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滅亡世界 前編  作者: 紙本臨夢
第四章
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二話

 圭兎はいつもの時間に目を覚ました。

 目を覚まして少ししてから圭兎は両手の黒い手袋を取り自分の手を見た。

 すると、昨日まであってさらに昨晩には酷くなっていたはずの黒い痣が無くなっていた。


「どういうことだ?」


 圭兎は一人でそう呟いた。


『我ト汝トノ繋ガリガ強固ニナッタカラダ。ダガ、汝ガソノ繋ガリヲ(ホド)イタリスレバ、マタ、アレハ現レル』


 圭兎の心の中の何かがそう答える声がした。

 圭兎は微かに笑った。

 圭兎が起きたのは五時ぐらいなのだが、ミリカとクラルがその一時間後の六時ぐらいに圭兎が使っている寝室に二人が入ってきた。髪がボサボサのままだ。


「どうした?」


 圭兎がそう聞いたが反応が無かった。

 様子がおかしいのを感じ取った圭兎は後ろに倒されてもふわふわなので布団を後ろにし戦闘態勢に入った。

 圭兎は妖刀罪殺をすぐに引き抜けるように持ち手の部分を右手で握った。


「っ⁉︎」


 突然痛みが走り、右手を見るとどこも切れていないのに血が流れていた。

 そして、突然、右手全体に赤黒い刃が一斉に出てきた。


「なんだ、これは?」


 圭兎は冷静に一人で呟く。

 すると圭兎の予想通り


『ソレハ、我ト汝ノ繋ガリガ強クナッタカラダ。我ガ汝の血ヲ求メテイルカラダ。ソノ赤黒イ刃ハ我ガ汝ノ血ヲ吸ッタカラダ』


 と心の中の何かが答えてくれる。

 圭兎はその何かの声に返答せずにジッと二人に何か攻撃されるのを待つ。

 そして、二人は圭兎の目の前に行くと止まった。

 そして、そのまま二人が圭兎に向かって倒れる。

 それは、攻撃では無かった。二人は寝ている。


「トシカリさん」


「トシカリ先輩」


 二人は圭兎をトシカリと勘違いしていた。

 圭兎はトシカリと間違われるのは嫌だと思ったが、二人が寝言でそう言ったので二人の頭を撫でようとした。

 だが


『それらは君が嫌いな貴族だよ』


 と突然頭の中から聞こえてくる。


『君は家族を殺した自分とは違う要因の貴族を全て殺すんじゃなかったのか? でも、元の世界に戻ったら、貴族の連中が死んでいたら面倒くさいから今までこの世界で何度も殺すチャンスがあったが殺さなくてさらに、料理を食べさせたり、敵から守ったりしてきたことはまだ、分かる。だが今、君がしようとしていることは別にやらなくても良いことだし。むしろ、やらない方が良いことだよ』


 頭の中から聞こえた何かの言葉に圭兎は今、自分がしようとしたことに反省する。でも、貴族共の代わりにあいつらを守ると圭兎は心の中で誓う。


『あれ? 今、君は佐藤や初瀬川や忌楼や颯華や沙羅を守ろうと思ったよね。でも、よく考えてみて佐藤と初瀬川は一応平民としているけどあれは貴族の一員だよね。神のあの二人は神の世界ではきっと貴族だよ。忌楼は妖刀罪殺を作った一族の一員だし貴族だよね。その忌楼に作られた颯華も貴族の子供みたいな物だし。沙羅に限っては化物……敵だよ。この世界には君の仲間なんて居ない。いや、この世界だけじゃない。元の世界でも君の味方なんて誰一人居ないよ』


