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滅亡世界 前編  作者: 紙本臨夢
第四章
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三話

 圭兎は今の自宅の玄関の扉を開ける。

 すると、クラルとミリカが走ってきて「おかえりなさい」と笑顔で圭兎に言う。

 圭兎は笑顔を作って「ただいま」と優しい声で返す。


「私達二人で夕飯を作っていたの。食べる?」


 ミリカはそう言った。圭兎は笑顔のまま頷いた。


「噴き出していないか?」


 圭兎が耳をすませると沸騰している音が聞こえたので二人に言うと「あっ⁉︎」と二人同時に言いキッチンに戻っていった。

 二人の姿が見えなくなってすぐに圭兎は真顔に戻った。

 圭兎はあることを聞くのを忘れていたので真顔のままキッチンに行き「後どれくらいで出来る?」と聞くとクラルが「えっと……」と言い考えている。

 だが、ミリカが


「後一時間くらいかかるよ。先にお風呂に入ってきて」


 と言ったので圭兎は「それじゃあ、お言葉に甘えて」と言い脱衣所に向かっていった。

 脱衣所で服を脱いでから風呂場に行き身体を洗い浴槽に浸かった。

 お湯は圭兎には丁度いい温度だった。


「はぁ……」


 圭兎はため息を吐いて自分の腕を見た。

 身体を洗うときに気付いていたが黒い痣が消えている。

 圭兎は少し浴槽に浸かりすぐに出た。

 そして「少し夜風に当たってくる」と二人に言い圭兎は家を出た。

 圭兎は家から少し離れた所で遺跡で見たことと軽総都によるゾンビに知能を残す実験結果について考えている。


(世界を滅亡させないためには人類を殺して生きている人間が滅亡を止める。 そのためか分からないが軽総都は何かの方法で人類を滅ぼした。もし、遺跡に書いてあったのを見て人類を滅ぼした人だったら俺があの人を殺して良いのか? 分からない)


