前回の話の閑話
廊下
...ああ、この人も同志スターリンと同様、「倒れるまで」頑張るタイプの人だ。
私は、同志スクリャノフの一言で理解した。
「ほんと、何でうちのトップはこんな変人ばっかりなの...?!」
あ、つい大きな声で愚痴ってしまった。...聞こえてないよね?
「いや、まさにその通りだ」
「っ...?!」
やっぱり聞こえてた...!
「やっぱり同じ考えの者が居たか、安心したよ」
私は、声が聞こえる方を向いた。
...そこには、同じ変人が立っていた。
「...私から見ると同志ベリヤも変人に見えるのですが」
「...嘘は駄目だよ、同志アナスタシア。私があの2人に並ぶ変人だって?」
不快そうな顔をしてるけど、言わせて戴きますからね?!
「ええ、変人の鏡です」
「...どこがだね?」
「早朝から深夜まで働くなんて普通しませんからね?!...お願いですから、もう少し、もう少し皆さん休んで下さい...」
これは、部下全員が思っている事実。
そうでもしてくれないと、我々自身も過労死してしまうでしょう。
「ふむ、まぁもう少しすれば、結構下の方に権限が委譲してくるだろうから、我々はそれまでの辛抱だな」
「それは、本当ですか...?」
「ああ。実際書類の中には、下でも判断出来そうな書類が沢山あっただろう?」
「...そうですね。約7割ぐらい」
中央集権化が酷いですからね...まぁその分決まったら直ぐに動き出して、直ぐ終わりますが...
「って、権限が降りてくるんですか?」
「ああ。国が変わるよ、色んな意味でね」
っ...!確か耳に挟んだ事がある。ソ連邦は解体されて、新しい連邦国家として再出発する、という噂話を。
私は正直疑っていた。でも、同志ベリヤが言うのであるならば可能性は...
「それまで、我々が持ってくれれば良いが...随分と働きすぎた」
「っ...!」
「...あとは、君達若者に任せたよ」
っう...!!
「...じゃあ、私は失礼するよ。これからも頑張ってくれ」
......本当にお疲れ様です、同志ベリヤ。