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滅亡世界 前編  作者: 紙本臨夢
第一章
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九話

 トシカリ達は何とか敵の猛攻に耐えている。

 やっぱり駄目だったんだとその場にいる全員思った。

 すると、羽音が聞こえてきた。

 その場にいる全員がその羽音がした方を見た。

 すると、姿を現したのは全身赤黒い色で背中には黒い羽が生えている者だった。

 ここまでかとトシカリは思った。

 なぜなら、その者はいかにも的という風貌だったからだ。

 トシカリ以外の人達もそう思った。

 だが、その者はトシカリ達を一瞬だけ見るとゾンビ達に向かって行った。

 一体、二体、三体と瞬く間に倒していった。


「え?」


 トシカリ達は状況が掴めずそう言った。

 すると、


『皆、ここから避難しろ』


 と言う声がどこからか聞こえてきた。

 すると、雨美が


「え? 嘘?」


 と驚いた顔をしながら言った。続けて雨美はこう言った。


「圭兎?」


 雨美のその言葉にその場にいる全員が驚いた。


『よく分かったな。ということは俺が言うこと意味も分かるよな』


 圭兎がそう言うと雨美は頷いた。そして、


「ここは、あの人に従った方が良いです」


 と雨美は言った。

 トシカリはその様子を見て


「どうして、お前が生きてる‼︎」


 と怒りを露わにした。


『話は後だ。戦闘の邪魔だから早くどこかへ行け』


 圭兎は冷徹にそう言った。


「貴様‼︎」


 トシカリは圭兎のその言葉を聞いて自分の細剣を抜いて圭兎に斬りかかろうとした。だが、ミレイに止められた。


「どうして止める。ミレイ」


 トシカリはミレイにそう聞いた。


「今は、皆の安全が最優先よ。だから、行きましょう」


 ミレイは自分の感情を抑えてそう言った。


「そうだね。今はこんな化け物より、皆の安全が最優先だな」


 トシカリは圭兎に聞こえる様にわざと言った。

 そして、この場からいなくなった。


「ふっ。化け物か。確かにそうだな」


 圭兎はそう言いながら、自虐的な笑みを浮かべた。


『それより、早くこのゾンビ達を倒しましょう』


 罪殺は話を変えてそう言った。


「そうだな。こいつらを殺しに行くか」


 圭兎はそう言って、的確に早くゾンビやモンスターを殺した。

 そして、五分もしない内に全てを殺し尽くした。残るは大きな四足歩行の機械のみ。

 圭兎は四足歩行の機械の弱点だと思われる上の方に向かった。

 そして、弱点に安易に辿り着いた。

 そして、攻撃しようとした。だが、出来なかった。


「なっ!?」


 なぜなら、そこには佐藤希楽夢(さとうきらむ)がいたからだ。


「佐藤? どうしてここに?」


 圭兎はそう希楽夢に聞いた。


「よくも…よくも…あたしの遊び道具を」


 希楽夢は怒りを露わにしていた。


「遊び道具だと…」


 圭兎は理解した。


「お前は……誰だ!!」


 この希楽夢は、圭兎の知っている希楽夢では無いということを。


「あたしが誰だって、あたしは佐藤希楽夢このゾンビ達を作った者よ」


 希楽夢はそう言った。だが、圭兎はその言葉の中に聞き捨てならないことを言っていることに気付いた。


「お前がゾンビを作っただと?」


 圭兎は怒り混じりに言った。


「あなたが、誰だか知らないけど勘違いしている」


 希楽夢はそう言った。


「勘違い…だと?」


 圭兎はすぐさま反応した。


「そう勘違い。あたしがゾンビを作ったんじゃなくて、あたしがゾンビ‘も’作ったのよ」


 希楽夢は‘も’の部分を強調して言った。


「‘も’…だと?」


 圭兎はそう言いながら頭に、ある説が浮かんだ。


「そう。モンスター達もあたしが作ったのよ」


 希楽夢は平然とそう言った。


「どうしてそんなことをした!」


 圭兎の怒りを露わにした。なぜなら、圭兎の頭に浮かんだある説を希楽夢は容易く肯定したからだ。


「あたしがあなたに理由を言う権利がないのは知ってるよ。だけどあえて教えてあげる。それは、平和だったこの世界がつまらなかったからよ。だから、全てを壊してあげた」


 希楽夢は楽しそうにそう言った。


「貴様!!」


 圭兎はそう言って希楽夢に斬りかかった。

 だが、斬れなかった。

 なぜなら、希楽夢は自分が乗っている四足歩行の機械──ロボットを動かしたからだ。


「くっ!」


 圭兎でも流石にロボットは斬れない。

 だが、圭兎は諦めない。


「罪殺を血を吸え」


 圭兎はそう言って、自分の血を前より多く罪殺に吸わせた。


「殺す」


 圭兎は静かにそう言った。

 そして、さっきとは比べ物にならない程のスピードと殺気で希楽夢が乗っているロボットに斬りかかった。

 圭兎はロボットの弱点の足の関節部分に斬りかかった。

 そして、ロボットの足を一本折った。

 次の瞬間、ロボットはバランスを崩した。

 圭兎はこれをチャンスだと思い足をもう一本折ろうとした。

 だが、今まで四足歩行だったロボットが二足歩行になった。

 そのため圭兎は空を斬った。

 だが時空を斬れるようにする呪文を唱えていなかったのでただ単に空振りをしただけだ。


「あはははははは! 楽しい! 今までの人生の中で一番楽しい!」


 希楽夢はすごく楽しそうに笑った。


「でも、残念。時間切れ。最後にあなたの名前を教えてよ」


 希楽夢は少し寂しそうに言った。


「志水圭兎」


 圭兎は名前を教えたらこれからは希楽夢は自分だけを狙うと思い教えた。


「志水圭兎ね。圭兎これからよろしく」


 この希楽夢は圭兎の知っている希楽夢の様にそう言った。


「それじゃあ。また、会おうね」


 希楽夢はそう言ってこの場から立ち去っていった。

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