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何故か旧ソ連に来ちゃった?!  作者: 桜花
第二次世界大戦講話交渉
107/112

シベリア鉄道、再び

あけました。本年最初の投稿です。

1942年、2月17日 午前10時

ゴーリキー州、KGBゴーリキー中央支部、執務室


ふぅ...


「...これで終わりだな」


私は机の上に積まれている既に処理し終わった書類を事務員に渡した。


そして事務員が書類を持って退出した直後、扉が二回叩かれた。


...これは、ペチュコフ、か。


「良いぞ」


扉が開き、予想した通りの人物が入ってくる。


「お疲れ様でした」


「ああ。お疲れさん、ペチュコフ」


「...これで、引き継ぎ作業も終了ですね」


「...あぁ、そうだな」


「...どうしました?」


「...いや、やはりここから離れるのは寂しいな、と思ってな」


「...あれからもう一ヶ月ですか」


ペチュコフは上を向きながら、懐かしそうに答えた。


「一番最初は驚きましたよ。いきなり同志スクリャノフ夫妻が来られたのですから...」


「...あの時は本当に済まなかったな。...そして、妻の一言も」


「っ...気付いていらしたのですか?」


「そりゃ一瞬でも顔が歪んだらな。誰でも、とは言わなくても気付くさ」


「やはり、そうですか...私同志の前で出来る限り顔を歪ませないように努力したのですが...申し訳ありませんでした」


「いや、敢えてあの場は叱っても良かったよ」


「えぇっ?」


「妻は優しいやつなのだが、天然過ぎてお前に言った言葉を全く気にしていなかったよ。正直あの場で私が叱っておくべきだったとは理解していたのだが...」


「...まぁ、その一言でクーデターが起きてることが分かったのですから何とも皮肉ですよね...」


「まぁ、それはそうなのだがね?...それでも、本当に済まなかった」


「いえ、大丈夫です...」


コンコン!


