更なる呼び掛け
1942年、1月18日午前9時38分
フィンランド、ヘルシンキ、大統領官邸執務室
「...まだ倒せないの?」
「はい...精鋭師団がこちらに来たようで...」
「そう...流石ソ連軍ね...」
まぁ、でも逆に言うとあちらは一度も攻勢に出てないからね。
まぁ、兵力の引き付ける、という点では上手くやってるわ。
「サラ大統領!電報です!」
「...どこから?」
「ゴーリキーからです」
「...名前は?」
「スクリャノフ、と...」
っ...!
「今すぐ頂戴」
「は、はい」
私は電報を受け取った。
「ありがとう」
...えっと、これは...
「『久し振りだな、サラ大統領。元気にしてるか?いや、忙しいだろうな...
...俺の為に申し訳ない。今フィンランドは苦境に立っていると思う。
が、もう少し耐えてくれ...
今シベリア線で極東方面軍、80万。大日本帝国軍、20万の兵力をゴーリキーに移送中だ。』
...凄い数を動員してる。流石、ソ連は違うわ。
...で、続き続き...
『更にもう少ししたならば西欧諸国も独立し、ソ連に宣戦布告を行うだろう。...もう少し耐えてくれ』、ね...
...フィンランドの底力、見せてあげるわ。...マンネルヘイムを連れてきて頂戴!!」
......
同年同日、午前11時46分
ドイツ連邦、ベルリン、地下総統官邸
「今どんな感じかね?ヘス」
「...正直スターリンとスクリャノフが消えたらここまでソ連が弱体化するとは思いませんでした」
「...どういう意味かね」
「ソ連軍の予備師団とはいえ二個師団を一個師団で押してます」
「成程。まぁ我がドイツ軍だからな、最強なのは当たり前だ」
コンコン!
「どうした?」
「郵便です」
「郵便...?内容は」
「本人限定受取の書留郵便ですので...」
「...宛名は」
「...アドルフ・ヒトラー総統閣下です」
「...私に郵便とは、な。分かった、受け取ろう」
ガチャ...
「どうぞ」
「ありがとう」
「...それでは」
パタン...
「...総統、送り主は」
「...ゴーリキーからの贈り物だ」
「...ゴーリキー?...まさか!」
「多分な。まぁ良い。読んでみるとしよう...」
「はい」
「『...拝啓、同志ヒトラー様へ。
届いている時は夜でしょうか?もしそうでしたらこんばんは、ですね。
さて、そちらは如何御過ごしでしょうか。こちらは絶賛革命中です。
...元政府の人間が今や革命家なんておかしいですよね。
最近そちらも独立なされたようで感激の極みです。
更にクレムリンが独立を止めようと二個師団送られたそうですがそれも4分の1の兵力で押し返しておられるとか。流石、精強なるドイツ軍です。』
...何でこんな事知っているんだ?」
「...おそらくまだZSIRが居るんでしょう」
「...流石、同志スクリャノフだ。厄介すぎる」
「はい」
「...では、読み進めるとしよう。
『...必ず我々も圧政から逃れ、再建国します。ですので、もう少しお待ち頂ければ、と思います』
...待ったら嫌な予感しかしないぞ」
「はい...」
「...ん?追伸?
『...この戦争が終わりましたら、満州辺りにユダヤ人の国を作りましょう。
彼らの悲願はもう一度ユダヤ人の国を作る事です。それさえ出来れば、フリーメイソンの動きも沈静化するでしょう。
ですので、今は耐えてください。
...因みに、シベリア線にて極東方面軍80万、大日本帝国軍20万人をゴーリキーへ移送中です。
また、西欧諸国も独立します。...それでは』
......成程。ヘス」
「何でしょう、総統」
「今すぐ一個軍団を編成するように命令を出してくれ。押し返し中のソ連軍を殲滅し、クレムリンに向かわせろ」
「分かりました」
...さ、始めようか。今回も楽しくなりそうだ。
......
同年同日、午後2時18分
大日本帝国、東京、首相官邸
「...さて、間に合うか」
コンコン!
「東條首相、電報です」
「誰からだ?」
「ミハイル・スクリャノフ様からです」
このタイミングで来たか...
「分かった、受け取ろう」
ガチャ...
「どうぞ」
「有難う」
パタン...
内容は...
「雪が降り、肌寒い今日この頃。そちらは如何御過ごしでしょうか。
恐らく厳しい日々の中を過ごしているのではないかと、1人考えております。
...この度は一部の者の暴走とはいえ、ソ連上層部より、貴国に対し同盟を破り、宣戦布告を行おうとした事、深く御詫び申し上げます。
また、その暴走を抑えきれなかった私の為に20万もの皇軍を送って頂き、有難う御座います。
必ずこの恩はお返ししますのでお待ちください。
...追伸。宜しければ満州辺りにユダヤ人の国を建国したいと思っているのですがどうでしょうか。ご検討いただければ、と思います」
...満州に、か...資本家が居るから我が国の発展に役立てれば良いかな...
それに欧州では迫害されるだろう。
それならまだアジアの方に向かわせた方が良い、と。
...陛下もお許しになられるだろう。
八紘一宇、全人類皆、家族なのだ。
...そういえば明治大帝も詠われていたな。
『四方の海 皆同胞と 思ふ世に
など波風の 立ち騒ぐらむ』
四つの海で繋がっている者は皆同胞である筈なのに、何故争いが起きてしまうのだろうか。
...歴代の天皇陛下の御意志を少し反映でも反映出来るのであるならば、そうさせて頂こう。