 圭兎がそう考えていると突然


『殺して良いんだよ。イヤ、殺セ』


 頭と心の中から同時にそう聞こえた。


『あの人は殺して良いんだよ。敵だから。君に味方なんて誰一人居ない』


 頭の中からそう聞こえる。


『ソウダ。敵ハ全テ殺セ。頭ノ中ノ何カノ言ウ通リダ。味方ナド汝ニハ誰一人居ナイ。ダカラ、コノ世ノ全テヲ殺セ』


 心の中からそう聞こえる。

 両方とも言っていることが同じだ。

 殺せ。

 圭兎は両方ともどんな存在か分からないが自分の力になる血を流させようとしていると予想している。

 圭兎はそろそろ夕食が出来ていると思い家に戻った。

 家に着くと匂いで丁度夕食が出来たところだということに気付いた。

 圭兎は脱衣所にある洗面所で手を洗いリビングに向かった。

 二人は圭兎が帰ってきていたことに気付いて居なかったのか「あっ。おかえりなさい。丁度夕食が出来たところだよ」とミリカが言った。

 いつの間にかリビングに座椅子が用意されていた。


「さっ、座ってよ」


 ミリカにそう言われて圭兎は素直に座った。

 そして、料理がキッチンから持ち運ばれた。

 料理はハンバーグと豚汁と白ご飯だ。

 圭兎はこれに一時間以上もかかるかと不思議に思った。


「食べてみて」


 ミリカにそう言われたので圭兎は「いただきます」と言いハンバーグをお箸で四等分にして、その一切れを口に運んだ。

 食べてみて圭兎は分かった。

 このハンバーグは料理をあんまりしたことが二人が一から作ったということを。

 その証拠に玉ねぎがシャキシャキしていたが肉は中まで火が通っているというよく分からない状態になっている。


「どうですか?」


 クラルは不安そうに味を聞いた。

 圭兎は玉ねぎがシャキシャキしていたが「美味しいよ」と笑顔で言った。


「やったね‼︎」


 二人はそう言いハイタッチをして喜んでいる。


「お前らも座って食べろよ」


 圭兎がそう言うと素直に座り食べ始める。

 圭兎は二人が楽しく喋りながら仲良く食べているのを微笑ましく思った。

 だが圭兎はすぐに、何、俺は血迷っているんだと思い直した。

 圭兎は居心地が悪くなり二人にバレない程度に早く食べてすぐに二階へ上がった。

 圭兎は夜中にいつもパトロールはしてないので今日は夜中にパトロールしようと思い少し仮眠することにした。

 しばらく寝ていたら下の階から突然、ガラスが割れる音が聞こえた。

 圭兎は急いで下に降りた。

 すると、人間の形をした人間ではない何かが、食器を洗っていたであろう二人を襲おうとしている。

 圭兎は無言でナイフを数本生成して全て襲おうとしている何かに投げる。

 だが、全て避けられる。

 そして、一瞬にして圭兎の目の前に来ていた。

 圭兎は危険を感じ取りすぐに後ろに引いた。

 だが、それを最初から知ってたかのように圭兎に付いていき、何かはいつの間にか持っていた刀を圭兎に向かって振るった。だが、圭兎は部屋から持ってきていた妖刀罪殺を鞘から抜き何とか防いだ。

