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滅亡世界 前編  作者: 紙本臨夢
第二章後半
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四話

 孤卯未は家事を終わらせ夕食を食べて片付けをしてから忌楼と昨日と同じ河川敷で一緒に特訓している。今回の特訓内容は前回と同じ筋トレとランニングに竹刀での素振りが追加された。

 孤卯未は息を切らしながら無言でやっている。

 すると、忌楼が突然


「あの老夫婦には気を付けたほうがいいですよ。何かを確実に隠しています」


 と言い出した。孤卯未は忌楼が心を読むだろうと思い心の中で


「分かっている。あたしもなんとなくそんな気がしている」


 と言った。すると、孤卯未の予想通り忌楼が孤卯未の心を読んで「なら良いです」と一言だけ言った。

 一方その頃、洞窟の中では男性と女性の二人が歩いていた。

 すると、女性が


「この洞窟……こんなに長かった?」


 と男性に聞いた。その質問に男性は頷いて


「うん。長かったよ。前にこの洞窟を通った時は君は体調を崩していて寝込んで、僕が運んだからそう思うだけだよ」


 と素直に言った。

 すると、女性は身を縮こませて「ごめんなさい」と謝った。

 だが、男性は


「いやいや、謝らないでよ! そんなつもりで言ったわけじゃないし」


 と焦りながら言った。女性はこの話を止めた。


「それじゃあさ、あと何時間後位に着くの」


 女性はそう聞いた。すると、男性は


「えっと……今は洞窟に入って十四時間だから……後二時間位かな」


 と腕時計を見ながら言った。


「……後二時間……」


 女性はそう男性に聞えないような小さな声で呟いた。

 すると、男性は突然「少し遅いけど夕食にしよう」と微笑みながら言った。女性はそれに頷きこの洞窟に来る途中にあるコンビニで買ったおにぎりを一緒に食べ始めた。

 夕食を食べ終わりまた、すぐに歩き始めた。

 数分歩くと、どこからか物音が聞こえて来た。


「……何の音?」


 二人共気付いたが女性が隣に居る男性にしか聞こえないような小声で呟いた。

 二人は自分の持っている武器をすぐに構えた。

 だが、何も起こらなかった。女性が安心して武器を仕舞おうとすると、突然普通の岩の天井だった所から何かが降ってきて二人を殺そうとした。男性はすぐに対応してその何かの首を斬り落とした。


「……ゾンビか」


 男性は首を斬り落とした後、すぐにそう呟いた。女性はその言葉に無言で反応をして仕舞おうとしていた武器を構えた。

 突然四方八方からゾンビが大量に出てきた。

 その様子を見て女性は「作戦成功だね」と呟いた。男性はその呟きに頷いて「まさか、本当に成功するとは」と驚いた。

 その作戦内容は二人は油断していると相手に思わせおびき寄せるという簡単な作戦だった。


「この作戦に引っかかるということは……あの人達じゃないね」


 男性がそう言うと女性は無言で頷いて、


「それじゃあ殺りましょうか」


 と言った。今度は男性がその言葉に無言で頷いた。

「それじゃあ、協力して倒そう」と男性が言うと「分かったわ」と女性がそう言い背中合わせになる。

 すると、二人は何かの薬を身体に打ち込む。

 二人は笑う。

 すると、男性がゾンビが前に溜まってきたのを確認すると


「烈火の炎に包まれて消し炭になれ‼︎」


 と呪文を唱え


「フレイムバースト‼︎」


 と右手を前に出して叫んだ。

 すると、男性の前に出した右手から大量の炎が出てきて前に溜まっていたゾンビ達は一瞬にして燃えカスとなった。

 女性はその男性の様子を見て微笑み自分の見える範囲ににゾンビが集まっているのを確認してから


「人の命は皆平等である。あなた達もゆっくりおやすみ」


 と言ったら光がゾンビ達に放たれた。すると、女性は神の様な笑顔を見せた。そして、ゾンビ達は成仏していった。

 男性はその女性の様子を見て


「相変わらずその笑顔は僕でも成仏しそうなくらい安心するよ」


 と女性を褒めた。すると、女性は微かに頬を赤らめた。


「それを言うなら、相変わらずあの炎は貴方の姿でも頼り甲斐がある様に感じるわ」


 頬を赤らめたまま女性がそう言うと今度は男性にが頬を赤らめた。

 そして、二人は見つめ合った。


「何しているんだろう。私達」


 そう女性が言うと「だね」と照れながら男性は言った。


「さて、ここだね」


 男性がそう言いながら何の変哲も無い岩の壁を見た。

 女性が隣に来ると男性は壁に手を当て力を少し入れて壁を越え押した。

 すると、壁は一度奥に行きその後横に行った。

 そして、二人が入るとと壁は閉まり始めた。

 二人は切れかけている蛍光灯しか灯りの無い廊下を歩いた。

 すると、少し進むと一つの広い部屋に出た。

 すると、白衣を着た若い女性の研究員が来た。二人は武器を仕舞った。

 すると、その研究員は両手を広げて


「久しぶりだね。二人共」


 と言い抱き寄せた。

 若いと言っても二人よりは歳が上だ。

 すると、二人は何かを察した。


「貴女ですか。あのゾンビを僕達の所へ来させたのは」


 男性がそう言うと研究員の女性は「そうだよ」と素直に認めた。


「そうですか。それより、父様と母様を呼んで頂けませんか?」


 男性がそう言うと研究員の女性は


(こう)さんと(うみ)さんだね。分かった。ちょっと待ってて」


 と言ってこの部屋を出ようとした。すると、


「やぁ。久しぶりだね。洸夜(こうや)美右(みう)。何の用だい」


 と言い紅が来た。その後ろに湖も付いて来ていた。湖は洸夜達を見ると辛そうな顔をして顔を背けた。


「今回は正気なんだ。……今日は、話があって来たんだ」


 洸夜がそう言うと紅が


「正気? そうか分かった。ちょっと隣の部屋に行こう」


 洸夜の正気と言う言葉に首を傾げながらも隣の部屋を指差して洸夜達を連れて行った。

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