第12話 Cランク探索者との競争
朝の街はいつもと変わらない賑わいを見せていたが、ギルド内は少し違った雰囲気だった。Bランク深層での亮の戦いぶりが噂となり、同じCランクの探索者たちの注目を集めていた。
「今日のダンジョン、亮と一緒に潜るって本当か?」
「普通の青年に見えるのに、あんな戦績…一体どうやったんだろう」
亮は静かに受付を済ませ、Cランク探索者たちと顔を合わせる。互いに探り合うような視線が交わされる中、ダンジョンへの入り口が開かれる。
洞窟内は湿気と石の匂いが立ち込め、足元には小石が転がる。最初に現れたのはゴブリンの群れだった。探索者たちは互いに競い合うように攻撃を繰り出すが、効率はまちまちで、混乱も見られる。
亮は周囲の動きを素早く分析し、最小限の力で正確に魔物を倒す。攻撃のタイミングや位置取りは完璧で、他の探索者の行動を自然と補うように動く。
「な…なんだ、あの動きは…」
「普通の青年じゃない…」
探索者たちは驚き、同時に競争心を燃やす。亮は微かに微笑むだけで答えず、あくまで冷静に進む。力を抑えつつも、戦術眼を駆使して洞窟の進行を支配するその姿は、圧倒的な実力をほのめかすに十分だった。
途中で狭い通路に差し掛かり、探索者たちが互いに譲り合う場面でも、亮は最適なルートを選び、魔物の注意を逸らす。結果、全員が無事に通過できる。普通の青年には考えられない判断力に、周囲は改めて驚く。
洞窟の最奥にたどり着く頃、探索者たちは息を切らしながらも、亮の存在を認めざるを得なかった。
「やっぱり…普通じゃない」
「でも、あんな風に戦われたら、敵わないな…」
亮は肩をすくめるだけで答え、洞窟を後にする。外に出ると、太陽が街を柔らかく照らしていた。探索者たちは互いに感想を語り合い、亮は静かに日常へ戻る準備を整える。
「力は隠す…でも、戦略と判断力は常に磨く」
妹・あみの顔を思い浮かべ、亮は深く息を吸う。競争は刺激的だが、日常を守ることと力を隠すことが最優先。現代での冒険は、静かに、しかし確実に進行していた。




