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何故か旧ソ連に来ちゃった?!  作者: 桜花
英米戦争
67/112

一時の休息

1941年12月9日午前9時

モスクワ、クレムリン

「さ、朝の報告をしてくれ」

「...」

「ミハイル?」

「...」

「ミハイル!」

「っ!も、申し訳ありません!」

「...大丈夫か?ミハイル同志。カチューシャが言うには昨日一睡もしていないらしいじゃないか」

「何?それは本当か?」

「っ...すいません...」

「どうした?何があった」

「...いえ、何もありません...」

「...とりあえずベリヤから報告してくれ」

「分かりました。アメリカの赤狩りは未だ継続中です、が...」

「が?」

「あまりに杜撰で此方に被害が出ず、逆に味方を消す事も起きています」

「まぁ防諜機関が1941年、今年創設だからな...史実じゃイギリスのSISが協力して出来上がったが今回は何の助けなく暗闇の中手探りで作り上げるのだから辛いだろう...」

「その通りです。そして話が変わりますが現在シベリア鉄道は電化率五十%です」

「...そういえば勿論暖房も電化しませんよね?」

「...しようとしているが何故だ?」

「...もし、電線が切れたらどうなると思います?車内の乗客は寒さで凍え死にしますよ...?」

「...想像しただけで寒気がするな...」

「分かった、暖房だけは石炭にしておくよ」

「お願いします」

「で、それで終わりか?ベリヤ」

「はい」

「分かった。じゃあ次は...ジューコフ」

「軍の方は対米戦を重視し、訓練を強化しています。特に再編した特殊部隊を優先に、ですね」

「特殊部隊はどの辺りの強靭度ですか?」

「ふむ...言うならば三階から飛び降りても無傷だが...」

「おお...それは凄いな...」

「いえ、それでは駄目です」

「え...?」

「自衛隊の陸自の普通科で二階から飛び降りても無傷なんです。因みに特戦群、まぁ自衛隊の特殊部隊は四階から可能ですからせめて四階まで上げてください」

「わ、分かった...」

「ロシア人の体格ならば五階、六階いけそうなんですがねぇ...」

「その辺りにしておけ、ミハイル」

「あ...す、すいません...」

「にしても昨日一睡もしていないのに良く反応出来るな...」

「これでも何度も徹夜して来ましたから」

「そ、そうか...」

「...三月頃に同盟国内で大演習を行う予定です」

「ほう...」

「戦車を使用しての演習になる予定です、場所は...クルスク」

「クルスク、か...」

「確か史実では大戦車戦が起きた場所ですね」

「だからこそクルスクに選ばせてもらったよ」

「成程ですね...」

「ふむ...それだけか?」

「今のところはそれだけですね」

「次は...」

「私が」

「モロトフか。何だ?」

「ポーランド系ウクライナ人が独立したい、と抗議してきています」

「...」

「ベリヤ?」

「...はい」

「失策だったな」

「はい...」

「そういえばベリヤ同志が強制的に編入させたんですよね?」

「ああ、こうなるとはな...」

「ただあの穀倉地帯を手放すのは我々にとって厳しいです...」

「うーん...」

「今の状態で独立させたらロシア系ウクライナ人が虐げられるのは確実ですからね...」

「そうだな...」

「ソ連崩壊後ウクライナは独立しましたが確か私がいた時もロシア系ウクライナ人をポーランド系ウクライナ人が虐げられていました」

「...うむぅ...」

「ただロシア大統領が、ロシア系ウクライナ人を助ける為に、比較的ロシア系ウクライナ人が多いクリミア半島だけウクライナから独立させました。勿論主は親ロシア派武装組織が武力で独立させましたが」

「ウクライナ軍が一介の武装組織に負けるとは落ちたな...」

「尚一部義勇兵がロシアから来たそうですが」

「義勇兵...上手くやるなぁ...」

「...取り敢えずなんとかウクライナは抑えておいてください、何とか良い案を早急に考え出します」

「分かった」

「ベリヤ同志は何故ウクライナが独立したいか調べて下さい。どうせポーランドの独立思考だと思いますが...お願いします」

「分かった」

「他に無いか?モロトフ」

「はい、大丈夫です」

「分かった。他に連絡すべき事はあるか?」

「...」

「分かった。じゃあ解散」

解散していく...

「大丈夫か?ミハイル」

「あ、え、ええ、大丈夫です」

「どうして一睡もしていないんだ?」

「いえ、彼処まであっさり陥落するものなのか、と疑問を抱きまして...」

「報告は勿論聞いているんだろう?」

「はい。ですが...」

「ふむ...そんなに気になるか...」

「はい...」

「...分かった。ミハイル専用の諜報機関を与えよう」

「!!」

「ミハイルが安心するまで調べさせれば良いさ。良いね?」

「...本当に有難う御座います...」

「うん。まぁお疲れさん」

「はい」

...

