襲撃
1942年、1月17日午後4時23分
モスクワ、ヨーロッパ国有鉄道、ヤロスラフスキー駅
バタン!
ビクッ!
「駅長!本社から電報です!」
もう少し静かに開けてくれ...
「...渡してくれ」
「こちらです」
...この封筒は...
「済まない、扉を閉めてくれ」
「は、はい」
パタン...
「有難う」
私は机の上に置いてあるペーパーナイフを持って、封を切った。
「どれどれ...ふむ...成程...
...は?い、今すぐ鉄道警備隊に伝えろ!クレムリンが来る!戦闘態勢に入れとな!」
「は、はい!」
...遂に強制執行に出たか。はぁ...人はあまり殺したく無かったのだが...
そして、死守命令、か。これは高くつくぞ?総裁よ。
......
同日午後3時20分 約1時間前...
ゴーリキー、ZSIRゴーリキー中央支部、臨時運輸通信大臣執務室
コンコン...
...相変わらず同志スクリャノフは人使いが荒すぎです...
「失礼します、同志ヴァルジャン。ZSIRから新しく情報が来ました」
「分かった、入ってくれ」
ヒュー、パタン...
「此方です」
「...機密書類、ね」
私は封筒を開け、読み始めた。
「...そうか。そう来たか...」
「どうなされました?」
「運輸通信省庁舎とヤロスラフスキー駅をソ連軍が襲撃するらしい」
「...えぇ?!」
「...今すぐ総裁命令で庁舎と庁舎経由でヤロスラフスキー駅に今から言うことを送るように」
「分かりました」
......
同日午後3時25分
モスクワ郊外、ヨーロッパ国有鉄道本社、鉄道大臣執務室
「...はぁ。総裁はシベリア線を止めろというし、クレムリンは動かせというし...はぁ...」
コンコン...
「入れ」
ヒュー...パタン。
「同志次官、電報です」
「誰からのだ?」
「ヨーロッパ国有鉄道総裁からです」
「分かった」
私は電報を受け取った。
何が書いてあるやら...
...シベリア線の運行再開、か...良かった、これでクレムリンが黙る...と、同時にソ連軍が襲撃してくる?!
「はぁ?!」
「ど、どうかされましたか?」
「...シベリア線運行開始だ。そして、同時にここと各駅を戦闘態勢に切り替えろ。特にヤロスラフスキー駅には単独での電報だ」
「な、何が起きたので...」
「クレムリンが襲撃してくる」
「なっ?!」
「鉄道警備隊の全力武力行使も認める。急げ!」
「は、はい!」
間に合ってくれ...!
......
1月18日午前7時27分
同場所
ブルルルルル...
「同志!ソ連軍がやって来ました!」
「来たか...!」
「...えぇ...此方はソ連軍である。
...今すぐシベリア線の運行の停止命令を出しなさい。これはクレムリンからの命令である。今すぐシベリア線の運行停止の命令を出しなさい。
出さなければ攻撃を開始する。一時間待つ。それでも命令を出さなければ国家反逆罪で殲滅する」
「...如何なさいますか?」
「今更覆す事が出来る筈ないだろう。
...それに、我々の上司は同志ヴァルジャンだ。今のクレムリンは我々の従うべき相手ではない」
「...分かりました。一応一時間くれると言ってくれているのでそれまで障害作りと休憩の時間にしましょう」
「ああ、よろしく頼む」
「では」
...さ、ここを守り抜こう。我らが同志の為に。
...遅れて申し訳ありません。作者の桜花です。
...言い訳はしません。...こんな作品でも読んで頂ければ幸いです。
それでは。