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エルフとの旅行記  作者: 乃那加 結羽
現在:『王都』
6/13

名前で呼んでほしい

キャラが定まらない……


喋り方も定まらない……

やー、にしても思い返してみるとホントよく教育したよ俺。

それに、無償でわざわざエルフを里を見つけ出して帰してやるとか、もう金とっても良いレベルだと思う。


「ねぇ? どーしーたのー?」


クイクイと俺の服を引っ張りながら、尋ねてくるエルフ。


「ちょっと、昔の事思い出してた」


「むっ! また私の事バカにする気だなっ!」


「バカにしねぇっつーの。大人しくチュロス頬張ってろエルフ」


うがーっと威嚇してきた口にチュロスを突っ込み黙らせる。

しばらくは、これで時間稼ぎが出来るだろうと思ったが、そんなに甘くは無かった。


「まひゃ、ひょーやっひぇひゃ、んぐんぐ……。ひゃんとなまひぇでにょんでっひぇいっひぇるじゃん、んぐっ、よー」


むしろ汚いし、よりうるさかった。

食べながら喋ったせいで、ボロボロと口からチュロスをこぼし大変な有様になっている。


「ごめん、なんて言ってるか聞き取れなかったんだけど」


「だから、ちゃんと名前で呼んでって!」


「あ、すまん。どうにも気が抜けると、昔の記憶がな」


「むぅー……さっきからむかしむかしってさ、そんなに弱ってた時の私のが良いのかーっ!!」


再びうがーとか言いながら飛びかかってくるエルフ、っと頭ん中でこう呼んでるから口から出ちまうんだよな。

再びうがーとか言いながら飛びかかってくるエルフ改め、リリィ。

正直、飛びかかられても身長差がすごい訳で、せいぜい首にしがみつく程度なのでかなり可愛らしい攻撃だ。


「どっちも可愛いけど、元気なリリィの方が良いんじゃねぇか?」


「ふぇっ!?」


「二度は言わねぇよ。ほれ、暑苦しいから離れろ」


「それは、今の私は好きって解釈でいいのかなっ!?」


「よくねぇ。元気な方がかかる手間が減って楽ってことだ。まぁ、今でもたまに昔がぶり返してガクガクし出す時があるから手間は増えてんのかもしんねぇけど」


そういうと、俺から離れスタッと着地し、何かブツブツ言いだすリリィ。


「ま、どーせそーゆーことだろーとは思ってたさ……。クレスは別に私に恋愛感情持ってないって……」


「何ぶつくさ言ってんだ、言いたい事があるなら大きな声で言え」


「じゃあ……」


何かを叫びかけ、それをやめ、俺に抱きついてくるリリィ。


「………きになれ」


「ん? 俺の腰辺りに顔埋めながら喋らないで、何も聞こえないから」


「うっさいばーか! だっこしろっ!! 足疲れた!!!」


「はぁ? お前さっきまで元気にスキップしてたろ」


「やーだぁー! だっこしてよー!! だいたいなんで休憩なしでこんなバカでかい町探索してるのさー!!」


俺の腰辺りに抱きつき、全身を揺らしながら訴えてくるリリィ。

こうなるとこいつは意地でも引かないからな。


「お前の故郷の情報収集のためだろうが、本命は『森の国』だけど、もしかしたらこの国で有益な情報があるかもしれないだろ? こういう小さいことからコツコツとやってかないと重大な情報を聞き洩らすかも知れねぇしな? それに……」


「はいはい、分かりました分かりました、わーかーりーまーしーたー! 分かったからだっこ!!」


「たくっ、世話の掛かる奴だな。だが、だっこじゃなくおんぶだ、これは譲れない」


「しょーがないなーもう」


しぶしぶ、いやいや、と言った感じでおんぶされるリリィ。

そのまま、歩き出すと「ふぉぉぉっ!」と奇声が聞こえた。それは女の子が出しちゃいけない声だと思うぜリリィ。


「クレスの匂いがすごいする!!」


「あー、汗の匂いってことか? 何変態くさいこと言ってんだお前。振り落とすぞ」


「変態で結構! むしろ好きな人の匂いをかいでテンションあがるというのは正常な反応だと私は思う!」


「何を力説してんだお前」


「それはともかく、しゅっぱーつ!! ほら、進んで進んで!!」


ぺしぺしと俺の頬を叩くリリィ。

ホント手間がかかるっつーか、やんちゃな妹みてぇだな、こいつ。

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