表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

第2話 探索者登録


翌日、亮は街の探索者ギルドへ向かった。

異世界での戦闘経験を隠し、現代での生活費を稼ぐために登録することを決めたのだ。あみの助言が背中を押してくれる。


「兄ちゃん、無理しないでね。最初はCランクで十分だよ」


亮は頷く。心の中では、Cランクなら自分の力を抑えても余裕だという自信があった。ギルドの建物は街の中心にあり、外観は普通のオフィスビルのように見える。中に入ると、冒険者たちの活気と緊張感が混ざった空気が漂っていた。


受付の女性が明るく声をかける。

「初めての方ですか?こちらの用紙に名前と年齢をご記入ください」


亮は落ち着いた手つきでペンを取り、必要事項を記入する。異世界での称号やスキルは一切伏せ、ただの青年として登録を完了させる。


書類を提出すると、受付はにっこり笑った。

「これで今日から探索者として活動できます。まずはCランクのダンジョンから始めましょう」


亮は小さく息を吐き、心の中で自分を戒める。

「力は抑える、絶対に見せない」


その日、初めてのダンジョンに向かう道すがら、亮は周囲の探索者たちを観察する。剣を持つ者、魔法を扱う者、盾で身を固める者。皆、真剣な表情で準備を進めている。彼らは自分の力を隠す必要はない。亮だけが、異世界で得た経験を封じながら、普通の青年を演じなければならない。


ダンジョンの入り口に到着する。石造りの古びた門の向こうから、かすかに湿った空気と不穏な気配が漂う。亮は深呼吸し、手にした武器を軽く握る。


「まずは、様子見だ」


一歩足を踏み入れた瞬間、微かな魔力の残滓が皮膚に触れた。異世界での感覚が一瞬蘇る。だが亮は冷静に、力を最小限に抑え、慎重に進む。ゴブリンの群れが現れたときも、彼の動きは落ち着いていた。攻撃の速度を調整し、周囲に違和感を与えない。


小さな財宝を手に入れると、亮はほっと微笑む。これが生活費になる。現代での戦いは、異世界のような命の危険はないが、それでも戦略と判断力が求められることを、亮は静かに楽しんでいた。


ダンジョンを出るころには、太陽が街を照らし始めていた。亮は妹に報告するため、ギルドへ戻る。あみの顔を見ると、自然と笑みがこぼれる。


「どうだった?」


亮は手に入れた財宝を見せながら、軽く肩をすくめた。

「まずまず、生活費くらいは稼げそうだ」


あみは安心したように笑い、亮の肩を軽く叩いた。

「兄ちゃん、無理せず頑張ってね」


亮は微笑み返し、心の中で決意を固めた。

「力を隠しながらも、確実に歩む」


異世界の英雄としての誇りと、現代での平穏な生活を守る覚悟。葛城亮の探索者としての日常は、こうして静かに始まったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