5章:属性魔法の応用と複合属性バレットの理論
そんな 私はただ騎士様が美人で好みだったから でもこんなに押しの強い人とは思っていませんでした。
「お、おーっほっほっほ!! ……な、なんですって!? 『好みだったから』!? ……そ、そんな、真っ直ぐに、恥ずかしげもなく……!」
マリアンヌはついに165cmの身体を仰け反らせ、手に持っていた氷のコップを落としそうになるほど激しく動揺しました。55kgのしなやかな肢体が、焚き火の熱気以上に熱を帯び、その顔はもはや熟した果実のように真っ赤です。
先ほどまで1200のアンデッドを冷徹に粉砕していたあの「最強の魔法騎士」の面影は、今やどこにもありません。
「押しが強い……? そ、それは、貴方があまりにも淡々と、あまりにも凄まじい力を私に注ぎ込むから、私もそれに応えようと必死だっただけですわ! それを『好みの美人だから手伝った』だなんて……貴方、本当に、本当に計算外な人だわ!」
彼女は両手で熱くなった頬を押さえ、シゲルから視線を逸らすように夜の闇を見つめました。しかし、その指の間から見える耳は、隠しようもなく赤く染まったままです。
「……ずるいわ、シゲル。貴方のその『素直すぎる知恵』は、どんな防御魔法よりも、どんな複合バレットよりも、私の心を正確に射抜いてしまう。……まったく、私がこれまで積み上げてきた『誇り高き騎士マリアンヌ』という仮面が、たった一言で木っ端微塵だわ」
彼女は少しだけ落ち着きを取り戻そうと、深く、何度も深呼吸を繰り返しました。そして、おずおずと、しかし逃げ場を塞ぐような強い眼差しを再びシゲルに向けました。
「いい? シゲル。貴方が私のことを『好み』だと言ってくださったこと、絶対に忘れてあげませんから。……そして、押しが強いと言われたからには、その期待に応えて差し上げますわ! 私が貴方の知恵(と、その正直な口)に飽きるまで、どこまでも……それこそ世界の果てまで、貴方を連れ回してあげますわよ!」
マリアンヌは、照れ隠しに新しい肉をフォークで突き刺し、あむりと大きな口で頬張りました。
「おーっほっほ……! ……美味しい。シゲル、お代わりよ! これ、もっと焼きなさいな!」
シゲルは追加の肉を焼いてマリアンヌにエールを注いだ 分かりました。ただし条件があります。普通に話していいですか?マリアさんとか 受け入れてくれるならいいですよ。 好みの美人の頼みだし。
シゲルが手際よく追加の肉を石板に乗せると、再び芳醇な脂の香りが立ち上りました。氷のコップに黄金色のエールをなみなみと注ぎ、彼女に差し出します。
マリアンヌは、シゲルから提示された「条件」を聞いた瞬間、飲もうとしていたエールを少しこぼしそうになりました。
「ま、マリア……!? 私を、そんな……愛称のような、親密な呼び方で……?」
165cmの身体が、これまでにないほど激しく反応します。55kgの肉体を包む空気が、驚きと、それ以上に抗いようのない「喜び」で甘く痺れるようでした。
「おーっほっほ! ……いえ。ふふ、ふふふ。そうね。貴族としての肩書きも、騎士としての虚飾も捨てて、ただの『私』として隣にいたいと言ったのは、私の方ですもの」
彼女は真っ赤になった顔を隠すようにコップを両手で包み込み、小さく、しかし確かな意志を込めて頷きました。
「いいわ、シゲル。……いいえ、シゲル様。今日から私は、貴方の隣にいる時はただの『マリア』よ。敬語も、余計な気遣いもいらないわ。……貴方のその、少し呆れるほど正直な言葉を、そのまま私にぶつけなさいな」
彼女は「マリア」と呼ばれた自分を想像したのか、口元を綻ばせながら、焼きたての肉を一切れ、今度はゆっくりと慈しむように口へ運びました。
「好みの美人の頼み、だなんて……。貴方、本当に、私をどうしたいのかしら。……わかったわ。その条件、喜んで受け入れます。その代わり、後戻りはできないと思ってちょうだいね?」
