九話
孤卯未が目にしたのは周りを見ても草しか無い草原だ。
孤卯未は考えるために頭に手を当てようとした。
だが、途中で止まった。
なぜなら、自分の手がこどものような大きさの手になっていたからだ。
驚いた孤卯未は自分の身体を全体触った。
触り終わってから孤卯未はあることを確信した。
それは、自分が小さくなっていて今までの事が全て夢だったということだ。
孤卯未は空を見上げた。空は雲一つ無い快晴だ。
孤卯未は気持ちを落ち着かせるため深呼吸した。
吸った空気は心地良いくらいの暖かさだ。
吐いた息はその空気を暖めている。
孤卯未は気持ちが落ち着いてからひとまずここは、どこか考えようとした。
すると
「孤卯未ぃ」
と孤卯未の名を呼ぶ人の声が聞こえてきた。
孤卯未はその声に振り向いて相手の顔を見るとすぐに父親と分かった。
なので
「父さんどうしたの?」
と孤卯未は聞いた。
すると
「どうしたじゃないよ。いつも通り孤卯未を迎えに来たんだよ」
と父親はすぐに答えた。
そして
「帰ろうか。家で母さんが待ってるよ」
と言ったので孤卯未は「うん!」と元気に頷いて父親に付いていった。
「ただいま」
家に着いたので孤卯未は元気にそう言った。
すると、母親は
「早く手を洗ってきなさい。ご飯にするわよ」
と言ったので孤卯未は素直に頷いて手を洗いに行った。
すると
「あなたも洗ってくる」
と母親は少し怒り気味に言ったので父親が「おぉ怖い怖い」と言いながら手を洗いに行った。
手を洗い終わったので孤卯未達は「いただきます」と言ってご飯を食べ始めた。
孤卯未が夢の事を話した。
すると父親が
「それが正夢だったりな。それ出したら父さん達も死ぬ事になるのか。まぁ、無いだろう。父さん達が孤卯未を置いて死ぬはずがないだろう」
と笑いながら言った。
孤卯未が夢の事の覚えている部分を全て話し終わると父親が
「今度の日曜日に遊園地に遊びに行こうと思うんだ。家族で」
と突然言い出したが孤卯未は喜んだ。
両親はその孤卯未の姿を見て微笑んだ。
日曜日になった。
孤卯未は遊園地行くのに楽しみで朝早く目覚めた。
だが、孤卯未はすぐに嫌な現実を思い出した。
それは、車に乗らなくてはならない事だ。
なぜなら、孤卯未は車に少し酔うからだ。だが、今まで吐いた事がない。吐いた事が無いだけでいつも吐き気を感じている。
案の定、車で遊園地へ行った。
だが、今回は吐き気を感じなかった。
入園料を払って遊園地に入園した。
孤卯未は行ける気がして七年間生きて初めてジャットコースターに乗ろうと思った。
乗ってみた結果──トイレで吐いた。
孤卯未はしばらく休憩すると言い休憩所へ行った。
両親は当たり前のように付いてきた。
孤卯未は溜息を吐きながら
「二人で遊んで来なよ」
と言ったが
「娘がこういう状況なのに遊びに行く親が居るわけ無いだろ」
と言われた。孤卯未は自分のせいで二人も楽しめ無くなると思いそう言ったが断られたのに対してどうしようと思った。
すると、出入口の方から知り合いの少年が来たのを見つけた。
少年は孤卯未の状況を見て今の状況をすぐに察したのか孤卯未に向かって来て孤卯未の隣に座り
「疲れたから、俺はこいつと一緒に休憩しとくから俺の所の父さんと母さんとこいつの所の父さんと母さん四人で遊んで来れば良いじゃん。知り合いなんだし」
と孤卯未の所の両親と少年の所の両親に言った。
すると
「本当に良いのかい?」
と孤卯未の所の父親に少年は聞かれて頷いたので孤卯未の両親は後ろ髪を引かれながらも四人で遊びに行った。
数分か数十分か分からないが少年は無言だったので孤卯未は居心地が悪くなり話しかけた。
「何のアトラクションに乗ったの?」
孤卯未がそう聞くと少年は
「何も乗ってないよ。人が多い所少し苦手だし」