 圭兎は心の中で守ると誓ったが頭の中から聞こえる声に反論されて圭兎はその反論に納得した。

 そうだ。俺はどの世界でも守る物なんて居ないと圭兎は思う。


『そうだ。今、その二人を殺そうよ』


 頭の中の声は突然そう言い出すが圭兎は


「嫌だね。後々面倒くさいし」


 と言った。


『そうか。なら、しばらくの間君に判断任せるよ。また、血迷ったら僕が止めるよ』


 頭の中の声はそう言い静かになった。


「そうだよな。俺は一体、何故血迷ったんだろうな」


 答える声が無いのを分かりながらも圭兎はそう呟いた。

 そして、まぁでも突然俺の態度が変わったら面倒くさいことになるからしばらくはそのままだなと圭兎はそう思った。

 クラルとミリカはほぼ同時ぐらいに起きた。

 時刻は午前九時。


「あれ? ここどこ? 確か昨日の夜はここじゃ無い部屋だ寝たんだけどなぁ」


 ミリカは驚いてそう言う。

 ひとまず、この部屋を出て自分の部屋に行って服を着替えないと思った二人はこの部屋を出て勘で自分が寝ていた部屋に向かった。

 そして、自分の部屋に着いた。

 ミリカの部屋は朝に寝ていた部屋から二つ横の部屋だった。

 クラルの部屋は朝に寝ていた部屋から一つ横の部屋だった。

 そして、二人は気付いた。

 自分達が寝ていた部屋は圭兎の部屋だということに。

 二人は顔を赤くしながら寝室が並んでいる二階から自分の部屋以外で日常生活が出来る一階に下りる。

 二人でリビングに向かうとラップされていた朝食が置いてある。

 朝食のメニューは焼き鮭と漬物と味噌汁と白ご飯とプリンが置いてあり、どれでもいけるように湯飲みとマグカップとティーカップが置いてあった。

 そして、一枚だけ置き手紙があったのでクラルは手に取った。


「『朝食と昼食を作っておいた。しばらく散歩してくる。遠くまで行くから帰ってくるのは昼過ぎだと思う。昼食は冷蔵庫の中だ』だって。きっと圭兎さんだね」


 クラルはそう言いながらティーカップに紅茶を淹れている。


「ということは朝食は食べたんだね。なら良かった」


 ミリカもそう言いながらティーカップに紅茶を淹れている。

 ご飯を食べる準備が出来たので二人で声を合わせて「いただきます」と言い朝食を食べ始めた。

 時間は三時間(さかのぼ)る。

 圭兎は二人の朝食を作りリュックを背負いながら家を出た。

 圭兎は栄養調整食品を食べている。

 圭兎は栄養調整食品を食べ終わったのでゴミをスーパーのゴミ箱に捨てた。

 そして、少し歩いた。


「さてと、調査するか」


 圭兎はそう言いリュックを地面に置き、中から小さな懐中電灯と大きなハンカチを取り出す。

 圭兎が今居る場所は圭兎が少し遠くまでパトロールしていたら偶然見つけた何かの遺跡だ。

 その遺跡は崩れた地面の下にある。

 地面に置いていたリュックを背負い直し、大きなハンカチと小さな懐中電灯をズボンのポケットにしまい地面から遺跡まで飛び降りた。

 普通なら怪我をするが妖刀罪殺を使い始めてから怪我をしてもすぐに治るようになっている。さらに身体も頑丈になっている。

 ポケットから小さな懐中電灯を取り出し圭兎は懐中電灯を点けた。

 すると、何か字が書かれた大きな壁が正面に広がっている。

 大きな壁に書かれた字を見るために埃を大きなハンカチで拭き取り字を見て圭兎は予想通りと思った。

 字は見たことも無い字だ。

 圭兎は地上へ上がろうとしたが、妖刀罪殺がカタカタと震えだし妖刀罪殺を鞘から抜き放った。

 抜き放った妖刀罪殺は黄緑色に光っている。

 圭兎は不思議に思いながらも何となく黄緑に光っている妖刀罪殺を見たことも無い字が書かれた大きな壁に当てる。

 すると、大きな壁に書かれた字が全て黄緑色に光り圭兎にも読めるようになった。


【この世界は別の似た世界から突然分離し、元から滅びるために生まれた。この滅びは基本止めることが出来ない。我らは滅びをただ呆然と見守ることしか基本出来ない。だが、この滅びを止める手順は四つある。最初は人類を人類が一人残らず殺すこと。だが、ここで一つ問題がある。この後の手順を進めるには生命がある人類が必要だ。だが、人類を人類が全て殺さないと次の手順に進めない】


