新婚旅行 4
1941年 三月一日 四時三十二分 フィンランド、ヘルシンキ上空(機内)
「現在ヘルシンキ上空です。」
「まぁ当たり前だが上空は冷えるな...」
「そうね...」
首相が少し笑う...
「ん、どうした?首相。」
「いや、お二人の寝顔を思い出してですね...」
首相が苦笑しながら言う...
「っ...」///
カチューシャが顔を赤くする...
「本当に良い寝顔でしたよ?二人共。」
「などと申しております、同志ミハイル。」
「成程、モスクワ送りだ。」
「えぇっ?!」
「まぁ勿論冗談だが。」
「こ、怖いこと言わないで下さいよ...」
「ただカチューシャ嬢は本気のようですが。」
「あ、スターリン同志かしら?」
「ひぃっ?!」
「フィンランドの首相がっう~...な、何で頭叩くのよっ?!あ、ちょっ!」
私は直ぐにカチューシャの頭を叩いて無線機を奪い取った。
「あ、申し訳ありません。ミハイルです。ちょっとうちの妻が変な事言ってましたが気にしないで下さい。はい...はい。誠に申し訳ありません、スターリン同志。ちゃんと妻には説教しておきますので。はい、誠に申し訳ありませんでした、スターリン同志。では失礼します...」
「...で、どうなりましたか...?」
首相が心配そうに聞いてくる...
「大丈夫です、首相。ちゃんと誤解は解いておきましたので...本当にカチューシャが申し訳ありませんでした...」
「あ、頭を上げてください...」
「ちゃんとカチューシャには言っておきます...」
「...この国にもこのような方が居られるとは...」
「なんせヨーロッパ方面の閣僚を決めたのは私ですから...」
「え...?そ、それは本当ですか...?」
「はい。信頼性、政治力など、色々鑑みて決めさせていただきました。」
「貴方様が...」
「ええ...」
「...本当に有難う御座います...」
「頑張って下さい、首相。フィンランドは貴方に任せましたよ。」
「くっ...うぅ~...」
「ああ、もう...」
私はハンカチを取り出し渡した...
「あ...す、すいません...っ...うわぁ~ん...!」
抱き付いてくる...
「...一人で良く頑張って来ましたね...本当にお疲れ様です...」
私は抱き締めながら頭を撫でる...
「ミハイルさんっ...ミハイルさんっ...!」
「うんうん...」
「み、ミハイル同志?その方は...声が急に女性に変わりましたが...」
「首相だよ?女性の。」
「「「?!」」」
「彼女は本当にフィンランドが好きで、男装してでもフィンランドを良くしたいって何度も上奏して来てね。流石のスターリン同志も折れてこうなったんだ...(苦笑)」
「成程ですね...」
「色んな批判を雨あられと受け止めて来たね。貴女の辛さは把握しているよ。」
「すいません...本当にすいません...!」
「大丈夫、大丈夫だから...貴女は良く頑張ってるよ...」
「...何でミハイルさんはそんなに優しいんですか...」
泣きながら聞いてくる...
「...私は努力する人を見捨てる事は出来ない。ましてや公の為に私を捨てる人はもっと見捨てる事は出来ない。つまりそういう事さ。」
「...」
あ、あれ?言う言葉間違えたかな...?
「う、うわぁ~ん...!」
強く抱き締めて来た?!...っ!む、胸が当たってるんだが?!
「ミハイルさん...!ミハイルさんっ...!」
...まぁ良いか...
私はそんな事を思いながら彼女を抱き締め、頭を撫でていた...
さて、いかがでしたでしょうか。
作者自身としては良いものを投稿していると思っていますが...どうですかね...
...御意見、御感想お待ちしております。