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滅亡世界 前編  作者: 紙本臨夢
第三章
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四話

今回は少し長めです。

 トシカリは圭兎に自分の昔話をしている。

 圭兎は珍しく貴族の話を黙って聞いている。

 トシカリは途中まで話したが、「あっ」と何かを今、思い出したかのように言って


「やっぱりこの話はやめよう」


 と突然言い出した。圭兎は途中で話を止められた事について腹立たしく思った。


「この話をしていたら、志水がやっている事に対して肯定する事になるしね」


 と圭兎が聞いてもいないのに勝手にトシカリはそう言い出した。


「そういえば志水。あのドラゴンどうしたのか? 倒した?」


 トシカリは話を変えて圭兎にそう聞いた。


「あぁ、炎で燃やし、殺した」


 圭兎はトシカリの聞いてきた事に対して仕方なく答えた。


「炎? そんなのどこにあるんだ?」


 トシカリは圭兎にそう聞いた。圭兎はまた、仕方なく自分のズボンのポケットに手を突っ込みライターを取り出しそのライターを無言で指差した。


「俺は寝に行く」


 圭兎は突然そう言い出し圭兎が出てきた洞窟の中に入っていった。

 トシカリはその圭兎の背中を見送り自分も起きたばかりだが寝袋に入り寝た。

 圭兎はこの世界でのいつも通りの時間に起きた。朝五時だ。

 圭兎は日課で走ろうとしたが今、自分が崖の下に居るのを思い出してどうしようかとかんがえた。

 何も思い浮かばなかったので圭兎は伸びをして、そのまま寝転がった。

 すると、何か硬いものに手が当たった。

 圭兎は何となくそれを手に取る。手に持ったのは妖刀罪殺だった。

 圭兎はそれにピンと来てその妖刀罪殺を鞘に収めたまま、素振りを始めた。

 素振りは元の世界に居た時から早朝の日課だった。だが、この世界に来てから一回も早朝の素振りをしていない。

 元の世界では竹刀を片手で素振りしていたが、今は本物の日本刀だ。なので、両手で持って素振りを始めた。

 だが、違和感があったので持てないだろうと思いながら片手で妖刀罪殺を持って素振りを始めた。

 すると、違和感が無く普通に素振り出来ている。圭兎はそれに驚きながらも素振りを続けた。

 素振りを始めてから数分後、トシカリが寝袋から出て、圭兎の居る場所まで何故か来てそこでまた寝た。

 初めは圭兎も起こそうと思ったが、邪魔されると面倒くさいと思い起こさなかった。

 トシカリはちゃんと服を着ている。

 なぜなら、トシカリが完全に寝入ってから起こさないように慎重に圭兎が着せたからだ。圭兎は「一体俺は何してんだ」と小声で言いながらちゃん着せた。

 圭兎は一時間位素振りして、崖の下ですごく間近に水があったのでそこで汗を流した。そして、昨日とは別の服を着た。

 その後、持ってきた食料を調理した。

 八時になると、声もかけていないのにトシカリが起きて来た。圭兎が調理した食料を二人で食べた。

 その後、圭兎だけが後片付けをした。


「おい。ちょっと来い」


 圭兎は後片付けを終えてトシカリを人差し指で呼んだ。すると、トシカリは普通に来る。


『我は、(そら)より、世界を見下ろす者なり。我、黒き羽根により、天へと到達せし者なり。我は、復活せし力を解放する。妖刀罪殺飛行形態』


 圭兎はトシカリがこちらへ来たのを見計らってからそう、呪文を唱えて、黒い羽根を六枚生やし立ち止まっていたトシカリの腕を無理矢理引っ張って持ち上げて、高い崖を越えた。


『解除』


 圭兎が小声でそう言うと羽根が無くなった。


「さてと、予想通りお出ましか」


 圭兎が予想していた通りゾンビとモンスターの群れが来た。


「知ってて‼︎」


 圭兎の言葉にトシカリはそう言って胸倉を掴もうとした。


「その服の腰にお前の武器を挿してある。これで戦えるだろ」


 圭兎はトシカリの腕を避けてそう言った。

 そして、圭兎は敵に一人で向かっていった。トシカリはその後に付いていった。

 圭兎は一番近いゾンビを殺そうとしたがトシカリに「やめろ!!」と言って止められた。

 圭兎は止められた事に対して腹立たせトシカリに


「どうして止めた。あいつは敵だろ」


 と声を低くして言う。

 すると、トシカリは


「その人は国立丘道学園の生徒だ‼︎」


 と圭兎に怒る。圭兎はそれを無視してそのゾンビの首を跳ねる。


「お前‼︎」


 トシカリは圭兎の胸倉を掴んでそう言う。

 圭兎はそのトシカリを見て「雑魚が。邪魔するな」と思う。


「こいつは敵だ。俺がやっている事はお前には間違っているようにしか見えないだろうが、俺からしたら、お前のやっている事の方が間違っているように見える。正義がどうとかお前の過去の話に出てきたフードを被った者は言ってた。だが、正義は周りに被害を出してこそなし得るものだ。何の被害も出さずに皆を救うなんていうお前の願望は正義とは言わない。ただの我儘と言うんだ。フードを被った者はそんな事をお前に言ったのか? そんな訳ないだろう。お前の話してない場所で言ってたかもしれないがな。俺は正義でも何でもないからな」