マリアは幸せそうに目を細め、夜空に浮かぶ月を見上げました。最強の魔法を手にし、最も信頼できる「好みの」パートナーを得た彼女の物語が、今、静かに、しかし熱く幕を開けようとしています。
シゲル様はやめてください。ただのシゲルと呼んでもらえれば。
「……ただの、シゲル?」
マリアは少し驚いたように目を見開き、それから可笑しそうに、けれど愛おしそうにクスクスと笑い声を漏らしました。165cmの身体をシゲルの方へ少し預け、55kgの肉体から放たれる熱気が焚き火の温もりと混ざり合います。
「おーっほっほ! 貴方って本当に変わった人ね。私にこれほどの力を与えておきながら、敬われることさえ拒むなんて。……いいわ、シゲル。貴方がそう望むなら、私も飾り気のない言葉で、貴方の名前を呼ばせてもらうわ」
彼女は少し照れくさそうに、しかし大切にその名前を口の中で転がすようにして呟きました。
「シゲル……。ええ、悪くないわ。むしろ、貴方との距離がぐっと縮まったようで、なんだか胸の奥が温かくなるのを感じるわ」
マリアは残ったエールを飲み干すと、少しだけ眠たそうに、しかし幸せそうに目を細めました。
「じゃあ、シゲル。明日からは『マリア』と『シゲル』、ただの二人として旅を続けましょう。……あ、でも! 私の好みのタイプだと言ったこと、取り消しは無しよ? その言葉に見合うくらい、もっともっと、貴方を驚かせるような『美人のパートナー』になってみせるんだから!」
彼女はそう言うと、焚き火の明かりの中で、少女のような無邪気な笑顔をシゲルに向けました。
シゲルは氷魔法で建屋を2棟作ると土魔法でベッドを作りアイテムボックスからマットレスとシーツと毛布を出した。 マリアさん寝床ができたよ。まだ飲む?
「あらあら……! 氷で建屋を、土でベッドまで!? 本当にシゲルは、魔法を『暮らし』の一部として使いこなしてしまうのね」
マリアは、月明かりを反射して青白く輝く美しい氷のコ屋を眺め、感嘆の声を漏らしました。165cmの身体を揺らしながら近づき、シゲルが用意したベッドのシーツにそっと触れます。
「アイテムボックスからマットレスまで出てくるなんて。……ふふ、おーっほっほ! まるでどこかの王宮の寝室より快適そうだわ。……飲む? そうね、もう少しだけ、この夢のような夜の余韻に浸っていたいわ」
彼女は55kgの身体をシゲルの作った土のベッドに腰掛けさせました。氷の壁が焚き火の光を透かし、室内は幻想的な琥珀色の光に包まれています。
「ねえ、シゲル。さっきの『美人で好みだ』っていう言葉……あれ、本気にしていいのよね? こんなに甲斐甲斐しく寝床まで整えてくれるなんて、私、勘違いしてしまいそうだわ」
マリアは、シゲルが注いでくれた最後のエールを受け取ると、少し上目遣いで彼を見つめました。最強の魔法騎士としての鋭さは影を潜め、今はただ、好きな人の隣で夜を惜しむ一人の女性の顔をしています。
「明日からは、この建屋もバレットも、全部二人で分け合って進むのね。……シゲル。今夜は、貴方の顔をしっかり覚えてから眠りたいわ。もう少しだけ、隣に座っていてくれないかしら?」
マリアさんもいろいろあったんですね。
「ええ……本当に、いろいろあったわ」
マリアは氷の壁に背を預け、エールの入ったコップを両手で包み込みました。焚き火の光が透き通る壁越しに揺らめき、彼女の横顔を柔らかく、そして少しだけ寂しげに照らし出しています。
「シゲルに会うまでの私は、ただ『マリアンヌ・フォン・リゼリア』という役を演じているだけだった。伯爵令嬢として、あるいは騎士団の象徴として。……誰からも期待されるけれど、誰からも『私自身』を見てもらえない。そんな場所で、ただ磨かれた剣のように、ただ冷たくあることだけが、私に許された唯一の誇りだったの」