「ああ、コミンを宜しく。ああ、優秀な、だぞ?ああ、宜しく」

...

「ミハイルには頑張って貰わなければな...」

...


同年同日午前10時

ミハイルの執務室

コンコン!

「...ん、誰だ?」

「同志スターリンからの命令で貴方の専属諜報機関の配属となりました者です」

「...分かった、入ってこい」

「失礼します」

扉が開く...

そして二十人が入ってくる...

「私が機関長のハリマン・デヴィッドソンと申します。元MI6の諜報員です。デイヴィット、と呼んでください」

「そして機関長補佐のウィリアム・アッカーマンと申します。元SDの諜報員です」

「ふむ...一つ聞いて良いかな?」

「なんでしょう。」

「何ヵ国混合なんだ?」

「そうですね...我がイギリス、それにドイツ、オーストリア、フィンランドですね」

「そうか...分かった。私の自己紹介は必要かね?」

「お願いします」

「ミハイル...ミハイルだ。書記長同志の左腕として働かせていただいているよ。」

「下の名前は...」

「...無いさ」

「え...」

「同志スターリンもミハイルとしか答えないさ...」

「は、はぁ...」

「...さ、いきなりだが命令をして良いかな?」

「は...」

「...いや、一度頭を冷やしてこい、一週間のシベリア送りだ」

「え...」

「衛兵!」

バタン!

扉が開く...

「はっ!」

「こいつをシベリア送りしろ!」

「はっ!」

「み、ミハイル同志?」

「連れていけ!」

衛兵が拘束する...

「み、ミハイル同志~!」

衛兵が拘束しながら出ていく...

「一度お前らも頭冷やしてこい...」

「ミハイル同志...」

「出ていけ!」

全員出ていく...

...

隊員側

「...」

「名前の事を深追いしたの?」

「っ!」

「い、いつの間に!」

「したのね...」

「貴女は...」

「私はカチューシャよ。あの人の補佐役、そしてあの人の妻」

「っ!」

「こっちに来て?あの人の事を教えるから。勿論機関長も一緒よ?」

「...分かりました」


秘書室

「...で、名前の事よね?」

「はい...」

「...今から言うことは此処だけの話にしてくれるかしら?」

「...分かりました」

「そんなに堅くなくて良いのに...まぁ説明するわよ?」

「「「はい」」」

「...あの人は本来この時代の人じゃないの...」

「...え?」

「それはどういう...」

「...あの人は未来人よ」

...

「成程...そういう訳だったんですね...」

「ええ...」

「...俺に良い案があるのだが...」

「どんな?」

「それはな...」

...


五時間後

執務室ミハイル

「あの時はついカッとなってあんな事してしまったが...はぁ...」

コンコン!

「誰だ...?」

「私よ、ミハイル」

「?!カチューシャ!?」

「入って良いかしら?」

「あ、ああ...」

扉が開く...

「今日もお疲れ様、貴方」

「ああ、そちらこそ」

「...ねぇ、貴方?」

「何だ?」

「貴方専属の諜報機関の事だけど...」

「あ、ああ。どうした?」

「結構反省していたから許してあげて...?」

「...分かった...」

「...因みにスターリン同志が貴方に名前付けてくれたわよ?」

「?!...どんな名前だ...?」

「...ミハイル・ヴィッサリオノヴィチ・スクリャノフ」

「!!父称が...」

「そうよ...特別に許して頂いたわ...」

「...そうか...」

「因みにスクリャノフは諜報員達が三時間考え出した名前よ」

「...そうか、あいつらが...」

コンコン!

「ミハイル...いえ、同志スクリャノフ。入ってもよろしいでしょうか」

「ああ、入ってこい」

扉が開き、入ってくる...

「誠に申し訳ありませんでした...」

「いや、此方こそついカッとなってしまったな。本当にすまん...」

「まぁ仕方ないわよ。確かに昨日一睡もしていないから...」

「!!」

「いや、それでもあれは何とか抑えるべきだったよ」

「同志スクリャノフ...」

「...改めてよろしく頼む」

諜報員が敬礼する...

「...敬礼が全員バラバラだな...」

「では我々だけの新しい敬礼方法を考え出しましょう」

「それは良い考えだな」

「ありがとうございます、同志スクリャノフ」

「じゃあ後で考えるか」

「はい」

「じゃあ早速だが」


ワイワイガヤガヤ


「相変わらずねぇ...」

...


「じゃあよろしく頼む」

「分かりました、必ず完遂してみせます」

「うん」

「では」

諜報員達が出ていく...

「よろしく頼む...」


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