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滅亡世界 前編  作者: 紙本臨夢
第三章
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三話

今回はほんの少しだけ短いです

 少年トシカリ・ミソンジは貴族の家系に生まれた。

 父親は大手金融機関の社長で母親は父と同じ金融機関の副社長だ。

 トシカリはそんな二人の間に生まれた一人の子供だ。なのでトシカリは昔から甘やかされて育ってきた。

 小学校に入り初めてのテストで悪い点を取ったトシカリ父親は


「お前はうちの会社の次期社長にするからな。勉強なども出来ないといけない」


 と言い無理矢理塾に行かせた。

 それから五年後トシカリは小学六年生になった。そこまで育ってもトシカリは昔に甘やかされていたためにスゴく甘えただった。特に母親にはスゴく甘えていた。

 母親はトシカリが小学六年生になって三ヶ月後に突然、心臓発作を起こし亡くなった。

 そのショックで父親もトシカリも変わった。

 トシカリは誰に何を言われようとも何も答え無かった。

 父親は母親が亡くなって暴力的になった。トシカリと家に居た執事は全員が毎日のように殴ったり、蹴ったりの暴力を受けて酷かったら死に至る人も居た。家に居たメイドは父親には全員が母親に見えて全員性的暴力を受けていた。こちらはメイドが全員死に至った。

 メイドは父親の意向で全員若い人だ。メイドの最高年齢は二十二歳だ。

 父親は人身売買もしていると噂されていてもしかしたら、この家に居たメイドは人身売買で父親が買った女性かもしれない。

 その事を執事は警察に話した。ミソンジ家の経営会社に警察が令状を持って来た。そのため、ミソンジ家の経営していた会社は全て倒産した。

 前までは金持ち天国だったが今になっては借金地獄だ。

 お金が無さ過ぎてトシカリは学校と塾を辞めないといけない事になった。

 そのため、トシカリは塾に辞める旨を伝えに行った。学校へは父親が辞める旨を伝えに行った。

 トシカリが塾に辞める旨を伝えた帰りにここから家は近道だと思い裏道を選んだ。

 すると、いかにもガラが悪い人達に絡まれた。


「おい、平民。少し、俺達お金に困っているから貸してくれない? 貸してくれなかったらどうなるか分かるよな」


 ガラの悪い集団の中に居た一人がトシカリにそう言った。


「これでも、僕は貴族なんですけど」


 トシカリは心の中で元と思いながらそう言うとガラの悪い人達はあからさまに苛立ち始めた。


「はぁ? 平民が貴族様の真似をするだと? ちょっと面貸せや」


 ガラの悪い人達の中の一人が苛立ちながらトシカリの肩を力強く掴んだ。


「いっ!?」


 トシカリが痛がっているがガラの悪い人はさらに力を入れた。そして、トシカリの顔を覗き込んだ。


「ほぅ」


 トシカリの顔を覗き込んだガラの悪い人が何かに頷いていた。

 そして


「お前、平民のクセに……中々顔が整っているな」


 と言った後に「これは高値で売れる」と小声で言った。トシカリの耳には確実にその声が聞こえた。トシカリは人身売買だとすぐに分かった。なので、逃げようとした。だが、ガラの悪い人の力が強過ぎて全く動かなかった。

 そして、トシカリはガラの悪い人に持ち上げられた。

 トシカリは絶体絶命だと思った。

 すると、フードを被った者がこの裏道の入口から現在トシカリ達が居る場所に来た。

 動きはフラフラしていた。

 そのフードを被った者がトシカリというよりガラの悪い人達に近づいていった。

 幸い、彼らには気付かれていない。

 今ならそのフードを被った者はこの場から逃げれるとトシカリは思いながらフードを被った者を見ている。

 だが、直でガラの悪い人達の中で一際ゴツい人に勢いよくぶつかる。

 フードを被った者はその人に謝りもせずにこの場から立ち去ろうとしている。


「オイ‼︎」


 ガラの悪いゴツい人は怒気をかなり含んだ声音でフードを被った者に言った。

 だが、それでもフードを被った者は無視だ。


「オイ‼︎ テメェ‼︎ 人様にぶつかっておいて謝罪の言葉も無いのか? あぁ?」


 ガラの悪いゴツい人はそう怒りながらフードを被った者に言う。

 それでも無視だ。

 我慢を切らしたガラの悪いゴツい人はフードを被った者の肩に手を触れた瞬間に地面に倒れ伏せていた。


「っ!?」


「テメェ‼︎ よくも‼︎」


 ガラの悪い人達とトシカリの言葉も感情も全く違うかった。

 ガラの悪い人達が感じた感情は怒り。

 トシカリが感じた感情は恐怖と尊敬と驚きだ。

 他のガラの悪い人達もフードを被った者に触れた瞬間に地面に倒れている。

 トシカリは素直にスゴイと思った。

 フードを被った者はそのままこの場を立ち去ろうとした。


「あの!」


 トシカリはそう立ち去ろうとしたフードを被った者に声をかけた。

 フードを被った者はその声に振り返った。


「どうして、僕を助けたのですが?」


 トシカリがそう言うとフードを被った者は


「唯の気まぐれだ」


 と言った。その声はトシカリの予想以上に高かった。

 トシカリは気まぐれで人を助けるなんてスゴイと思った。


「この人達死んでませんよね? 死んで無いとしてもここまでする必要はありましたか?」


 トシカリは地面に倒れている人達を見て可哀想に思いフードを被った者に聞いた。


「死んでないが、一般的にはここまでする必要は無い」


 フードを被った者はそう言い、一呼吸して


「だが、俺みたいな偽善者はここまでしないと気が済まないからな」


 と言った。トシカリはその言葉に驚いた。


「あの、気のせいだと思うのですが他にも理由がありますよね? ここまでする必要がある事とどうして僕を救ったかの」


 トシカリは失礼だと思いながらそう聞いた。

 トシカリのその言葉にフードを被った者が「ふっ」と密かに笑った気がした。

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