 そう大きな壁には書かれていた。

 つまりこの世界に人類が滅びている理由は研究長──いや、軽総都(かるふさみやこ)がどこかでこのことを知り何かの手段で人類を殺した。圭兎はそう予想した。

 圭兎は最初の手段と書いてあったので他にもあるのだろうなと思った。

 これからのことを圭兎は考えた。


「さて、一人で何とかなるかな?」


 圭兎がそう言い空を見上げると空に星が見えていた。

 つまり夜だ。


「はぁぁぁ⁉︎ マジかよ⁉︎」


 圭兎はそう言い、急いでこの地上に出た。

 圭兎は見間違えかもと思い空を見上げる。

 だが、見間違えでは無く空は暗かった。

 だが、それは夜ということでは無く皆既日食だった。

 圭兎でもさすがに皆既日食の日だったので驚いた。そして、感動した。


「すごい……。こんな綺麗にテレビ以外で皆既日食見たの初めてだ……」


 圭兎は裸眼で見た。普通は遮光板が必要だ。

 圭兎は妖刀罪殺で復活してからは外見は人間だが、中身は人間では無いのでこういうことも出来る。

 皆既日食を見てすぐに移動しようとするが、いつの間にか左目が地面に落ちていた。

 圭兎はその地面に落ちている自分の左目を手で取り上に投げ妖刀罪殺でその左目を刺した。


「吸え」


 そして、妖刀罪殺は圭兎の命令通りに血を吸っていた。

 圭兎の左目はいつの間にか再生している。

 圭兎は目を閉じた。

 耳をすませる。

 妖刀罪殺で真っ二つにするために振るった。

 圭兎はゆっくり目を開けた。


「くっ⁉︎」


 すると、小学五年生くらいの男の子が悔しがっていた。

 上の服が妖刀罪殺を縦に振った時に沿って切れている。

 圭兎は問答無用で追い打ちをかけその小学五年生くらいの男の子を殺した。

 すると、パチパチと拍手をする音が聞こえる。

 圭兎はその音が聞こえた方に向かって睨む。


「すごいね。私の傑作を最も簡単に殺すなんて」


 女性──軽総都はそう言う。


「傑作だと」


 圭兎は軽総都の言葉に少し腹が立ったので声を低くして言う。


「あぁ、傑作だよ。生前と同じ綺麗な形のままで、生前と同じくらいの知能があるゾンビを作るのは大変なんだよ。それなのによく、簡単に殺せたね。普通は生きている人間と間違えるほどの出来前なんだよ」


 軽総都は本当に楽しそうにそう言う。


「ちなみに圭兎君の目を抉ったのは君が殺した子じゃ無いよ」


 圭兎は神経を研ぎ澄ませていたが気がつくともう、右目が抉られ、腹に短刀が刺さっていた。

 だが、何とか圭兎は腹に刺さっている短刀の持ち主の手を掴んでいる。

 短刀を持っているのは忍者装束を着ている高校二年生の女の子だ。

 圭兎が高校二年生と分かった理由は服だ。

 パッと見では、忍者装束ということしか分からないが、中を見ると高校二年生の制服を着ていたからだ。

 この世界では違うかもしれないと思うかもしれないが、圭兎がゾンビを殺す時に見たことある顔だなと思ったら圭兎と同じ制服の色を着ているからだ。


「捕まえたぞ」


 圭兎はそう言い腹の途中で止まっていた短刀を貫通させて短刀を持っている忍者装束に妖刀罪殺を振るった。

 だが、驚いたことにバク転をして避けられさらに、圭兎の腹に刺さっていたはずの短刀で両腕が斬り落とされた。

 忍者装束がすぐに追い打ちをかけてきた。


「吸え‼︎ 罪殺‼︎」


 圭兎はそう叫ぶと地面に落ちた妖刀罪殺が地面に大量にある血を全て吸った。

 すると、右目と両腕が元に戻る。

 だが、忍者装束の追い打ちは止まらない。

 圭兎は首を斬り落とされた。

 いや、落とされたように見えた。


「残像だ」


 そう言う圭兎は空に黒い羽根を生やして飛んでいる。


「雨」


 圭兎がそう言うと雨が降ってきた。

 いや、雨では無く妖刀罪殺が大量に降ってきている。

 忍者装束はその雨を全て避けている。

 だが、雨は降り続いている。

 すると、完全に皆既日食が終わった。

 地上を空から広い視野で見ると軽総都は居なくなって、忍者装束の女子高生しか残っていない。


「見捨てられたんだな。可哀想に」


 圭兎は思ってもいないことを口にする。


「もう、終わらせようか。発光。収束。刺殺」


 圭兎がそう言うと発光の所で妖刀罪殺が全てが太陽の光で発光し、収束の所で妖刀罪殺全てが一つに収束し、刺殺の所でその収束して大きくなった妖刀罪殺が貫く。

 圭兎は地上に下り羽根を直して忍者装束の女子高生の所に向かう。

 まだ、忍者装束の女子高生は生きていて、圭兎に攻撃をしてきた。

 だが、圭兎は全く動揺せずに的確に忍者装束の女子高生の心臓を刺して首を跳ねる。

 首を跳ねた瞬間、忍者装束の女子高生は笑ったような気がした。

 圭兎は跳ねた首の所まで行った。

 目が開いていたので圭兎は目を閉じさせる。

 そして、トドメと言わんばかりに跳ねた首を綺麗に縦に真っ二つにする。

 その後に圭兎は先に殺した小学五年生くらいの男の子の所に向かい、忍者装束の女子高生と同じことをした。


「安らかに」


 圭兎はそう言い静かに手を合わせ目を閉じた。

 数分間そうして目を開ける。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」


 突然全身が焼かれたように痛くなり圭兎は叫んだ。

 痛みはすぐに治まり身体中を調べる。

 そして、分かったことは、無くなっていた黒い痣が両腕だけでは無く腹にも出来ている。

 今度こそ気が付くと夜になっていた。

 圭兎は急いで今の自宅に帰った。

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