 圭兎はトシカリに冷たい目をしながらそう言って胸倉を掴んでいたトシカリを安全な場所に突き飛ばし一人で戦い始める。

 だが、トシカリは安全な場所から飛び出してモンスター達を倒そうとしたが圭兎が「足手纏いだ」と言うとトシカリはその場から動けなくなっている。


『俺にあの者達を殺せる武器を‼︎』


 圭兎はそう呪文を唱える。すると、手元に片手で持てる武器が生成される。

 圭兎は妖刀罪殺とその生成された武器を別々に両手で持ち


『神速によって相手を翻弄する‼︎ チャージスピード‼︎』


 とまた別の呪文を唱えて動きが速くなったので十秒もかからず、百体以上居たモンスターとゾンビの混合班を一人で殺した。


『解除』


 圭兎がそう言うと動く速度は元の速さに戻り、生成した武器が無くなる。


「っ!?」


 圭兎は突然、右手首に痛みを感じ右手首を見た。

 すると、血管が膨張していて右手首に何か、黒い血管みたいな物が付いていた。

 圭兎は寒くなる事を想定していたため用意していた手首が完全に隠れる手袋を右手だけにはめていた。

 圭兎はずっと、鞘から抜き放ったままだった妖刀罪殺を鞘に収めた。


「志水……お前……もしかして」


 トシカリは何かを言い辛そうに圭兎に話しかける。

 圭兎はそんなトシカリを無視してこの場から立ち去ろうとする。

 トシカリはしばらくその場を動けなくてその場に居る。

 圭兎はそれを無視して完全に立ち去る。それに気付いたトシカリは急いで圭兎を追いかける。

 トシカリは圭兎に追いついたが下を向いてずっと無言のままだ。

 森を抜けると来た道とは別の道に移動した。

 すると、トシカリは突然顔を上げて意を決したような顔をしていた。そして、口を開いた。


「突然おかしな事を聞くが志水は昔、ガラの悪い連中から救ってくれたフードを被った者か?」


 トシカリはそう圭兎に聞く。


「は? どうしてそう思った?」


 圭兎はそう聞き返した。

 すると


「志水が言った言葉に志水には話してない部分のあの人と同じ言葉が混ざっていた。だから、そう思った」


 と言う。圭兎はそのトシカリの言葉に呆れる。


「偶然に決まっているだろ。お前に会ったのはこの世界に来てからが初めてなんだからな」


 圭兎がそう言い返すと「そうか」と納得していないがトシカリはそう言う。


「それでも、志水の事をこれから圭兎と呼ぶ。良いかな?」


「無理」


 トシカリは何を思ったか突然そう言ったが圭兎は落ち着いて即答する。


「どうして?」


 トシカリは圭兎の即答にそう聞き返す。


「そう言われる理由が見当たらないから」


 圭兎がそう言うとトシカリは笑顔で


「僕の命を助けてくれたから。これが理由だよ」


 と言う。トシカリはその言葉に続いて


「それにもう、僕達は戦友──友達だろ?」


 と言った。圭兎はトシカリのその言葉に唖然する。

 だが、数秒後。


「俺はお前と友達じゃ無いし。戦友でも無い。むしろ、敵同士だ」


 圭兎は冷たくそう言う。

 だが、トシカリは


「僕はついさっき君を友達だと思ったんだ。だから、勝手に呼ぶよ」


 と笑顔で言う。


「やめろ。気持ち悪い。いや、もう勝手に呼べ。だが、俺は今までと同じ接し方をする」


 圭兎は最初は嫌がったが、こいつは引き下がらないだろうと思い承諾する。別の理由もあるが。


「冷たいなぁ。まぁ、良いけど。改めてこれからよろしく。圭兎」


 トシカリは気持ち悪いぐらいの満面の笑みでそう言い、圭兎に手を差し出す。圭兎はそれを無視する。トシカリはその肩をすくめる。

 なぜ、トシカリは今までずっと敵対していた圭兎と仲良くしようと思ったかというと、仲良くしたら圭兎が言った事──お前に会ったのはこの世界に来てから初めてだと言った事が本当か確かめられると思ったからだ。

