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【1-5】知らないタイプの女性



ついに、夜会当日になってしまった...。


この夜会について詳しく知らなかったのだが、ラーセル曰く、第一王子主催の夜会らしい。


俺の今日の目標は、アレイル姉さんが何故夜会に参加したのかを突き止める。そして、婚約者であるネラーネに謝る。この2個だ。


先日、最悪すぎる(俺のせい)買い物デートが終わってから、彼女には会っていない。侍女を続けているのか、どこで暮らしているのか。それすら何も知らない。

ドレスはアリーユ姉さんが届けてくれたらしいが...。


今日はうちの邸のエントランスで待っていてと姉さんに言われたから、俺は大人しく待つことにした。






「...あのっ」


しばらく待っていると、後ろから声が聞こえた。


「素敵なドレス...ありがとうございます。」


振り返ると、俺が贈ったドレスを身にまとったネラーネが立っていた。

ピンク色の髪の毛を両サイドで結い、薄くメイクもしている。

普段大人っぽく美人な姉さん2人に囲まれていたため、少し幼く可愛らしい印象の女性というものに慣れていない俺は、つい、思わず可愛いと思ってしまった。


俺は恋愛未経験だ。

というか、親族以外の女性との交流すら、ほとんどない。

ネラーネとの婚約も、所謂政略結婚というやつだろうし、何とも思っていなかった。

つまり、なにも経験のない俺には、彼女とどう接すればいいのか分からないのだ。

それに、あの買い物の後から会ってなかったし...。

避けられていた可能性だってゼロではない。



そんな彼女と2人きりの馬車...。気まずすぎる。



「あのっ、アルハイル様。王立学園の最終試験のお勉強はどうですか?」


馬車が出発して数分後、ネラーネが突然口を開いた。


最終試験...か。


王立学園の試験は三段階ある。

学力審査と実力審査を突破すれば入学は確定。


そして最終試験。2ヶ月後に行われる。これはクラス分けの試験だ。

クラスは成績順で選ばれる。俺にとっても、この試験が1番重要だ。クラスが高ければ高いほど、選択科目が増えるのだ。基礎的な授業は受けず、入学してすぐに、公爵家のためになる勉強をしたい。そのためには、最高クラスになるのは必須条件だ。


「勉強は順調だよ。ネラーネ嬢は?」


「あの、お恥ずかしながら、ネネは最近あまり勉強が捗っていなくて.....。あの、良ければ、その.....。.......お勉強、教えて頂けませんか!」


彼女は突然膝に頭がつくほど、頭を下げた。


「勉強?全然いいよ。頭上げて大丈夫だから。」


まさかそんなにお願いされると思っておらず、俺は慌てて頭を上げさせた。


「それにしても、ネラーネ嬢は俺の2歳年下だって聞いてたけど、もう王立学園に入学できるの?試験難しくなかった?」


「あっ、それは。学力審査は少し難しかったです。でも、実力審査の方で何とか!座学は苦手ですが、体を動かすのは好きなので!魔術と剣術は少し得意なのです!」



.......実力審査の方?

この子、この見た目この体格で、魔術や剣術ができるのか...?

そういえば、俺は普通科志望だが、確か王立学園には魔術専攻や剣術専攻もある。そっちの場合は、人数が少ないため、最終試験によるクラス分けは必要ないのだ。


「魔術や剣術の専攻なら、最終試験は勉強は必要ないんじゃないか?俺はそっちの専攻志望じゃないから詳しくはないけど...。確か勉強は必要ないはずだ。」



「でもネネ、あの、出来れば、その.......。」


彼女は少し俯いた。声もどんどん小さくなっている。どうしたのだろうか。

彼女の髪が、肩を滑り、彼女の頬を撫でた。

しばらくの沈黙の末、彼女はまた口を開けた。


「そのっ、学園で、あ、アルハイル様と同じクラスになりたくて、その...だから、魔術専攻ではなくて、普通科に行きたいのです。そのためにお勉強を教えて頂きたいなと.....。」


彼女はそう言い終わると、恥ずかしいと言わんばかりに、両手で顔を覆った。


「ごめんなさいっ。会ったばかりの婚約者にそう言われても困りますよね。嫌ですよね。本当にごめんなさい。」


彼女はそう言いながら、更に頭を下げた。

...困ったな。こういうタイプの女性は初めてだ。接し方が全くもって分からない。

姉さん達はなんというか、すごいガツガツ来るのだが、この子はそういうタイプじゃないからな...。


「全然嫌じゃないよ。俺も、知らない人だらけのクラスは少し緊張するし、一緒に居てくれるとすごく助かる。邸に戻ったら勉強のスケジュールでも立てよう。」


そう言うと、彼女は顔を上げ、目を輝かせた。


「ありがとうございます。アルハイル様。」


本当に、笑顔の似合う子だなと思った。

俺はあまり笑顔が表情に出ないからな...。

少しだけ、羨ましいと思った。




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