられた夢でも圭兎の家族たちは皆、自分のことを殺して良いと言ってくれた。

 だから、これは悪意のある者の仕業だと理解した圭兎は妹の姿をした二人を殺した。


「ブラボー、ブラボー」


 すると、目が虚ろな男性が突然窓からそう言いながら入ってきた。


「誰だ」


 圭兎はその男性を睨みながらそう言う。

 その男性は神が茶髪で耳にピヤスを付けていたのでいかにもチャラ男という風貌だ。


「名乗るほどのものでは無い。だが、あえて言うなら俺は軽総都様の配下だ」


 チャラ男は自分の名前を名乗らずに軽総都、つまり、研究長の配下だと言った。


「じゃあ、敵だな」


 圭兎がそう言い丸腰のチャラ男に斬りかかった。

 だが、丸腰のチャラ男をには妖刀罪殺が届かなかった。

 なぜなら、ある存在に止められたからだ。

 その存在は等身大の日本人形だ。

 なぜ日本人形が動いているか分からないが日本人形は長い日本刀を持っていた。

 その日本人形に妖刀罪殺が受け止められたのは言うまでも無いことだ。


「呪縛」


 圭兎は頭に浮かんだ言葉をそのまま言う。

 言葉の通りその言葉は敵を呪縛するものだと安易に分かる。

 すると、何か紫色のオーラを纏った鎖がその日本人形に絡みついた。

 だが、絡みついただけだ。すぐにその鎖は引き千切られた。


「ははは。これは真剣にヤバい。今まで勝ってきたからその報いかな」


 圭兎は自虐的な笑みをしながらそう言いながらも攻撃を始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