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何故か旧ソ連に来ちゃった?!  作者: 桜花
停戦、そして内戦...
99/112

解放

1942年、1月18日、午後2時34分

モスクワ近郊、ヨーロッパ国有鉄道本社、鉄道大臣執務室


「今の戦況は...」

「...正直ギリギリ持ち堪えている感じです。それこそ、ボロイェヴィッチの様に...」

「そうか...援軍は...援軍は来ないだろうな...」

「流石にKGBも管轄が違いますからね...」


パンパンパン!


「「?!」」

「...まさか、もうそこに...?」

「そんな筈は...未だ玄関からも突破報告が来ていませんし」

「では誰が...」


コンコン!


「...アルフレッド」

「...ヴァルジャン」

「...入りたまえ」

「失礼します」


ガチャ...


「...君達は?」

「...KGB管轄のアルファです」

「!?アルファ...!!」

「同志スターリンの命にて、助けに参りました」

「ど、同志達は...!」

「外のソ連軍でしたら撃破しました。また職員達も何人か死者が出たようですが基本無事です」

「...良かった...本当に良かった...」

「そして現在ヴィンペルがゴーリキーのソ連軍を妨害し、北カフカース軍管区予備師団が反乱を起こし、政府軍と戦闘中です」

「では...」

「恐らく大丈夫でしょう」

「良かった...そういえば命令を出された同志スターリンは...」

「衰弱されていましたが生きておられます」

「...良かった」

「ただ書記長から降りられる様です」

「...仕方無いですね。分かりました」

「それで誰が書記長に...」

「誰もなりません」

「...はい?」

「...ソ連という国家が無くなり、新しい国家に受け継がれると思われます」

「そう、か...」

「恐らくヨーロッパ国有鉄道もロシア国有鉄道になるでしょう」

「...その分国内インフラを更に強化するか」

「そう、ですね...」

「分かった。職員に命令しておこう。資料の緊急保持を」

「では我々は...」

「有難う、アルファ」

「はい。失礼しました」


ガチャ...パタン...


「さ、片付けようか...」

「...はい、同志次長」




1942年、1月18日、午後4時42分

ゴーリキー近郊、外地特別諜報部(ZSIR)ゴーリキー支部、中央指令室


「...戦況は?」

「はい」

「ボルマン」

「はい、説明すると戦況は我々に傾いています。北カフカース軍管区が此方側に寝返ったので」

「更に我々KGBのヴィンペル部隊が支援に来たそうです」

「...何?KGBのアルファ、ヴィンペルは書記長の命令でしか動けない筈では...?」

「...実はアルファが独断で同志スターリンを救出した、と」

「!!それは、それは本当か!!」

「はい。それで事情を説明したところ同志スターリンがヴィンペルに...」

「命令を出された、と...」

「はい。現在クレムリンはKGBとZSIRが掌握に掛かっている筈です」

「...良かった...本当に良かった...」

「...良かったのですか?自ら国を建てず...」

「...大丈夫さ。おそらく同志スターリンは...」

「同志スターリンは...?」

「...いや、これは同志スターリンとの約束だ。言わないでおこう」

「...分かりました」

「...さ、早くゴーリキーの包囲を解いて、クレムリンに向かおう」

「「分かりました、同志スクリャノフ」」




1942年、1月18日、午後9時13分

モスクワ、クレムリン、書記長室


「くそっ...こんなところで負ける訳には...私の家族が...!」


コンコン!


「誰だ!」


ガチャ...


「私だ、ジューコフ」

「っ...!」

「...君も、家族を人質に取られていたのだな」

「君も?...まさか!」

「ああ。私も取られる寸前だったよ、あの忌々しいフリーメイソンにね」

「...そう、ですか」

「...しかし、それでも国家転覆を謀り、大日本帝国に宣戦布告を行おうとした罪は極めて重い。」

「...はい、理解しております」

「......この国を支えてくれた君への餞別、とまではいかないが、君の家族を必ず助けて、保護する事を約束する。だから...


『死んでくれ、同志ジューコフ』。


「......分かりました、同志スターリン」

「...連れていけ...決して侮辱や、暴行等は許さん。自殺させる事も、だ」

「はっ」


バタバタバタ...


「...有難う御座いました、同志スターリン」


ヒュー...パタン...


「っ...今まで有難う、我が同志、ジューコフよ...」



...その部屋から長い時間、同志スターリンの咽び泣く声が洩れていた、とKGB職員が後に語っている。

...今まで有難う、『同志ジューコフ』。

...そして...さよなら、『同志ジューコフ』。

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