二話
孤卯未は目を覚ました。だが、全く知らない天井だった。
孤卯未は起きたばかりの頭で考えた。
そして、昨晩の事を思い出した。
あぁ、そうか。老夫婦に保護してもらえたのか。
孤卯未はそれから少し経った後全てを思い出しそう思った。
そして、昨日着ていた服は今、洗濯していて今着ている部屋着しか無い事にも気付いた。
孤卯未は困って慌てた果てに何となく部屋にあるクローゼットを開けた。
中には多種多様な服が入っていた。
すると、扉がノックされる音が聞こえた。
「どうぞ」
孤卯未は部屋のノックした本人を中に入れた。
すると、入ってきたのは孤卯未の予想通り老婆だった。
老婆はクローゼットを開けていた孤卯未をみてそっと微笑んだ。
「そのクローゼットの服好きに着ていいよ」
老婆は孤卯未の心を読んだのか、孤卯未が実際に思っていた事に対しての答えを返した。
「そろそろ、朝食が出来上がるから着替えて降りて来なさい」
老婆はそう言うと階段で一階に降り、料理の続きをした。
孤卯未は老婆が言った事に従い、そのクローゼットから夏にぴったりの白いワンピースを手に取り着替えて階段を降りて一階に降りた。
すると、老夫婦が
「おや? それを選んだのかい? 似合っている」
と言った。孤卯未はある事を疑問に思い、老爺に聞いてみた。
「あの、どうして昨日はお年寄りの様な喋り方をしていたのに、今日は普通の喋り方なのですか?」
老爺はその孤卯未の言葉に最初はキョトンとしていたが次第に老婆と一緒に笑い始めた。
孤卯未は自分が何かおかしなことを言ったのかと思い焦った。
徐々に笑いが収まり老爺は口を開いた。
「それはね…昔、初対面の子供に自分の姿と違う喋り方をしたら何か違和感があると言われて、それからと言うもの、初対面の人相手には、姿と同じ喋り方をして驚かせないようにしているんだよ」
老爺は孤卯未の質問に昔話を混ぜて説明してくれた。
「そうだったのですか。ありがとうございます」
孤卯未は老爺が答えてくれたのでお礼を言った。
老婆が朝食を作り終えたので皆で居間で朝食を食べ始めた。
老夫婦は他愛もない話をしていた。
だが、突然
「あぁ、そうだ名前を聞いていなかったね。でも、私達の事は気軽に、おじいちゃん。おばあちゃん。と呼んでいいよ。さぁ、名前を聞こう」
老婆がそう言ってきて、孤卯未はまだ、自分が名乗っていなかったことに気が付いて、名乗った。
「あたしの名前は、初瀬川孤卯未です。気軽に、孤卯未と呼んでください。おじいちゃん。おばあちゃん」
名乗り終わると、老爺と老婆が孤卯未に拍手をした。
だが、
「敬語なんて堅苦しい。敬語を使わずタメ口で、はい、もう一度」
老爺は酒を飲んでいないが、酔っ払ったようにそう言った。
「あたしの名前は、初瀬川孤卯未。気軽に孤卯未って呼んで。おじいちゃん。おばあちゃん」
孤卯未はヤケクソ気味に言った。
「よくできました。こちらこれからよろしく。孤卯未」
老爺がそう言い終えると、老婆も「よろしくね。孤卯未」と言った。
朝食を食べ終えると、孤卯未は老婆の手伝いをした。
そして、手伝いも一段落ついた所で孤卯未は老爺と老婆にある事を聞いた。
「気になっていたんだけど、あたしが着ている服って娘さんか誰かのもの?」
孤卯未は大分とタメ口に慣れて聞いた。
「そうだよ。死んだ娘のものよ」
「っ!?」
老婆は衝撃的事実をすんなり言った。
孤卯未はあまりにも衝撃的な事実だったので言葉が出なかった。
「娘は孤卯未ぐらいの年齢の時に電車に乗っていたら電車が事故に遭って死んだの──」
その後も彼女にとって辛いであろう過去をすんなりと孤卯未に話した。孤卯未は静かに彼女の話を聞いていた。彼女が喋り終わるのを待って彼女が喋り終わってから、もう一つ浮かんでいた疑問も聞いてみた。
「もしかして、あたしが居た部屋も…」
「うん、そうよ。娘の部屋よ」
孤卯未は自分がこの老夫婦にとって酷い事をしていると思った。
だが、老婆がまた
「別に酷い事はしてないよ」
と孤卯未の心を読んだのかそう答えた。
「今いる、部屋とは別の部屋はありますか?」
孤卯未は動揺のあまり、つい敬語に戻ってしまった。
「あるには、あるけど。汚いよ」
だが、老婆は普通に答えてくれた。
「はい、それでもいいです」
孤卯未が無理矢理笑顔にしてそう言った。
老婆は「そう」と言って案内してくれた。
「ここよ」
その部屋は死んだ娘さんの部屋の隣にあり同じ作りだった。
孤卯未は埃を被っていたその部屋の掃除をした。
そして、午後三時になった。
孤卯未は昼食を手早く終わらせ掃除をその時間までしていた。
掃除が終わった部屋を見て雑貨が少なくて少し寂しいなと孤卯未は思った。
だが、お金が無かったので孤卯未は諦めていた。
すると、老夫婦がこれを使い雑貨を買って来なさいと言って封筒を渡してくれて中身を見ると、かなりの大金が入っていたので返そうとしたが老夫婦は自分らのせいだからと言って大金が入っている封筒受け取らない孤卯未に無理矢理押し付けて、家から押し出された。
孤卯未は諦めその大金で部屋の雑貨を買う事にした。