報告、そして開戦へ...
艦艇内容を改訂する予定です。
また、艦艇名が沢山出てきますので、ふーん、そうなんだ、レベルでお読み戴ければと思います。
それでは。
1942年1月11日午前09時58分
クレムリン、電報通信所
「...早く来いよ」
私は貧乏揺すりしながら、電報が来るのを待っていた。
「政治将校殿、貧乏揺すりしても早くは来ませんよ?」
「それは解っているのだが...早くして貰わないとそろそろ怪しいのだ...」
「何が怪しいので?」
「...消されたいか?」
「はっ...!す、すみません!」
はぁ...早くしなければ倒れるぞ?
何してるんだ、艦隊の奴ら...はぁ...
「...来ました!」
やっと来たか...
我がソ連連合艦隊の損害はどの位だろうか...はぁ...
「まさか...」
「ど、どうした?」
お、おい。失敗は止めてくれよ...?
「...ゃりましたよ...」
「ん?何がだ?」
「やりました!」
通信員が紙を渡してきた。
「......これは...!」
早く同志書記長と同志特別大将に報告しなければ...!
私は急いで執務室へ向かった。
同年同日午前10時05分
クレムリン、執務室前
急ぎたい気持ちを抑えて、私は執務室の扉をノックした。
コンコン!
「入りたまえ」
この声は同志書記長の声だ...
俺は扉を開け、入った。
っ...!
私の目に飛び込んで来たのは健康的な顔立ちをした同志書記長と、それとは反対に目の下には隈が出来、頬がげっそりとなっている特別大将の姿だった。
「...同志書記長」
私は不安そうな声を出しながら言った...
「...早く読みたまえ、スクリャノフが可哀想だ...」
「はっ...」
確かにそうだと思いながら読む事にした。
「ソ連連合艦隊は...勝利しました。まずアメリカ側の損害を...
ニューヨーク級戦艦『ニューヨーク』、『テキサス』、撃沈。
ニューメキシコ級戦艦『ニューメキシコ』、『アイダホ』、大破。
ニューメキシコ級戦艦『ミシシッピ』、小破。
空母、『レンジャー』、『ワスプ』、『ロングアイランド』、撃沈。
ペンサコーラ級重巡洋艦『ペンサコーラ』、ノーザンプストン級重巡洋艦『オーガスタ』、撃沈。
『ウィチタ』中破
オマハ級軽巡洋艦『オマハ』以下『ミルウォーキー』、『シンシナティ』、『メンフィス』、大破。
アトランタ級軽巡洋艦『アトランタ』、撃沈。
アトランタ級軽巡洋艦『ジュノー』、『サンディエゴ』、『サンフアン』、小中破。
以下駆逐艦51隻中、35隻撃沈。
以下撃破。
...こうなっています」
「良い戦果じゃないか」
同志書記長が言った。
その時特別大将が言った。
「...此方側の損害は...」
っ...
「...申し訳ありません。
キング・ジョージⅤ世級戦艦『プリンス・オブ・ウェールズ』、ネルソン級戦艦『ロドネー』、『フッド』、轟沈。
キングジョージⅤ世級戦艦『キングジョージⅤ世』、『デューク・オブ・ヨーク』、ネルソン級戦艦『ネルソン』、シャルン・ホルスト級戦艦『グナイゼナウ』、大破。
ビスマルク級戦艦『ビスマルク』、リシュリュー級戦艦『リシュリュー』、レナウン級戦艦『レパルス』、中破。
キング・ジョージⅤ世級戦艦『アンソン』、シャルン・ホルスト級戦艦『シャルン・ホルスト』、レナウン級戦艦『レナウン』、小破。
空母、『イーグル』、『ヴィクトリアス』、大破。
『インドミタブル』、『フォーミタブル』、小破。
シュフラン級重巡洋艦『コルベール』、ヨーク級重巡洋艦『エクセター』、中破。
シュフラン級重巡洋艦『デュプレクス』、『フォッシュ』、トレント級重巡洋艦『トレント』、小破。
フィジー級軽巡洋艦『フィジー』、ダイドー級軽巡洋艦『ハーマイオニー』、小破。
駆逐艦は12隻が撃沈され、6隻が小破されました。
残存数は約180隻です
」
「...今日だけで何万という命が喪われたのだろうか...」
「スクリャノフ...」
私は、はっとした。
確かに勝利はした。
が、どれだけの命が失われたかは全く考えていなかったからだ。
否、もう感覚が麻痺して数値としてしか考えていなかったのだ。
それをこの人はこんなところ(上層部)に居るのに未だに残っている...