 圭兎はそのトシカリの心をなんとなくだが読んでいた。それでも、承諾した理由はトシカリと二人で行動し始めてすぐに、女子陣が合流して話していた会話が聞いたからだ。

 なぜ聞こえていたかというと、圭兎は密かに元の場所に誰にもバレないくらいの大きさのマイクを置いていたからだ。

 ゾンビ達に攻め込まれてもすぐ気付けるようにセットしたはずのマイクだが、女子陣の会話を聞いてしまって圭兎は少し罪悪感を感じた。

 そのために、圭兎はトシカリの提案を承諾した。

 夜になった。

 ずっと、元の世界に戻れるための方法を色々な方角に行って探したが何も見つからなかった。

 圭兎達は諦めて安全に寝れる場所を探した。すると、すぐに見つかったのでその場所で野宿する事になった。

 その場所は普通のビルだった物だ。だが、なぜか浴場が存在していたので大分とくつろいだ。トシカリだけだが。

 トシカリは今、幸せそうに寝ている。圭兎はその顔を見て、呑気なと思った。

 トシカリが熟睡し出してすぐに圭兎は外に出た。

 日課のパトロールのためだ。

 圭兎はビルの全階を見たが弱いゾンビが数体居ただけだった。圭兎は安全のためその何の悪さもして居ないゾンビを殺した。

 次に圭兎は外に出てビルの周りをパトロールしたが、何も居なかった。

 圭兎はビルの出入り口に戻ろうと思った。

 すると、何か嫌な気配がした。

 圭兎は急いでビルの出入口に向かうとそこにはゾンビとモンスターが数百体と二足歩行の大きな機械があった。圭兎はすぐに察した。それを何者かという事を。


「っ!?」


 圭兎は驚く。それはこのゾンビとモンスターと二足歩行の大きな機械のせいでは無い。

 圭兎が驚いたのは頭に文字が浮かんだからだ。

 それだったら圭兎は驚かない。

 では、なぜ驚いたかというと浮かんだ文字が呪文では無く妖刀罪殺の融合形態だったからだ。

 融合形態とは二つ以上の形態が混ざった形態の事だ。その形態は通常は妖刀罪殺が認めた者にしか出来ない。そして、その形態を行なった場合は──。

 圭兎はそれを忌楼から教わった。

 圭兎は嫌な考えが浮かんだが、その考えを頭を振り、消して頭に浮かんだ文字を唱える。


『妖刀罪殺飛行剣士形態』


 そう唱えると一瞬にして黒い羽根が生え、赤黒い色の鎧が装着され、妖刀罪殺が青白く光る。

 圭兎は無言で鞘に収めていた妖刀罪殺を抜き放った。

 妖刀罪殺を抜き放ったため、青白い光が広がる。

 その光に反応してゾンビとモンスターと二足歩行の大きな機械がこちらに向く。


「久しぶりだな。と言っても二日振りだがな」


 圭兎はそう言うと二足歩行の大きな機械が圭兎を見た。


『圭兎! 久し振りね! 会いたかったよ!』


 希楽夢は元気にそう言う。


『あれ? その手どうしたの? 怪我でもした?』


 希楽夢は圭兎の右手を見て心配そうに言う。


「ん? まぁ、怪我みたいなものだな」


 圭兎がそう言うと


『そっか。大丈夫?』


 希楽夢は心配そうに圭兎にゆっくりと近付いて来る。

 圭兎は攻撃を警戒し身体を少し動かす。

 すると、少し身体の感覚が通常時と違うのに気が付く。


「あぁ、大丈夫だ」


 圭兎はそう言って少し身構える。


『それじゃあ、その傷をエグろうか‼︎』


 希楽夢はそう言って圭兎に向かう。

 圭兎はその希楽夢の行動に予想通りだと思う。

 そして、足を踏み込み圭兎は希楽夢に向かう。


『っ!?』


 圭兎は希楽夢が息を飲んだのに気が付く。


「少し場所を変えようか」


 圭兎はそう言う。


『う、うん。そ、そうだね』


 希楽夢は明らか戸惑っている。

 なぜなら、圭兎が足を踏み込んだ瞬間にもう、希楽夢の目の前(と言っても機械のカメラ越しだが)に居て希楽夢に青白く光ってる妖刀罪殺を向けていたからだ。

 圭兎が先頭に立って希楽夢とゾンビ達を先導している。

 背後から希楽夢が攻撃を圭兎に向けてしたがその攻撃を簡単に防いでニッコリと笑っていた。

 希楽夢は、ほとんど戦意喪失状態だ。だが、ゾンビ達は臨戦態勢だ。

 なので、希楽夢は逃げようにも逃げられない。

 そして、今の状況になっている。


「着いたぞ。今回の戦闘場所はここ」


 圭兎がそう言い、希楽夢がカメラ越しに辺りを見回す。

 そこは、如何(いか)にも人が居たら昼は盛り上がっている商店街だった。

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