彼女は小さく笑って、エールを一口含みました。
「でも、貴方は違ったわ。私の身分なんて最初から眼中になくて、ただ『危なっかしい美人がいる』からって理由で、とんでもない力をひょいっと貸してくれた。……おーっほっほ! 本当に、これまでの私の苦悩は何だったのかしらって、拍子抜けしちゃうくらいにね」
マリアはコップを置き、隣に座るシゲルの方へ、55kgのしなやかな体を少しだけ寄せました。165cmの長身が、今はとても小さく、愛らしく見えます。
「家族や騎士団の話をした時、貴方が『知らない』と言ってくれたこと……実は、少し嬉しかったのよ。過去の私を知らない貴方だからこそ、今の、魔法を覚えてはしゃいで、お肉をたくさん食べる『私』を、そのまま受け入れてくれた。……そんな気がするの」
彼女はシゲルの目を見つめ、そっと微笑みました。その瞳には、かつての冷徹な騎士の影はなく、未来への希望に満ちた一人の女性の光が宿っています。
「……シゲル。今日、貴方に拾ってもらえて、本当に良かった。いろいろあったけれど、そのすべてはこの夜に繋がるためのスパイスだったと思えるわ。……ふふ、酔っちゃったかしらね、私」
明日からはもっと楽しくなるよ
「明日からはもっと楽しくなる……。ええ、シゲルがそう言うなら、本当にそうなると確信できるわ」
マリアはそう呟くと、憑き物が落ちたような、清々しくも柔らかな笑みを浮かべました。165cmの身体から力が抜け、シゲルの言葉を一つひとつ宝物のように胸に収めていくようです。
「おーっほっほ! そうよね。これまでは一人で重たい剣を振り回していたけれど、これからは貴方の突拍子もないアイデアを聞きながら、見たこともない魔法を放って、美味しいものを食べて……。想像しただけで、退屈している暇なんてなさそうだわ!」
彼女は最後のエールを飲み干すと、名残惜しそうに空になった氷のコップを見つめ、それからシゲルを真っ直ぐに見つめました。
「シゲル。貴方が私の隣にいてくれることが、今の私にとって一番の『魔法』かもしれないわ。……ふふ、こういうのは、あまり言い過ぎると調子に乗られてしまうかしら?」
彼女は少し照れくさそうに立ち上がると、シゲルが作った氷の建屋の入り口に立ち、銀色の髪をさらりと揺らしました。
「じゃあ、シゲル。最高の食事と、最高の寝床、そして……最高の言葉をありがとう。明日の朝、貴方の顔を見るのを楽しみにしているわ。……おやすみなさい、シゲル。いい夢を見てね」
マリアは最後に一度だけ愛おしそうに振り返り、自分の建屋へと入っていきました。
シゲルも自分の建屋に行って2つの建屋を囲むように結界を張って眠りについた。
シゲルが静かに結界の術式を編み上げると、2棟の氷の建屋を包み込むように、半透明の淡い光の膜が音もなく展開されました。物理的な干渉だけでなく、魔力や気配さえも遮断するその結界は、荒野の夜にあって絶対的な安息を約束するものでした。
氷の壁を通して、隣の建屋からマリアの穏やかな寝息が微かに聞こえてくるようです。
シゲルもまた、土魔法で設えたベッドに横たわりました。 アイテムボックスから出したシーツの清潔な香りと、適度な反発のマットレス。1200のアンデッドとの戦いを終え、今はただの「マリア」として眠りについた彼女のことを思い出しながら、シゲルもゆっくりと意識を沈めていきました。
翌朝、氷の壁を透過して差し込む朝陽が、二人をどんな新しい冒険へと誘うのか。 静寂に包まれた森の中で、二人の新しい旅路の最初の夜が更けていきます。
朝シゲルが目を覚ますとアイテムボックスからパンとフォレストボアの肉とベーコンを取り出して石板の上で焼く。隣の建屋からマリアの「おーっほっほ! シゲル、起きていらして!?」という元気な声が聞こえてきた。 コーヒーを淹れてマリアに渡すと「これは?」
