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滅亡世界 前編  作者: 紙本臨夢
第二章後半
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三話

 孤卯未が朝、目を覚ましたのは自分の部屋にある自分のベッドだった。いつもならそれは当たり前の事だが、今回は不思議な事だ。なぜなら、孤卯未の最後の記憶はコンビニ雨が降っていたので傘を買った事だ。

 孤卯未はどうやって家に帰ったか必死に思い出そうとしている。

 すると、忌楼が


『おはようございます。昨日はよく眠れましたか?』


 と孤卯未に聞いた。その忌楼の声に孤卯未は驚いた。なぜなら昨日は忌楼が孤卯未に憑いている時は忌楼の声は孤卯未に届かなかったからだ。孤卯未が驚いていると忌楼は笑いかけた。

 すると、


『こっちの方が喋ったり出来ますし、私と貴女の繋がりが緩い分私の力を使わないので一石二鳥なんですよ』


 と孤卯未は忌楼に説明されて納得出来たがまだ何かあると考えている。


『ご不満でしょうか?』


 忌楼は心配そうな目で孤卯未を見ている。そんな忌楼の様子を見て孤卯未は無理矢理笑顔を作って首を横に振った。

 孤卯未は首を振ると鏡で自分の笑顔が見えたので、我ながら上手く笑えていると思った。

 忌楼は孤卯未を反応を見て喜んでいる。


『良かったです。ですが、私達以外の他人が居る時は喋りかけませんし姿を現さないのでご安心ください』


 忌楼は微笑んだ。孤卯未はやっぱり今は姿を現しているんだと思いながら忌楼の微笑みを見ていた。

 すると、忌楼は突然消えた。

 孤卯未は驚いた。すると、部屋の扉がノックされた。

 そして、老婆が入って来て「ご飯よ」と言われた。孤卯未はその言葉に


「はい。分かりました」


 と言い頷いて着替えずに下の階に降りていった。

 すると、朝食が用意されていた。孤卯未が座ると「それじゃあ、皆で手を合わせていただきます」と言い朝食を始めた。

 朝食を始めてすぐに老爺が深刻そうな顔で「少し話を聞いてくれ」と孤卯未に言った。

 孤卯未は素直に頷いた。


「僕達はこれからしばらくの間出張するから留守番を頼めるかい?」


 老爺がそう言った。孤卯未は三つの意味で驚いた。

 一つは突然そう言われたこと。もう一つは老爺が僕と言ったこと。最後の一つは老夫婦がまだ現役で働いていたからだ。

 孤卯未はその中一つ聞こうと思った。


「まだ仕事現役だったの?」


 孤卯未がそう言うと、老爺が「言ってなかった?」と言ったので頷いた。

 すると、聞いてないのに


「研究者をちょっとね」


 と言い出した。


「っ!?」


 孤卯未は息を飲んだ。なぜなら、忌楼の過去を聞いたからだ。孤卯未は不吉なある推測を立てた。すると、いつの間にか老爺の隣に居た老婆は人差し指で孤卯未にバレないように小突いた。実際、孤卯未にはバレなかった。

 老婆のそうされて老爺はしまったっと言う顔をした。


「……何の……研究をしているの?」


 孤卯未は恐る恐る老爺に聞いた。

 すると、老爺は老婆に耳打ちをし始めた。

 そして老婆は頷いた。

 孤卯未はその様子をまて研究内容を言っていいのかと言う確認かなと思った。


「普通は秘密なんだけど。特別に教えるよ。実は……」


 老爺はそう勿体ぶった。孤卯未は顔が強張った。

 そして、老爺は口を開いた。


「食品に有害物質が入って無いか食前に手頃に確認するための装置を作る研究をしているんだ。それが中々出来なくて研究所に泊まり込みになるんだ。悪いね出張なんて嘘ついて。これも食の安全のためだよ」


 老爺はそう言った。孤卯未は安心した。そして、ある疑問が浮かんできた。


「どうして、泊まり込みなのに出張って嘘ついたの?」


 孤卯未がそう聞くと老爺は


「泊まり込みって言ったら孤卯未が来ると言い出すと思ってね。研究所の場所は例え家族だったとしても部外者には教えたらダメと言う規則だからね」


 と言った。孤卯未は心の中でダメって言われたらさすがに行かないよと言った。


「いつ行くの?」


 孤卯未は心の中で言った事と違う事を言った。


「朝食を食べたらすぐに」


 老爺に聞いたのだが老婆が答えた。


「そう」


 孤卯未はその後の食事の時間は無言で居た。


「それじゃあいってくるね」


 食事が終わった後、老夫婦はそう言いすぐに出て行った。


「いってらっしゃい。無事に帰ってきてね」


 孤卯未は妙な胸騒ぎがしたのでそう返した。

 すると、老夫婦は笑顔で出て行った。

 孤卯未は「さてと、家事をやらなくちゃ」と一人で言い家事に取り掛かった。

 数分後。ある森の中で二人の若い男女が話している。


「あの子心配性だね」


 若い女性はそう言った。すると、若い男性が


「仕方ないよ。幼い頃一度両親を事故で亡くしているんだから。しかも目の前で」


 と昔の事を思い出す様な遠い目でそう言いながら空を見上げた。


「私達で親代わりになってあげられるかな?」


 女性はそう心配そうに男性に聞いた。

 すると、男性は


「大丈夫だよ。少なくとも今は」


 と何かを含んだ様な言い方をした。


「いずれは……」


 と女性が悲しそうな目で


「うん。いずれは……」


 と男性が女性の言葉を肯定して悲しそうな目で


「僕達がいらなくなる」


 と二人で声を合わせて言った。

 そして、円形の草原に来た。


「さて僕達は今、僕達にしか出来ないことをやろう」


 そう男性が言うと少し歩いた所に大きな洞窟があった。

 二人はその洞窟の入り口の横の草原より背が高い草で出来た草むらを漁った。

 すると、中から取り出したのは男性は大剣で、女性が取り出したのは双剣だった。


「さぁ、止めよう。あの実験を」


 男性がそう言うと女性が静かに頷き二人は白衣を羽織った。

 そして、洞窟の中に入っていった。

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