と答えた。孤卯未はその答えでさらに疑問を感じ
「どうして遊園地に来たの?」
と聞いた。すると、少年は
「無理矢理連れて来られた」
と答えた。孤卯未は「そう」と小声で言った。
「あっ‼︎」
孤卯未は何かを突然思い出したかのように声を上げた。
「妹さん達は?」
少年が「どうしたんだよ?」と聞く前に孤卯未はそう聞いた。
「二人共友達の所に遊びに行った。だから、俺が遊園地に連れて来られたんだよ」
少年はそう答えた。孤卯未はまた「そう」と一言だけ小声で言った。
その後は一方的に孤卯未が話した。主に夢の事を。
気が付くと時刻は午後四時に回っていた。話し始めたのが午前十一時からだったので、大体五時間ぐらい話していた。ずっと、話していたので昼食も食べていない。
すると、少年は親がまだ当分帰って来ないのを確認すると「さて、昼飯食おうか」と言い出すと突然、孤卯未の腕を取り引かれた。
そして、着いたのは園内にある軽食屋。
少年はそこでサンドウィッチとホットドッグを頼んだ。
そして、孤卯未に「どっちが良い?」と聞き両方差し出してきた。孤卯未は戸惑いながらもサンドウィッチの方を取った。
すると、何かに気付き少年は
「ちょっと、そこで待っててくれ」
と言い椅子を指してどこかへ行った。
そして、少年は戻ってきた。孤卯未はサンドウィッチを食べずに待っていた。
そして、少年はまた「どっちが良い?」と聞いた。今回持っていたのはオレンジジュースとソーダだ。孤卯未はまた、戸惑いながらオレンジジュースを選んだ。
そして、二人で「いただきます」と言い遅い昼食を食べ始めた。
遅い昼食を食べ終わると二人は元の休憩場所に戻った。
だが、まだ、両方の両親は来ていなかった。
それから、数分待つと両方の両親が帰ってきた。
少年は少年の母親に手を引かれて帰って行った。別れの挨拶もせずに。
孤卯未は少し両親を待つ事になった。
なぜなら、二人が「湖」「紅」と言いながらイチャイチャしているからだ。二人は楽しい事があったら時々こうなる。孤卯未は呆れながらも恥ずかしかった。
孤卯未達は遊園地を出て帰路に着いた。
すると、父親──紅が突然行きとは違う道で帰り始めた。
孤卯未が首を傾げていると
「行きは時間があったから通らなかったけど、こっちの道の方が近道なんだ」
と紅はそう言った。
すると、何かの衝撃が突然感じた。
横を見ると対向車が車線をはみ出してこちらに来たため、ちょうどカーブだったので車線をギリギリはみ出さない場所に居たため、車線をはみ出した対向車にぶつかられたのだ。
「驚いたぁ。本当に驚いたぁ」
孤卯未はなぜか二回言った。だが「確かになぁ」と紅に流された。
「ま、こちらも悪いから仕方ないよ」
紅はそう言った。
紅の性格上相手を悪く言うのが苦手だ。例え自分に落ち度が無かったとしてもだ。
「ちょっと、暑くなってきたね。窓を開けよう」
紅はそう言って窓を開けた。
すると、何かが転がり落ちてくる音が聞こえた。
そして、横を見ると大きな岩が目の前にあった。
そして、孤卯未達が乗っている車に衝突した。
大きな岩に当たった孤卯未達が乗った車は大きな岩が転がり落ちて来た方向とは逆の横にあった崖に落ちていった。
孤卯未はそっと目を開けた。
そして、今の光景を見た。
その光景は孤卯未にとってはまさに地獄絵図だった。
車から孤卯未だけが飛び出ていて中にまだ、両親が取り残されているのにガソリンが辺りに飛び散り車が爆発した。爆発で生じた火が崖の下にあった森に燃え移り孤卯未の周りは一面炎だった。
「あ……あ……っ!?」
孤卯未はその光景で叫ぼうとすると轟音を立てながら救助ヘリが来てすぐに孤卯未を発見し、孤卯未は救助ヘリに乗っていた救助隊に救われた。
孤卯未の意識はそこで消えた。




