新婚旅行 7
同年同日 八時三十二分 フィンランド北部
「ここです。」
「ここか...」
「良いホテルね。」
「ああ。」
「因みにこのホテルはフィンランドでもトップクラスで、三本の指に入ります。」
「...本当にありがとう。」
「いえ、ミハイルさんの為ですから...」///
「ん、ありがとう、サラ。」
頭を撫でる...
「っ...!は、はい...」///
ん、相変わらず可愛いな...
「...貴方?」
「ん、何だ?」
「貴方は私とサラ、どっちが良いの?」
「え...?何故そんな質問答えなきゃいけないんだ...?」
「じゃあサラに聞くわ。貴女はミハイルの事好き?」
「っ...す、好きですよ?!あ、当たり前じゃないですか...!」
「え...さ、サラ...?」
「え...ぁ...ぁぁ...っ~...!」///
サラの頬がいや、顔全体がサクランボの様に真っ赤に染まっていくのが分かる...
「え...あ、貴方?じゃなかった...み、ミハイルさん?い、今さっきのは無しでっ...!」
「いや、もうアウトだから...」
「はうぅ~...」
「...さ、どうするの?貴方。」
「...どうするの、と言われてもなぁ...」
「...そういうところは貴方らしいわよね...」
「わ、私は大丈夫ですから...」
「なぁ、サラ?今それ言うと逆効果なんだが?」
「うぅ~...」
「相変わらず貴方は女たらしよね...」
「俺はただ全員に優しく接したいだけなのだが...(苦笑)」
「はぁ...まぁ仕方無いわよね...ええ...」
「...一つ質問しても良いですか?」
「何だ?」
「元は未来から来た日本人ですよね?」
「そうだな。」
「...モテてました?」
「...痛いところ突くねぇ...」
「す、すいません...」
「場所変えてから話そうか。中に案内してくれ、首相。」
「分かりました。(男声に変える)こちらです。」
―――――
同年同日 八時五十三分 ホテル内(最上階)
「...景色が最高ね...」
「ああ...」
「因みに本日はオーロラ、流星群共に見られる可能性があります。」
「本当!?」
「はい、天文台の調べでです。」
「そうか...ありがとう、サラ。」
「(女声に戻す)はい!...それで今さっきの質問の答えは...」
「答えなきゃいけない、か...」
「私も聞きたいわ。貴方の元の状態。」
「...仕方無い、か...じゃあ話すぞ。」
二人共同時に頷いた...
「結論から言うと全くモテてなかった。」
「な、何で?」
「さて、私の特技は?」
「女たらし。」
「何でそっち行ったのかな?正解は軍事情報を沢山持っているという事だ。」
「...え?それが理由...?」
「どこに問題が...」
「他の人から見たら『ただの軍事好きの危ない人』だからだ。」
「...そういえば日本は第二次大戦で負けて、軍隊は解隊されて、無くなったのよね...」
「え...国防は...?」
「自衛隊という名の防衛組織はあるわ...」
「防衛組織って...つまり自衛隊は軍隊じゃないの?」
「日本は憲法上軍隊を持ってはいけない事になってる。だから苦し紛れで防衛組織という形を取っている。」
「酷いわね...」
「さ、脱線したから話を戻そうか。...まぁつまりこれによって国防について考えなくなって、軍事好きは変人と思われていたな。」
「その変人と思われていた人が今はこんな高い階級になって...」
「...性格は?」
「性格も変わってない。安心してくれ、カチューシャ。」
「良かった...」
「じゃあ口調は?」
「...まぁ軍人口調に変わったな...」
「口調を元に戻してみて...?」
「あ、ああ...ん、おいで?(優しい声で言う)」
「あ...う、うん...(ミハイルに近付く)」
「ん、良い子だ。(抱き締める)」
「ぁ...」///
「カチューシャ?」
「な、何?貴方。」
「大好きだよ。(微笑む)」
「はぅ...」///
顔全体を真っ赤にしながら縮こまる...
「...カチューシャ...?カチューシャ...?」
「もうダメぇ...普通の口調に戻してぇ...」
「ん、分かった...(低く厳しい声色に戻り、軍人口調になる)戻したぞ?カチューシャ。」
「...何でこんなに声変わっちゃったの?」
「いや、そう言われてもな...」
「...ミハイルさん?」
「ん?何だ、サラ。」
「やっぱり駄目です...この気持ち抑えきれません...」
顔を真っ赤にしながら抱き締めて来たっ...?!
「あ、わ、私のミハイルよ!離れなさい!」
「嫌です...ミハイルさんは皆の物です...!」
「っ...!私のミハイルなんだから!」
「独り占めは許しません!」
「...おい、二人共。(今まで出した事の無い低さで言う)」
「...」ビクッ...
「この体は少なくとも偉大なる祖国、ソヴィエトのものだ。私が国籍剥奪され、国外追放されるか、遺体になるまではな。良いな?」
「「はいぃ...」」
「...(普通の声に戻す)さ、夜景見ながらディナーでもするか。(二人共抱き締める)」
如何でしたでしょうか?
...因みに惚気話は次回で終了します。
では失礼します。