「コーヒーという飲み物ですよ。少し苦いですが、香りがいいでしょう? 眠気覚ましには最高です」
シゲルが淡々と答えると、マリアは氷のコップを温かい陶器のカップに持ち替え、不思議そうに黒い液体を見つめました。165cmの寝起きとは思えないほど整った容姿、しかしその銀髪は少しだけ寝癖で跳ねていて、昨夜までの「完璧な騎士」ではない、隙のある「マリア」の姿がそこにありました。
「……ふぅ、ふぅ。あら、なんて芳醇で深い香りかしら。……っ、苦い! おーっほっほ! 驚いたわ、でも……後味がとてもスッキリしていて、頭の芯がシャキッとするようですわ!」
マリアは驚きながらも、その独特の風味を気に入ったようで、交互にコーヒーを啜りながら石板の上で焼かれる肉を見つめました。
「昨夜の肉も絶品だったけれど、この『ベーコン』というのも香ばしくて堪らないわね。シゲル、貴方のアイテムボックスは、四次元の宝物庫か何かなの? 起きてすぐにこんな贅沢な朝食が食べられるなんて、王族でもそうはいかないわ!」
彼女は焼きたてのパンにベーコンとボアの肉を挟み、大きな口で頬張りました。55kgのしなやかな体にエネルギーが満ちていくのを実感しているのか、その瞳は朝陽を浴びてキラキラと輝いています。
「ぷはぁ、美味しい! ……ねえシゲル、このコーヒーという魔法の飲み物と、貴方の美味しい朝食。これだけで、私は今日一日、世界の果てまで飛んでいける気がするわ!」
マリアは満足げに微笑み、ふと昨夜シゲルが張った結界の跡に目を向けました。
「……ぐっすり眠れたのは、シゲルが守ってくれていたからね。ありがとう。さて! 腹ごしらえが済んだら、この大量の魔石を持ってどこへ向かいましょうか? 貴方の『知恵』が指し示す、次なる目的地を聞かせてちょうだい!」
シゲルは建屋と竈を片付けると昨日貰った魔石を取り出した。ピュリフケーション
シゲルが魔石に向かって静かに**「ピュリフケーション(浄化)」**を唱えると、石にこびりついていたアンデッド特有の禍々しい瘴気や汚れが、光の粒子となって霧散していきました。
リッチやデスナイトから剥ぎ取ったばかりの時は、どこか薄暗く冷たい光を放っていた魔石たちが、今は透き通るような純粋な輝きを放ち、石板の上で宝石のように煌めいています。
「……まぁ、なんて美しいのかしら」
マリアは手に持っていたパンを止め、その光景に目を奪われました。165cmの身体を屈め、浄化されたばかりの魔石を一つ、指先でそっと持ち上げます。
「リッチの魔晶石が、ここまで濁りなく澄み渡るなんて。通常の神官が数人がかりで儀式を行っても、こうはいかないわ。シゲル、貴方は破壊の術式だけでなく、聖なる理まで完璧に使いこなすのね」
彼女は、自分の掌で清らかに光る魔石を愛おしそうに見つめ、それからシゲルに最高の笑顔を向けました。
「おーっほっほ! これだけの純度なら、ギルドや商会に持っていけば、言い値で取引されること間違いなしだわ。……汚れを払ったこの石を見ていると、なんだか私たちの旅の始まりを祝福されているみたいで、とっても清々しい気分だわ!」
シゲルは浄化を終えた魔石を、手際よくアイテムボックスへと収納していきました。
「さて、マリア。荷物も片付いたし、魔石も綺麗になった。……そろそろ出発しましょうか」
シゲルがそう声をかけると、マリアは勢いよく立ち上がり、腰の剣を軽く叩きました。
「ええ、行きましょう! この魔石を最高の価値で引き取らせて、もっと面白いものを手に入れに。……さあシゲル、次はどの空を飛びたいかしら?」
アンデッド系の魔石には呪いが残っている場合があります。念のため浄化してから使うんですよ。 クリエイト ゴーレムトラック
