二話
圭兎が目を開けると薄っすらと朝日が差し込んでいて眩しかった。
圭兎は少しの間頭を留守にしていた。
突然、圭兎は「やっちまった」と小声で言った。
圭兎はこの周辺をパトロールしてから、この場所に戻って来て考え事をしていた。そして、気が付いたら寝ていた。
圭兎は急いで赤く汚れている身体全体を洗える場所まで行って身体全体を洗った。
身体を洗い終わった後に身体全体を洗える場所まで持って行っていた服を着た。圭兎の服装は国立丘道学園の制服だ。その制服の腰に日本刀を付けているので圭兎は何となく違和感がある。
圭兎は、俺達がこの世界に来てもう、五日経ったのか。元の世界じゃ五時間だけどと思った。
圭兎は元の自分が寝落ちしていた場所に行った。
そこで、突然圭兎はこれからの行動方法についての案が頭に浮かんだ。
圭兎は全員が起きてくるのを二時間待った。
それから数十分後。圭兎とトシカリの男性陣は女性陣を待っていた。二人共無言で。女性陣は朝のシャワーを浴びに行って帰ってきた。そこから、朝食を食べて片付けをしてから圭兎は珍しく全員を引き止めた。そして、二時間数十分前に頭に浮かんだ案を言った。
その内容はグループに分かれて、一グループ二、三人のグループを五つ作ってこの世界を抜け出すための鍵を東西南北あちこちに散らばって探す。見つけても、見つからなくても二日後にこの今いる場所に集まるという内容だった。
その案に異論は無かったが、グループ決めでどういう分け方にするかで揉めた。圭兎の出したグループの分け方についての案はすぐに拒否された。
紆余曲折があって最終的にはクジで決める事になった。男性陣は遠慮して女性陣に先にクジを引くよう促した。
男性陣がクジを引かずに決まった。
グループのメンバーは
一グループ。北を探すグループはエリカ・タンダクと水川忌楼。
二グループ。南を探すグループはミレイ・レイシンとクラル・エルザと初瀬川孤卯未。
三グループ。東を探すグループは雨美とミリカ・リンジカ。
四グループ。西を探すグループは蘭駈鏡子と美佐。
五グループ。東西南北以外の場所(例えば東南等)を探すのは志水圭兎とトシカリ・ミソンジ。
皆、そのグループ分けに納得していた。五グループを除いては。圭兎は凄く嫌そうな顔をしていてトシカリは嫌そうに口角を引きつらせている。
「それじゃあ、別れようか」
ミレイは圭兎とトシカリの様子を見てどう思ったのか微笑みながらそう言った。
そのミレイの合図で一から四グループはそれぞれの持ち場の方角に向かって行った。
数分間、この場所には呼吸の音以外の音は聞こえなかった。
すると、トシカリが突然言葉を発した。
「僕も嫌だけど。僕達が一番持ち場が広いから動こう」
トシカリがそう言うと圭兎は嫌々ながらそれを承諾して歩き始めたトシカリとの距離を大分と開けながら付いて行った。
その頃他のグループはさっきの場所に全員戻った。
「あの二人が仲良くすれば良いのだけれどのね。二人の過去にも何か事情があるのだろうね」
ミレイがそう言うと、確かにとこの場に居る全員が小さく頷いた。
「さて、もう一度言うよ。今から別れよう。みんな二日後無事にここに集まってね」
ミレイがそう言うと
「どうして、圭兎達が居る時にその言葉を言わなかったのですか?」
と忌楼は聞いた。
すると「あの二人が死ぬ訳無いからね」とすぐに答えた。忌楼は確かにと思った。
数分後。圭兎達は森みたいな所を抜けてどこかに来た。この数分間二人は無言だった。
すると、突然大きなドラゴンが二人の森を抜けた二人の元へやって来た。
戦闘慣れしている圭兎はすぐに妖刀罪殺を構える。だが、戦闘慣れしていないトシカリは構えるのが少し遅れた。それが、知能があるかのように隙と判断したドラゴンは圭兎に火を噴き火で囲んだ。その間にドラゴンは悠々とトシカリの元へ行きトシカリを掴んだ。トシカリはこのまま潰されると思ったが、潰されなかった。その代わりドラゴンは知能があるかのように崖から海に投げ捨てられた。トシカリは死んだと思った。志水が助けに来るはずが無いし、助けに来ようしても囲まれた火に包まれて死ぬ。トシカリは確実に死を覚悟した。
すると、突然今までの記憶が走馬燈のように蘇ってきた。しかし、その走馬燈も滅亡世界に来てからの記憶しか蘇らない。
「ガアァァァ!!」
ドラゴンの声が聞こえた。
そのすぐ後に何が空から降って来ている。
トシカリはその何かは危険な物だと思ったので触らなかった。
トシカリは海面に直撃した。だが、その寸前に何かに包まれて殆どの衝撃がトシカリには来なかった。だが、トシカリはそこで気を失った。
トシカリは目を開けた。すると、空は暗くなっている。だが、焚き火が横にある。なので、別に寒くない。裸だが。と言っても股間の辺りは大きな草の葉で隠されている。トシカリは確認するためまだ起き上がれないので横に寝返りをする。だが、誰も居ない。
突然何かの食べ物がトシカリに投げられる。
だが、周りを見ても誰も居ない。
トシカリは投げられたのは食べ物だとすぐに分かったので毒があるかも知れないが齧る。その食べ物は齧った瞬間は少し酸っぱくて、渋味があるが噛むに連れてどんどん甘くなっていく。
トシカリは予想外に美味しかったので急いで食べた。
今度は何かの飲み物とさっき投げられた食べ物が投げられた。
トシカリは有難くそれを貰った。
トシカリはまた、急いで投げられた物を食べた。すると、喉にその食べ物が詰まったので渡された飲み物を飲んだ。
「ん?」
トシカリはその飲み物が何の匂いも味をしなかったので不思議に思い首を傾げると突然尋常じゃない辛さを感じた。
「か……か……か……」
あまりの辛さに『か』しか言えなかった。
「ハハハハハ」
そのトシカリの様子を見て今トシカリが居る場所にある洞窟の中から笑い声が聞こえてきた。
洞窟の中から何も言っていないのに圭兎が出てきた。
数分後。
「志水。どうして僕を助けたんだ。嫌いな筈だろ」
口の中の辛さが収まったトシカリは落ち着いて圭兎に聞いた。
「実は俺、昔に色々あって目の前で人が死ぬのを見るのが嫌なんだ。難儀な性格だ。例えその相手が嫌いでもだからな」
圭兎は素直に答えた。トシカリは「色々って何?」と聞いたが圭兎は「俺にとっては辛い過去だから絶対に言わない」とキッパリ拒否した。
「それじゃあ、僕が君みたいな人が嫌いな理由を教えるよ。僕にとって一番辛い過去を……助けてくれたお礼に教えてあげるよ」
トシカリはそう言って話し始めた。