...再び来客か。ただ、聞いた事が無い音だな。誰だろうか。


「どうした?」


「クレムリンから命令書をお届けに参りました」


「!!...それは申し訳ありません。今開けます」


私は扉を開けて、彼等(二人の男)を招き入れた。


「お疲れ様です」


「こちらこそ。お疲れ様です、同志スクリャノフ」


「...二つ命令書があるようですがそれは...」


「あぁ...いえ、こちらもここで読み上げますので大丈夫です。では、お二人とも、並んでください」


「分かりました」


私とペチュコフは直立不動で、綺麗に整列した。


「では、一枚目を読み上げさせて頂きます。


...命令書、ミハイル・ヴィサリオノヴィチ・スクリャノフ。

上記の者は1942年、2月25日迄にクレムリンに復帰、出頭する事を命じる。


発書記長『ヨシフ・ヴィサリオノヴィチ・スターリン』

宛KGBゴーリキー中央支部支部長代理『ミハイル・ヴィサリオノヴィチ・スクリャノフ』」


読み上げた後、命令書を私の方に見せてきた。


「...はい、確かに拝命いたしました」


「では、次はこちらだ。


アガフォン・アナトリエヴィチ・ペチュコフ。

上記の者はKGBゴーリキー中央支部支部長代理の離任後、速やかにKGBゴーリキー中央市支部支部長に着任する事を命じる。


発書記長『ヨシフ・ヴィサリオノヴィチ・スターリン』

宛KGBゴーリキー中央支部職員『アガフォン・アナトリエヴィチ・ペチュコフ』」


二人目の男が命令書をペチュコフへ向けた。


「!!...は、はい。確かに拝命いたしました」


「では、失礼しました」


そう言い、二人は部屋から立ち去って行った。


「...良かったな、支部長」


「...はっ!な、何故このような事に...」


「おそらく私の意志を継いでくれる、と確信したのだろう」


「っう...」


「...今まで有難う、同志ペチュコフ」


私は優しい声で、そう言った。


「こ、こちらこそ...本当に...有難う、ございました...同志...」


「...私はあちらに戻ったとしても、必ず忘れないからな」


「はい...っ!」


「うん。......では、私はクレムリンに戻るよ。お疲れ様だ」


私は鞄を持ち上げて、そう言った。


「はい。....同志スクリャノフがクレムリンへ戻られます!全員集合...!」


次の瞬間、扉が開き、多くの職員が二手に別れて道を作った。


「っ...お前ら...」


...帰りたくない。まだ、まだこいつらに恩返しが出来ていない。


「...総員、敬礼!」


それは綺麗な、直立不動の敬礼だった。


「...有難う」


...自分の、帰りたくないという気持ちに蓋をして私は歩き始めた。


ーーー


支部を出たが...このこの列は何処まで続くんだ?

ん?あ、一度あそこで途切れてるな。...まさか、あそこからは...


「お待ちしておりました、同志スクリャノフ」


「っ...ボルマン...」


やはり...!


「何故私のところに寄らずに帰ろうとしているのですか?同志スクリャノフ」


「...いやぁ、それは...」


この光景を見るのが恥ずかしいからです。


「まぁ良いです。そこはまたいつか何処かの機会でお願いします」


「あ、あぁ...」


私がそう言った瞬間、ボルマンは一息付き、直後に直立不動となり、喋り出した。


「...我々コミンテルンを助け、お使い下さり有難う御座いました。また、いつかここ、ゴーリキーを訪れられる事がありましたら、是非お立ち寄り下さい」


「っ......有難う」


「...総員~...敬礼!!」


ZSIR職員が、彼等なりの敬礼で私を見送ってくれた。


ーーー


同年同月同日、12時頃

ゴーリキー州、ゴーリキー市、ゴーリキー駅構内



...さて、目の前には四両編成の物凄く豪華な車両が見えるのだが。


「なぁ、これは何だ?駅長」


私は横に居る駅長(中肉中背の印象に残らなそうな)に尋ねた。


「クレムリンからと運輸通信省大臣兼鉄道総裁からの命令でして...」


「...で?このお召し列車か?」


「...はい」


...本当に何をしているんだ。

俺はそう思いながら、車両へ乗り込んだ。


......


「...結構良いものだな、こういうのも」


俺は特別一等室の座席に座りながら、外を見ていた。


外は白銀の世界が広がっており、寒そうだったが車内は木炭による暖房で温度は27度となっていた。


...外気温と車内温度の差が可笑しい事だけは良く分かる光景だった。


にしても...


『有難う御座いました!!』


『またいらしてください!!』


...結局あの後ゴーリキー市民からも感謝の言葉と拍手を戴いた。

まさか、ここまで感謝されるとはな...正直あそこまでされると驚くとというか何というか...


ガタンゴトン...ガタンゴトン...


...うん、良い音だ。私の心を落ち着かせる。やはり鉄道の旅は最高だな。


...そういえば食堂車はあるのだろうか。


私は呼び鈴を鳴らした。


すると、一拍置いて、靴の音がしてきた。


コンコン。


「お呼びでしょうか」


「ああ。扉の鍵は開いてるから入って来てくれ」


「...え、あの...あ、はい。わかりました」


...?何を警戒しているんだ?


「し、失礼いたします」


ガチャ...


「な、何でしょうか、同志スクリャノフ様」


...結構若い女性職員だ。それと何故こんなに緊張している口ぶりなんだ...?


「ああ。少しこの車両について聞きたい事があるのだが」


「...あ、車両の事でしたか。安心しました...」


「...安心した?」


「あ、いえ...その...これを言うのは失礼に当たると思うのですが...」


「...言ってみろ。私は滅多な事では怒らないか」


「で、では...」


彼女は一回呼吸してから話しはじめた。


「...実はお客様から良くセクハラをされまして」


「...成程?」


これは相当のものがあるな。そう思いながら私は聞きはじめた。

はい、作者の桜花です。

私が書き始めて4年目、という事でよろしいのでしょうか。

まぁこれからも頑張っていきます。


では、昨年も色々ありましたが、本年もよろしくお願いします。



追伸


小説投稿継続の許可が降りましたので、ここでご報告させていただきます。

本年もよろしくお願いします。

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