十話
圭兎が少しだけ歩くと、皆に遭遇した。
「どうして生きているか聞こうか、志水」
トシカリは大分と落ち着いてそう言った。
「少し待っていてくれ」
圭兎そう言って、罪殺に話しかけた。
「この状態を解く方法はあるか?」
圭兎は周りに聞こえない声でそう言った。
『今から、頭に浮かぶ文字を唱えてください』
罪殺は感情のこもっていない声でそう言った。
圭兎は、罪殺の声に感情がこもっていなかったので不思議に思っていると、頭に文字が浮かんできたので気持ちを切り替えた。
『我は、人間なり』
圭兎は、そう言った。すると、今着ている防具が取れて海に落ちた時と同じ服装になった。
圭兎は裸にならなくて安心したが、身体にこの人生の中で一番の疲労が襲ってきた。圭兎はその疲労に勝てなくて力が抜けた。
「うっ…」
圭兎は意識を失いそうになったがどうにか堪えた。
「立てないな」
圭兎はそう言って近くにあった瓦礫に座った。
「さて、下からだが質問を受け付ける前に俺のわかっていることを少しだけ話す」
圭兎はそう苦しそうに言った。
「さっきミソンジが俺に聞いた質問に答えると、俺もその理由はわからない。それだけだ。他に質問は?」
圭兎は早口で言った。
「無いようだな」
誰も反応が無かったので圭兎は安心した。
なぜなら、圭兎もよく分かっていなかったからだ。
時間が過ぎて寝る時間になった。
それまでなぜか圭兎以外の皆、ずっとそわそわしていた。
そして、今、圭兎以外の皆が眠りに行こうとした。
なので圭兎は、
「じゃあな、永遠におやすみ」
とわざと相手を怒らせるような言い方をした。
すると、
「なんだと?」
と圭兎の予想通りトシカリが怒ろうとした。
そして、トシカリは圭兎に掴みかかろうとした。
だが、
「ハイハイ。いちいち反応しない」
とミレイ言われて止められていた。
圭兎はその様子を見て「反応してくれ無かったら俺が痛い子見たいじゃないか」と思った。
そして、圭兎は、気になっていることを聞いた。
「今日一日、どうして、そわそわしていたんだ?」
すると、皆、驚いた顔をしていた。
「え? わからない?」
皆を代表して、ミレイが反応した。
「あぁ、わからない」
圭兎は珍しく素直に答えた。
「トシカリ君は知らないけど皆、圭兎君が生きていてくれて喜んでいるのよ」
「は?」
ミレイが、圭兎の疑問に答えたがその答えを圭兎は理解ができなかった。
「まぁ、良いや。それより初瀬川。明日に聞きたいことがあるから時間を貰うが良いか?」
圭兎は初瀬川孤卯未に聞いた。
「良いよ。それじゃ、また明日」
孤卯未がそう言うと眠りに行ったので、それに釣られて皆も眠りに行った。
翌朝、圭兎は、いつもより早く目覚めた。
そして、圭兎は近くの建物に付いている時間が合ってるか分からない時計を見た。
まだ、当分皆起きて来ないだろうと圭兎は思い朝食の買い出しという名の盗みに出かけた。
家事などは全て圭兎がやっている。
なぜなら、出会ったばかりの時にミレイは料理担当は任せてと言っていたので、料理をミレイに任せてその他の家事を圭兎がやっていたが、ミレイの作った料理は壊滅的に不味かったが貴族の人や神はそれを美味しいと言っていたので圭兎はそれからずっと料理も含めての家事をずっとやっている。
圭兎は貴族が嫌いだが、家事などはちゃんとやっている。
圭兎が買い出しから帰って来ると、孤卯未がちょうど、起きてきた。
孤卯未は圭兎が買い出しから帰って来たのを見て驚いていた。
「よ。おはよう」
圭兎は孤卯未の驚いた顔を見て見ぬフリをしてそう言った。
「起きるの、早いね」
孤卯未はさっきまで驚いていたが、急にいつも通りの調子に戻ってそう言った。
「実はな、右手が疼いて」
圭兎は右手を目の部分まで上げて右手首を抑えてそう不敵に笑った。
「大丈夫なの?」
孤卯未はすごく心配そうな声を出してそう言った。
「あ…いや、冗談だ」
圭兎は孤卯未のその言葉を聞いて悪く思いそう言った。
「え? そうだったの? それじゃあ、本当の理由は?」
孤卯未は首を傾げて言った。
「本当の理由は、疲れが溜まっているはずだが、疲れが多分約二時間ぐらいで取れて目が覚めたんだ。きっと、妖刀罪殺の力を使ったおかげだと思うがな」
圭兎は孤卯未にそう説明した。
「そうなんだ……そういえば聞きたい事って何の事なの?」
孤卯未が圭兎の説明で納得した。
「ん? あぁ、あの事か。あの事は貴族共と神達が起きてきて朝食を食べ終わったら聞く予定だ」
圭兎はそう言った。
それから数分後。残りの皆が起きてきた。
そして、朝食を食べ終わった。
「さっ、圭兎。聞きたい事って何なのか教えて」
孤卯未がそう言うとその場にいる、全員が圭兎に振り向いた。
「あぁ。俺が初瀬川に聞きたい事はこの世界についてだ。初瀬川の方が俺達より早くこの世界にいただろう。それも、計算すると約六年も」
圭兎はそう言った。
『え? 六年も?』
その場にいる圭兎と孤卯未以外は皆、驚いた。
「そっか、そんなに経つんだ。という事は、あたし圭兎と同い年だからもう二十一歳なんだ。よし、ここは大人の威厳としてスリーサイズでも、良いから何でも聞いて。正直に答えるから」
孤卯未は呑気にそう言った。
「あぁ、それだったらお望み通り聞かせてもらう。どうやって六年も生き残れたんだ?」
圭兎は目を鋭くしてそう聞いた。
「良いよ、それぐらいだったら。六年もあるからさすがに話しが長くなるけど聞かせてあげる。あたしの過去の話を」
孤卯未はそう言って話を始めた。