前夜
1942年1月8日 午後8時58分
ソ連連合艦隊、第一航空部隊
「...流石にそろそろ休まれては」
「だが...」
「明日は敵とぶつかる可能性があります。ですから...」
「...分かった、少しは休むさ...」
「緊急入電です」
「...何だ?」
「同志スクリャノフが意識を取り戻しました!」
「本当か?!」
「良かった...」
「明日全艦艇に伝えよ。同志スクリャノフが意識を取り戻した。総員一層奮励努力せよ!」
「分かりました!」
「...じゃあ私は休むよ...」
「お疲れ様です」
「宜しく頼む、同志艦長」
長官室
「ふぅ...」
私は椅子にもたれ掛かり、目をほぐしながら一息付いた...
「こういう時ウォッカを飲みたいが...流石に戦場だからやめておくか...」
...同志スクリャノフが意識を取り戻したか...よし、もう我が祖国は大丈夫だ...
さぁ、全力で敵を叩き潰そうじゃないか...!
同年同日午後9時48分頃
ソビエト連邦、エンゲリス飛行場
「機体の調子はどうだ?小隊長」
「我が第七小隊の機体は万全です、同志司令官」
「分かった...あとも大丈夫そうだな...」
「同志司令官、そろそろ時間です」
「分かった」
...
「全機、離陸せよ...!」
戦略爆撃エンゲリス空軍基地から六発爆撃機、計51機が午後10時に離陸した。
大きさはB-29をモデルにして作ったTu-4より大きかった...
この機体の名は『富嶽』。
富士山の異名を持つ、帝国陸海軍の技術の結晶で出来た、世界最大の戦略爆撃機である。