祖国(ロジーナ) 2
同年九月三日 十時頃
モスクワ、クレムリン
いつも通り朝会が行われていた。
「おはよう、皆」
「「「「おはようございます」」」」
「まず急用がある者から言ってくれ」
「はい」
「ベリヤか。何だ?」
「アメリカの内務省で活動しているスパイの報告です」
「ふむ...」
「現在赤狩りがアメリカ国内で行われています」
「...」
「今のところスパイはまだ被害にあっていませんが少し活動が鈍る可能性があります」
「まぁ今までが簡単過ぎた、と言った方が良いですね」
「まぁそれはそうだな。もし消されたら消し返せ。良いな?ベリヤ」
「分かりました」
「他に何かあるか?」
「...」
「じゃあ連絡を宜しく」
「では私から」
「何だ?ジューコフ同志」
「特殊部隊を新設か、再編したいのですが」
「何故だね?」
「それは軍の規模からして圧倒的に不足しており、対米戦を考えると...」
「ふむ...ミハイル同志、どう思うか?」
「...まぁ確かに特殊部隊がある程度多い方が楽ではありますね。それに史実では46個中隊特殊部隊あった事もあります」
「流石にそれは多すぎだろう...」
「実際この後、ソ連の財政が厳しくなった時は35個中隊解隊されました」
「解隊したなぁ...」
「まぁ大は小を兼ねるとも言いますし。...まぁ再編という名の増強で良いでしょう、ええ」
「分かった、そうしよう」
「あ、スターリン同志」
「何だ?ミハイル同志」
「KGBに特殊部隊を新設する事を進言します」
「KGBに、か?」
「はい」
「理由を述べよ...」
「KGBはNKVDの流れ、職員をほぼそのまま引いています」
「そうだな」
「つまりNKVDの優秀な督戦隊の人材をそのまま放置しておくのは宝の持ち腐れになりますから。」
「まぁ...それもそうだな...だが何か裏があるな?」
「...流石スターリン同志ですね...二十世紀の生んだ世界最高の指導者...」
「そこまで言うな、上げなくとも私はいい」
「...まぁ理由と致しましてはスターリン同志の最高にして最強の護衛にしたいからです」
「ほう...?」
「出来ればソ連を共産主義を混ぜた民主主義国家に、全てが終わった後したいのですが、その時もし、もしですが、反乱が起きる可能性があります。その時の護衛を」
「ふむ...そういえば史実ではゴルバチョフがクーデターの時に反政府派に監禁されたよな?」
「その通りです。もしこの時護衛が居ればこのような事にはならなかった筈です」
「...分かった、そうしよう。因みに名前はどうするか?」
「(不適な笑み)勿論アルファ部隊とヴィンペル部隊で」
「分かった、そうしよう。他に報告は無いか?」
「...出来れば...」
「何だ?ベリヤ」
「シベリア鉄道の電化、複線化を早く終わらせたいのですが...」
「良いぞ?幾ら人員、金、資材が要るか、纏めて持ってきてくれ。あと、改修、路線延長工事費用もな」
「え...いいのですか?」
「シベリア鉄道は我が国の主要な輸送路だからな。まだ空路、車道路が整備されていないから重要な輸送路だ。充分に時間を掛けて報告書を提出してくれ」
「分かりました、有難うございます」
「これで終わりか?」
「...」
「じゃあこれで朝会を終了する、解散。」
スターリン、ミハイルが残った...
「どうした?ミハイル」
「...資材の方は大丈夫なんですか?」
「掘れば出てくる。シベリアは資源の宝庫だからな」
「人員...」
「軍人をある程度送れば良い」
「金...」
「国債を発行して、ソ連領各国に買わせれば良い」
「...やる気なんですね?」
「勿論。せめて私がこの座にいる間にある程度はしておきたいからな...たとえ共産党正史から消される事になってもな...」
顔を下に向ける...
「!!...スターリン同志...」
哀しそうな顔をしながらこう言った
「私がこの座にいる間は付いてきてくれるか...?」
そんな哀しそうな顔しないでください、スターリン同志。
あなたにはそのような顔は似合いません...
「...勿論です、スターリン同志...あなたが死ぬまで何があっても付いていきます...」
「...有難う、ミハイル同志」
スターリン同志はそう言って窓の外に視線を移した...
投稿が大幅に遅れてしまい申し訳ありませんでした。
...ただ次回も少し遅くなりそうな事を事前に謝罪させていただきます。
本当に申し訳ありませんでした...