 今度は圭兎が妖刀罪殺を振るい何かを斬りつける。

 何かは肩から妖刀罪殺を入れられ心臓を斬られる。

 圭兎はおかしいと思う。

 なぜなら、何かを斬ったのでは無く虚空を斬ったように感じたからだ。

 案の定、何かを斬れて居なかった。

 圭兎はすぐに何かの首を斬り落とす。

 だが、また虚空を斬った感じしかしなかった。

 なので、何かは普通に生きている。

 今度は頭から縦に真っ二つにする。

 なのにまた、虚空を斬った感じしかしない。


「ガハッ‼︎」


 圭兎は血を吐いた。

 なぜなら、いつの間にか腹を貫かれていたからだ。

 すると何かは


「封」


 と言い圭兎の腹から刀を抜く。


「なっ⁉︎」


 圭兎は驚く。

 今まで妖刀罪殺を手に入れてから身体の傷が治らなかったことが無かったが、今は傷が治らない。


「どう……してだ」


 圭兎は血を吐きながら聞いた。


『分からない』


 圭兎の予想通り頭の中の何かは答えてくれた。


『我ノ力ガ使エナイダト⁉︎』


 心の中の何かは驚いている。


「戦闘続行不可能。標的を変更する」


 刀を持っている何かはそう言いクラルとミリカの方に向く。


「っ⁉︎」


 二人は驚き自分の武器を構えようと思ったが自分が武器を持っていないことに気付く。


「標的排除」


 二人は死を覚悟して目を瞑る。

 刀を持った何かは二人に刀を振り下ろす。

 だが、二人はいつまで経っても刀が届かないことに驚く。

 その代わりに何か温かいものが頬に付着する。

 二人は恐る恐る目を開ける。

 すると、圭兎が左腕を斬り飛ばされながらも何かの首に妖刀罪殺を刺し込んでいた。


「えっ……?」


 ミリカの思考は停止する。


「届か……なかっ……たか」


 圭兎はそう言い血を流しながら地面に倒れる。


「あっ……あっ……あっ……」


 ミリカは(かす)れている声を出す。


「まさか……ダメ‼︎」


 クラルはそう叫びミリカに抱きつく。


「……」


 ミリカは無言だ。


「戻ってきて‼︎」


 クラルはそう叫んだ。

 だが、ミリカは抱きついているクラルを弾き飛ばす。


「うっ……」


 クラルは弾き飛ばされた衝撃で気絶する。

 突然ミリカの身体は変異する。

 髪は銀色のままだが、光り、目は血に染められたように真っ赤になり身体が成長し大人の女性になっている。


「久々に表に出て来たわね」


 ミリカであろう存在がそう言う。

 だが、そんなことも関係無く刀を持っている何かはミリカであろう存在に飛びかかり首を狙う。

 だが、透明な障壁に守られて刀を持っている何かは殺せなかった。

 ミリカであろう存在は弾き飛ばされたクラルに向かいクラルの首筋を二度軽く二本の指で叩き「目覚めなさい」と言う。

 すると、気絶していたはずのクラルが目を開ける。


「うっ‼︎」


 目を開けると目の前に斬り飛ばされた圭兎の左腕の断面があり吐き気がして家の端で吐いた。


「ミリカを返しなさい‼︎ 死神‼︎」


 クラルはミリカであろう存在──死神と言われた存在に言う。


「貴女もその死神の血が流れているのですよ」


 死神と言われた存在はクラルにそう言う。

 だが、クラルは


「そんな嘘信じない‼︎ 早くミリカを返しなさい‼︎」


 と言い返す。

 だが、死神と言われた存在はクスッと笑う。


「そう思うなら証拠を見せてあげます。あたしに力を貸して」


 死神と言われた存在がそう言うとクラルは言い返そうとしたが、それが出来なく心の中の何かが、目を醒ます。


「えっ……? 嘘?」


 クラルはそれだけ言うと何か別の存在に変わった。

 気が付くとクラルの姿は死神と言われた存在と目の色を除いて瓜二つになっている。

 その目の色は闇に染められたように黒い。


「久しぶりですね。お姉様」


 死神と言われた存在と目の色を除いて瓜二つになった存在はそう言う。


「えぇ、久しぶりね。クマナ」


 クマナと言われた存在はニコリと微笑んだ。

 そして、死神と言われた存在は「あの人も助けないとね」と言い圭兎に近付いて行った。

 だが、圭兎は


「誰だ」


 と倒れながらも聞いた。

 そう圭兎は気絶していないのだ。


『アレハ我ト行動シテイタミヤナダ』


 心の中の何かはそう言った。


『ちなみにあっちは僕と行動していたクマナだよ』


 頭の中の何かはそう言った。


「つまりあの二人はお前らと行動していた存在なんだな」


 圭兎はそう言い無理矢理立つ。

 そして


「悪いがミヤナとクマナ。あいつらを殺すのに手伝ってくれないか? 聞いた感じでは死神なんだろ二人とも」


 と圭兎は二人に言った。

 二人は驚いている。


「貴方が初めてですよ。私達の名前と職業を当てさらに協力を申し出るなんて」


 ミヤナはそう言う。

 圭兎はニヤリと笑いながら


「どうせ、ミリカとクラルには聞こえてないんだろ。お前らが身体を乗っ取ったから。だから、俺は利用できるものは利用する」


 圭兎がそう言うと二人とも笑う。


「貴方には全てお見通しなんですね。やっぱりあの人を心の中で飼っているだけありますね」


 ミヤナはそう笑いながら言う。


「えぇ、本当に。あの人を頭の中に飼うだけあります。良いでしょう。協力します」


 クマナはそう笑いながら言う。


「なら、殺るぞ」


 圭兎はそう言い無理矢理何かに攻撃をしようとする。

 だが、二人に止められた。


「どうして止める」


 圭兎はそう二人に聞いた。


「ひとまず、貴方を回復します。久々にあれをやるよ。クマナ」


 ミヤナがそう言うとクマナは頷く。

 そして、二人は別々の傷口に手を当てる。

 すると、瞬時に傷が元に戻った。


「やっぱり。あの人の力を封印されたから回復出来なかったのですね。もう、その封印を解いたかは大丈夫ですよ。まぁ、この戦闘で傷付くことは無いですからね」


 ミヤナがそう言った。


「そうか。それとこの家をこれ以上汚したく無い。外に出るぞ」


 圭兎は二人にそう指示をした。

 すると、二人共「仰せのままに」と言い圭兎の指示に従い外に出た。


「さてと、殺ろうか。全てを」


 圭兎はそう言い刀を持っている何か──知能があるゾンビの大群に三人で挑みに行った。

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