表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅亡世界 前編  作者: 紙本臨夢
第二・五章
18/58

一話

 忌楼は今、戦っている。

 時代は戦国時代。

 彼女の家は生まれつき武士の家系だったので、そのため、特訓をしていた。

 そして今、忌楼は初陣だ。

 女性というより少女という年頃だ。

 忌楼はどんどん、敵を斬っていった。

 そして、敵の大将の首を跳ねるため敵の大将と一騎討ち状態だ。

 忌楼はまだまだ、下っ端なので馬には乗っていない。

 つまり歩兵だ。

 敵の大将は大剣を持っている。一方の忌楼は何か妙な柄が入っている刀だ。

 敵の大将の威厳に少し後退りをしたが、自分の身を叩いて気合いを入れ直した。

 敵の大将は忌楼にしたら隙だらけだった。

 何? この人? 素人? と忌楼は疑問に思いながらも、これは好機だと思い敵の大将に斬りかかった。

 まずは、横一閃に刀を振った。これは予想通り避けられた。

 次に袈裟斬りをした。敵の大将は危なく避けた。

 忌楼はニヤリと笑い、逆袈裟斬りをした。

 忌楼はこれで終わりと思った。

 だが、敵の大将は忌楼の思いに相反し、その逆袈裟斬りを大剣で受け止めた。

 そして、鍔迫り合いに持ち込まれた。

 忌楼はこのままでは力負けをすると思い、敵大将に足を引っ掛けようとした。

 だが、敵大将の「殺れ」という言葉を最後に、背後から何者かに心臓を一刺しされた。

 人間とは驚くことに心臓を刺されても数十秒は動く。

 だが、忌楼は身体を鍛えていたせいかバランスを崩して倒れたが意識があった。

 そして、忌楼が最後に見たのは血塗れの地面に刀身から突き刺さっていた妙な柄が入っている忌楼が使っていた刀が血塗れの地面から血を吸収して、忌楼は珍しいと思っていた黒色だった、刀身が赤黒い色になっていた。

