第4話 妹との絆
ダンジョンから帰宅した亮を、あみは笑顔で迎えた。
「おかえり、兄ちゃん。今日はどうだった?」
亮は肩にかけた装備を下ろし、少し息を整えながら答える。
「順調だった。生活費としては十分だ」
あみは安心したように微笑むと、手際よく戦利品を整理し始めた。ダンジョンで手に入れた小銭や宝石、古びたアイテム。彼女の動作には、兄の力を最大限に引き出す工夫が自然と組み込まれていた。
「ねえ、兄ちゃん。もっと戦いやすい装備にできると思うの」
亮は少し眉を上げる。あみは自作の補強具や手作りの装備調整用ツールを手に取り、亮に説明を始める。彼女の目は真剣で、まるで小さなギルド長のようだった。
「この短剣のバランスを少し変えれば、攻撃速度が上がる。それと、防具の軽量化もできる」
亮はうなずきながら、あみの手際を見守る。
「助かるよ、あみ」
二人で装備を整えながら、自然と会話は日常のことに移る。学校のこと、街の変化、時にはくだらない冗談まで。亮にとって、異世界での緊張感とは全く違う、穏やかな時間だった。
「兄ちゃん、無理しないでね。生活も大事だよ」
あみの言葉に、亮は小さく笑った。
「わかってる。ありがとう、あみ」
その夜、亮は自分の部屋で装備を手入れしながら考えた。戦闘での実力を隠しながら、妹と平穏な日常を守ること。それは、異世界での英雄としての誇りを封じることと同じ意味を持つ。だが、あみがいることで、彼はそれを苦痛に感じずに済む。
「俺は、あみを守るために戦う」
その想いは、戦闘の勝敗や財宝の価値よりも、亮にとって大きな意味を持っていた。妹との絆は、彼の心に静かな力を与える。異世界で得た力も、現代での生活も、すべては大切な人を守るための手段に過ぎないのだ。
あみの微笑む顔を思い浮かべながら、亮は次のダンジョンへの準備を進める。武器の手入れ、防具の調整、戦術の確認。全てが彼女との協力で効率よく進む。
「明日も頑張ろう。二人で、確実に」
夜の静けさの中で、亮はそうつぶやいた。妹との絆こそが、彼の現代での冒険を支える最初の力だった。




