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滅亡世界 前編  作者: 紙本臨夢
第一章
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二話

 圭兎は貴族達と別れた場所から少し歩いた場所に建てられている博物館にいた。


「武器を何か持っていたほうが良いだろうな」


 圭兎は独り言を言った。

 少し歩くと“刀館(かたなかん)”と書かれた場所があった。圭兎がそこに足を踏み入れた。

 すると、出入口の正面の場所に置いてあるガラスケースの鍵が掛かっていなかった。圭兎はその光景を不思議に思い“刀館”の中を歩き回った。


「どういうことだ?」


 圭兎が、“刀館”を歩き回った結果、出入口の正面に置いてあるガラスケースだけ鍵が掛かっていなかった。圭兎はその状況を不思議に思ったのでそこにある刀に触れてみた。すると、


『あなたを“妖刀罪殺(ようとうざいさつ)”の持ち主と認める試練を開始します』


 と言う声が圭兎の頭の中に響いた。


「くっ! なんだよこれ!」


 声が響いた瞬間、圭兎の中によくわからない物が流れ込んだ。


「ふぅ...。うっ!」


 圭兎は流れ込んできた良くわからない物が消えたので一息ついた。だが今度は、恐怖·苦しみ·悲しみ·絶望などの人間が抱くであろう全ての負の感情が激流のごとく圭兎に流れ込んだ。


「ぐっ! あぁぁぁぁ!!」


 圭兎は激流のような負の感情に耐えた。だが、負の感情が消えた次の瞬間、体が引きちぎられそう痛みが全身に張り巡らされたので、圭兎は声を上げた。



「はぁ...はぁ...はぁ...耐え...抜いたぞ...」


 圭兎はあの、全身が引きちぎられそうな痛みをを耐え抜いて思わず呟いた。


『あなたを、妖刀罪殺の持ち主と認めましょう』


 圭兎の頭の中に、その声が響いた。



 圭兎がこの集団の皆が驚くような暴言を吐いていなくなってから数時間が過ぎた。

 この数時間まだ、彼の名前を知ってすぐの人達もショックでずっと無言だった。前から、彼の知り合いのエリカに至っては、ずっと泣いていた。


「エリカ...。もう少しで夕時だからこの世界で生きていくために必要な物を集めに行くよ」


 トシカリは少し戸惑いながらもエリカにそう声をかけた。


「はい、分かりました。私も付いていきます」


 エリカは涙を拭いながらそう言った。


(志水。今度会ったら説教してやる)


 トシカリは、エリカの様子を見てそう思った。



「ねぇ、トシカリ。どういう方法でこの世界での生活必需品を集めるの? まさか...」


 ミレイはある考えを持ちながらトシカリに聞いた。


「うん、そのまさかだよ。スーパーなどの食品やキャンプ用品を置いてあるお店から集めるんだよ」


 トシカリはミレイの考えを予想し肯定した。


「やっぱり。でも、その方法じゃないと私達は生き残れないものね。仕方ないよ」


 ミレイは少しだけ自嘲的な笑みをしながら言った。トシカリも全く同じ笑いかたをした。



「さて、スーパーに着いたし犯罪だけど漁ろうか」


 少し歩いてからスーパーに着いたのでトシカリは皆に言った。だが、よく見ると神様達がいなかった。


「呆れられたかな?」


トシカリはそう言いながらも、当たり前だよなと思っていた。



「えっと、盗ってきたのは、テントに食料に寝具だね。さて、元の場所に帰ろうか」


 トシカリがそう皆に言い帰路についた。

 こんなことをしていたら、いつもなら怒るエリカはずっと無言で下を向いていた。


 圭兎は妖刀罪殺を手に入れて、もう貴族達はいないだろうと思いを元の場所に戻った。だが、圭兎の予想は大きく外れ貴族達がいた。


「へぇ、ここから移動しないんだぁ」


 圭兎は相手を腹立たせるような言い方で貴族達にそう言った。すると、


「っ!!」


 すると、圭兎はトシカリに胸ぐらを掴まれた。


「何だよ。離せよ」


 圭兎はいきなり掴まれたので、静かな声でそう言い睨んだ。だがトシカリは離さなかった。


「君は、僕らの気持ちが分からないのかよ! あの言葉で、傷ついている奴もいるんだよ!」


 トシカリは、胸ぐらを掴んだ圭兎に怒りをぶつけた。そのトシカリの様子を見て、昔から知り合いのその場の貴族達が皆、あんまり怒らないトシカリが怒ったので驚いていた。


「離せよ」


 圭兎は静かに言った。


「離すものか! 君が、僕達の事を理解しないからな!」


 圭兎の言葉にトシカリはさっきよりも強く怒った。


「離せって言っているだろうが! 何だよ、俺の事も理解しないくせに、自分らだけ理解してもらおうとしてんだよ!」


 圭兎はトシカリの言葉にあまりにも腹が立ち、トシカリよりも強く怒った。


「っ!?」


 トシカリは圭兎に、あまりにもスゴい気迫で言われたので息を飲んだ。


「別に、理解しなくていいしな。前に言った通り、俺に二度と関わらなかったらな」


 圭兎はそう言い、その近くにあったビルの中に入っていった。

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