私は畏怖の念を出さずにはいられなかった。
「...同志スターリン。明治天皇が詠われた御製の句の中でこういう歌があります」
「...言いたまえ」
「...四方の海 皆同胞と 思う世に など波風の 立ち騒ぐらむ
訳しますと、
世界中の人達は皆同胞であるはずなのに何故争いが起きてしまうのだろうか
となります。
我々が悪い事をしていると言ってるのではないのです...むしろ今はアメリカの方が自由が無いです。
...ただ出来る限り人が死ぬ事が無く、この戦争を終わらせたいのです...どうにか、どうにか出来ないでしょうか...」
「うーん...よし、上陸作戦前に降伏勧告をするとしよう。またKGB総動員でクーデター政府から州を離反させる方向で一度行こう」
「有難う御座います...
...同志スターリン。よろしければ、私を軍の最高司令官に任命して下さい」
「それは良いが...いきなりどうした...」
「...この度の世界大戦の幾万もの人を殺した、この罪は消えるものではありません...全責任は私が取りたいのです」
「...まさか、それは...!」
私も同志書記長と同じように悟ってしまった。
この人は全責任を被って表舞台から消えるつもりであると...
「同志スターリン。この戦争の全責任は私が負い、失脚される事にします」
「しかし...!」
「同志コーバ!...確かに私は史実と比べると戦死者は減らしました。随分減った筈です。
しかし...!同時に史実では死ななかった筈の人を殺してもいるのです...
ですからそれらの責任を被って表舞台から消えたいのです...ですから私を...」
「...それはさせん!」
「えっ...」
させてはいけない...この人を消してしまっては、『ソビエト連邦』は...
「スクリャノフ」
「はい...」
「...君が残るべきだ」
「ど、同志?!」
「私は君から様々な話を聞いて気付いた。
...ああ、この若者は本当に...本当にこの国を良くしたいと思っているんだな、と。エカテリーナも言ってたよ、あの人には政治欲なんて無い、と」
「同志...」
「まあ、だからこそ生き残ってはいたのだがね?実際、政治欲を持ちだしたら情報だけ引きずり出して消すつもりだったからな」
「それでこそ同志書記長です」
「くっ...ああ、その通りだ...」
ああ、同志書記長が笑った...
「同志スクリャノフ」
「...なんでしょう」
「全責任は私が取る。君がロシア共産党正史を書きたまえ」
「「っ...!」」
まさか...!
「私がソビエト社会主義共和国連邦の幕を降ろすとしよう、頑張りたまえ...」
「っ...それは...分かりました、同志スターリン。必ずこのロシアを最高の場所にしてみせます」
「...ああ、よろしく頼む」
...凄い時に立ち会ってしまったな...まさか俺が歴史の証人になるとは...
...消されませんように...
「...そういえば第三艦隊は...」
「えっ...?あ、ああ、第三艦隊は無傷です」
いきなり過ぎて流石に驚いた...ありかよ...
「...行けます、同志!
第三艦隊は輸送船等の護衛艦隊ですので火力は減りますが、小破及び無傷の艦艇を再編成すれば十分に行ける筈です!」
「...くっくっくっくっ...」
「ど、同志?!どうされました!?」
流石に呆れて笑うしか無いでしょうね、同志書記長...私も笑いそうで辛いです。
「んっ...ああ、そうしたまえ...」
「はっ!通信員!」
「はい、なんでしょう」
私は直ぐに仕事に切り替えた。
「ソ連連合艦隊に再編成を命令。小破及び無傷の艦艇で再編成し、アメリカ本土上陸作戦を準備せよ!」
「はっ!」
私はちょっと名残惜しいと思いながら出ていった。
......
政治将校が出ていった直後
「...そういえば帝国海軍は...」
「こっちには空母が三隻しか出てきてない...つまり...」
「相当辛いですね...確か残りは4隻です」
「そうなるか...」
「はい。まあ世界三大海軍の彼らです。
何か策を狙って戦ってる筈です」
「まあ、そうだな...」
コンコン!
「...入りたまえ」
「失礼します」
通信員が入って来た。
「どうしたかね?」
「大日本帝国からです」
「ほう...スクリャノフ」
「分かりました」
「どうぞ」
「......大日本帝国海軍は勝利せり。米本土上陸作戦時期知らせ」
「...よし、12日午前4時政府に降伏勧告をし、同日午後6時、上陸開始とする」
「はっ!」
「...さ、最後の戦いだ...全力を尽くしたまえ!」
はい、作者の桜花です。
やっと書けました...やっと...
という事で投稿を再開します。
資料を集めたは良いものの海戦がまったく書けない...本当にどうしよう...ま、いつか考えよう。
...まぁ終わりまであと僅かですが、これからも「何故か旧ソ連に来ちゃった?!」をお願いします。