 そこで忌楼の意識は途切れた。

 次に忌楼が目を覚ましたのは奇妙な色のした灯が目立つ部屋だった。

 忌楼は身体を動かした。いや、動かそうとした。だが、動かなかった。

 忌楼は不思議に思い自分の身体を見た。

 すると、服が着てなくて色々な機械が身体中に貼りついていた。

 忌楼は何気無く上を見た。

 そして、今は何かの液体が沢山入っているカプセルの中にいることを知った。

 すると、忌楼が入っているカプセルの前に白髪の僅かに腰が曲がっている老婆やって来て忌楼を見て、目を見開いている。

 その老婆はカプセルの前から居なくなり何処かへと行った。

 戻ってきたら、老婆が何十人もの人をカプセルの前に連れて来た。

 そして、何かを話し合っている。

 皆、身振り手振りで何かを表している。

 そして、最後に後から来た人の中に居た若い長身の好青年が首を横に振って、その場は解散した。

 それから、しばらく経った時に首を横に振った青年が忌楼が入っているカプセルの前に一人で来た。

 カプセルの下にある機械を操作した。

 すると、カプセルの中に溜まっていた液体の量が忌楼の首元ぐらいまで減った。

 さっきまで、水の中に居た忌楼だが、何故か息苦しく無かったので空気を吸える所まで液体の量が減ってもずっと、安定な呼吸の仕方だった。


「聞こえるかい?」


 青年は少し大きな声でそう言った。忌楼は無言で首を縦に振った。その忌楼の反応を見て青年は微かに微笑んだ。

 すると、青年突然申し訳なさそうな顔をして頭を下げた。


「すまない。平和の為とはいえ人を実験体として使い」


 青年はそう言った。忌楼の反応を待たずして青年は言葉を続けた。


「君は何百年も前に亡くなった故人だという事も知っている。だが、今の所この刀との適合率が一番高いのは君だ」


 青年はそう言い、背中から刀を取り出した。


「っ!?」


 忌楼は息を飲んだ。なぜなら、その刀は紛れも無く自分が初陣の時に使っていた刀だったからだ。


「それ……を……何処……で……?」


 忌楼は言葉を上手く発せなかったので、途切れ途切れに聞いた。

 青年は何かを言いかけたが言葉を飲み込んだ。

 そして、


「博物館に展示されてたのを譲って貰ったんだ」


 と目を逸らして言った。忌楼はこの青年は必ず何か隠していると確信した。

 すると、横の部屋から若い長身の美人が来て


「今から、開始します。まずは、そこの人からです」


 と忌楼の真正面にあるカプセルを指差して言った。

 そして、青年がカプセルの下にある機械を操作した。

 忌楼は首元までだったが、忌楼の真正面にあるカプセルの中に入っていた人は完全に液体が抜かれカプセルの外に少し飛び出た。

 すると色々な人達が色々な部屋からこの部屋まで来た。その中に一人、大きなアタッシュケースを持っている人──最初に忌楼が見た老婆が居た。その、人は周りの人達は老婆が通るための道を開けた。

 すると、老婆がアタッシュケースを開け何かの薬が入った注射器とペンチを一つずつ持ってカプセルの外に出された人の所まで行った。

 カプセルの外に出された人は太い線に繋がれている。老婆はその線をペンチで切り、完全にカプセルの中から出て来た人を受け止めて、割れ物を扱うかの様にそっと、床に置いた。

 そして、注射器を床に置いた人の首元に刺し込んだ。

 忌楼はその光景を見て何かの病気に効く薬を入れたんだと思った。だが、現実は酷かった。

 注射器を刺し込んで薬を注入した瞬間に床に置いた人が一気に膨れ上がり破裂した。

 忌楼はその光景を見て吐き気がした。


「ちっ! また失敗か! 次!」


 老婆が盛大に舌打ちをした後に大きな声でそう言った。すると、周りの人間が忙しなく機械を操作して、何か物を王に献上する様にカプセルの中に入っていた人を老婆に渡した。

 薬を注入して、人が破裂するという光景を何度も何度も忌楼は見せられた。

 忌楼は最初、何て非人道的なと怒りが今になっては、自分もその内あんな目に遭うのだろうという恐怖に変わっていた。

 すると、


「本日はこいつで最後です」


 とその場に居る誰がそう言って前までは大人だったが献上物は服を着ていない少女に変わった。

 忌楼はその様子を見て安堵した。だが、その安堵はすぐに、怒りに変わった。

 その少女は確実に忌楼より歳が若かったからだ。

 忌楼はその見知らぬ少女を助けるため身体を動かそうとしたが動かなかった。

 身体中に貼りついている機械が忌楼が思っていたより頑丈だったからだ。

 そして、少女に注射器が近づいている。

 せめて、身体が動かないなら、声だけでも上げてこちらに気を引こうと思い叫ぼうとした。だが、叫べなかった。

 なぜなら、近くに居た青年が機械を操作し液体をカプセル内に勢い良く流し込みカプセル内をいっぱいにしたからだ。

 忌楼は青年を睨み付けた。

 忌楼はすぐに、意識を失うかと思ったが予想外に意識が保った。

 そのせいで、見たくないものを見てしまうことになった。

 老婆が少女に薬を注入した。

 忌楼は目を(つむ)った。

 何も反応が無かったのでしばらくしてから、目を開けた。

 すると、少女は破裂していなかった。

 それには、その場にいる皆が目を見開いていた。


「やった……成功だ……」


 老婆がそう言うとその場に居る忌楼以外の皆が「おぉぉぉぉぉぉ!!」と感嘆の声を上げていた。

 だが、少女の様子が変だった。

 それを、察知した忌楼のカプセルの前に居た青年が壁に立てかけていた、ショットガンを手に取った。


「グッ……ガァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎」


 少女は人間とは思えない声を上げていた。

 それには、その場に居る研究者達も怯んでいた。

 そんな中でも青年はショットガンを構えていた。

 そして、撃った。

 忌楼は聞いたことも無い音を聞いてそちらに振り向いた。

 だが、誰も居なかった。

 不思議に思い首を傾げていた忌楼だが、視線を感じ下に慌てて振り向いた。

 すると、青年が居た。

 青年は口パクで「ごめんな」と言い忌楼が入っていたカプセル下にある機械を操作した。

 すると、突然息苦しくなり、十秒もしない内に意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