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エルフとの旅行記  作者: 乃那加 結羽
回想:『出会い』
5/13

月明かり

基本、

『――――――』が、長めの時間の移動で


『● ○ ●』が、ちょっとした時間の移動や、場面の切り替わりです。


あれは、確か、家に連れて帰ってから三日目ぐらいだったよな。


――――――

―――――

―――

――


「なぁ、隅っこで丸くなってるとこ悪いけどさ、お前なんであんなとこふらふらしてたんだ?」


「す、捨てられたんだよ」


相変わらずビクビクしながら、俺の問いに答えるエルフ。

ある程度、態度は軟化して疑問にはしっかり応えてくれるようにはなったんだけど、まぁ、まだ堅いよなぁ。つーか逃げてくたんじゃなく捨てられたねぇ……。


「お前、前いた所ではなにされた訳?」


「い、言わないと駄目?」


「んー、まぁ、言いにくいのは承知だけど、知らないと俺も知らず知らずのうちに地雷踏みぬいちゃうかもしれないし」


「あの、ひ、酷い事、いっぱい……」


「じゃ、もうチョイ突っ込んで聞くけど、酷い事の中に性的な事は含まれるのか?」


ビクゥッ!と一際大きく震えたエルフ。

あちゃー、これは、地雷だったか? 危険度高いって分かってたんだから突っ込むべきじゃ無かったよなぁ。


「わ、私はされてない……けど、勉強しとけって…………何回も見せられた……」


「あー……うん。そっか……悪いな、こんなこと聞いて」


「う、ううん…………あなたは悪い人じゃないって分かってるから……だいじょうぶ」


「ま、そんな事忘れた方がいい。うん絶対そうだ」


「………………」


何やら、思いつめた表情のエルフ。

つーかいつまでもほぼ襤褸ぼろれのローブ着せとく訳にもいかないよなぁ。


「ご、ごちそう、さま……」


「ん。もう寝るか?」


「うん……おやすみ」


「あいよ」


ほんと、予備で布団あってよかった。さすがにそういうトラウマ持ちだと、一緒に寝る訳にはいかないし、かといって床で雑魚寝はアイツも辛いだろうし、俺も辛いからな。


「さてと、俺も食器洗ったら寝るかな」


● ○ ●


ポフッ…… ポフッ…… ポス……


腹のあたりに、重さを感じる。

またか……。


「あのさ、俺こういう事はしなくていいって、言ったろ? お前だってトラウマなんだからさ」


「で、でも、男の人の部屋に連れ込まれたらこうしないと……ダメ……だって…………言われてきたから……」


なるべく見ないようにはしているが、まぁ、そこは俺だって男だ。

あの少女がどんな格好、顔で俺にまたがってるのかぐらいは気になる。

いくら良い人ぶったって、聖人君子じゃねぇんだ。性欲だって人並みにある男だし気になっちまうさ。


「み、見てる…よね?」


「まぁ、な。すまんな」


ローブを脱ぎ棄てて、生まれたままの姿で、俺にまたがっているエルフ。

白い肌に、天窓から降り注ぐ月明かりが映えて綺麗だが、体の所々に見受けられる痣や、とても健康とは言えない骨が軽く浮き出るほど薄い肉付き、何より青ざめた悲壮感たっぷりの顔。

まぁ、これで欲情するほど俺も腐っちゃいねぇからな。


「とりあえず、服着て、隣のベットに行け」


「だ、だって、こういうことしないから、捨てられたちゃったんだもん…………もう、寒い森はイヤだぁ」


「捨てねぇっての。お前のちゃんとした保護者が見つかるまでは、捨てねぇし、酷い事もしねぇし、面倒見るのを放棄したりしねぇって、毎日言わせる気かよ」


「だ、だって……」


「いいから向こうへ帰れ」


「で、でも……」


「だあぁ! もうっ!!」


さすがに痺れを切らして、起き上がり、エルフを抱え上げる。

一瞬ビクンと震え、その後硬直し、奥歯をがちがちと鳴らす。


「ほれ、震えてるし、歯だって鳴ってんじゃねぇか。度胸も覚悟もねぇなら、普通の男には迷惑だから」


「ひっ! ひぃぅ……」


「たくっ、大人しくこっちのベッドで寝てりゃいいんだよ」


すぐ隣のベッドに投げ、掛け布団を掛ける。


「明日の朝、起こすまでそこ動くなよ」


「は、はい……」


「分かればよろしい」


隣から控えめの寝息が聞こえてきたのを確認してから、寝る。

最近アイツのせいで寝不足だコンチクショウ……。

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