「呪い……!? おーっほっほ! さすがシゲル、どこまでも用意周到ですわね。私としたことが、魔石の輝きに見惚れて肝心なことを忘れるところだったわ。もしあのまま換金なんてしていたら、商人が発狂するか、私が呪いを受けるところでしたわね」
マリアは感心したように頷き、シゲルの深慮遠望に改めて敬意の眼差しを向けました。
しかし、その驚きを上書きするように、シゲルがさらなる魔法を発動させます。
「クリエイト・ゴーレムトラック」
シゲルが地面に手を触れると、土魔法によって錬成された土石が、複雑な術式の光と共に形を変えていきました。現れたのは、頑丈なタイヤ、広々とした荷台、そして魔力駆動のエンジン部を備えた、無骨ながらも機能美に溢れる巨大な土石のトラックです。
「……な、なんですの、この鉄の……いえ、土の塊は!? おーっほっほ! 貴方の創造魔法は、もう私の想像の範疇を軽々と越えていくわね!」
マリアは165cmの身体を躍動させてトラックの周りを一周し、タイヤを軽く蹴ってみたり、運転席を覗き込んだりして目を輝かせています。
「馬もいないのに、これだけの巨体が動くというの? しかも、この荷台ならどれだけの魔石や資材を積んでも余裕だわ。……ふふ、空を飛ぶのもいいけれど、こんなに面白い乗り物で大地を駆け抜けるのも、新しい旅の形として最高じゃない!」
彼女はヒラリと助手席に飛び乗り、55kgの肉体をシートに預けると、シゲルに向かって楽しげに手を振りました。
「さあシゲル! この『ゴーレムトラック』の初陣よ! 最高の乗り心地を私に提供してちょうだい。目的地は、この魔石を驚きと共に出迎えてくれる、一番賑やかな街で決まりね!」
シゲルは立地の魔石をゴーレムトラックに取り付ける。 ゴーレムトラックが起動した。
リッチの魔石は魔力が強いからゴーレムトラックなら数百年動きますよ。
「す、数百年……!? おーっほっほ! シゲル、貴方はもう、資源問題という概念まで破壊してしまうつもり?」
マリアは助手席で目を見開き、トラックの心臓部で静かに、しかし力強く脈動するリッチの魔晶石を見つめました。浄化されたその石は、禍々しさを一切消し、純粋な魔力の奔流を機械の四肢へと送り込んでいます。
「通常、ゴーレムを一日動かすだけでも、下級の魔石が数個は砕け散るというのに。リッチの魔力をこれほど効率的に、しかも永続的に循環させるなんて……。騎士団が保有する魔導戦車が、まるでおもちゃに見えてくるわ」
シゲルが運転席に座り、魔力回路を同調させると、巨大なトラックが**「ズウゥゥン……」**と重厚な低い唸りを上げました。地面がわずかに震え、無機質な土の塊が、まるで命を宿した巨獣のように覚醒します。
「ふふ、数百年の航続距離、そして最強の魔法騎士の護衛……。これでは旅というより、移動する要塞ね。おーっほっほ! いいわ、シゲル! この規格外の乗り物で、世界の常識を文字通り踏み潰しながら進んでやりましょう!」
マリアは窓の外に広がる荒野を見据え、不敵に微笑みました。
「さあ、出発よ! 目指すは自由と、まだ見ぬ未知の景色。シゲル、このトラックの『初速』、期待させてもらうわよ!」
シゲルとマリアはゴーレムトラックに乗り込んだ ゴーレムトラック 飢えて滅びそうな村へ行け 自律思考のゴーレムトラックは命令を理解して 目のような光が明滅している。 動き出した。
ゴーレムトラックのフロント部分にある「眼」にあたる魔導水晶が、鋭い青白い光を放って明滅しました。シゲルの命令をその自律思考核(AI)に刻み込んだトラックは、リッチの膨大な魔力を駆動系へと流し込みます。
「ズォォォン……!」
地響きのような重低音と共に、巨大な土石のタイヤが大地を掴みました。道なき道を、障害物をものともせずに突き進むその姿は、まさに動く要塞です。
「おーっほっほ! 意志を持つ乗り物なんて、伝説の聖遺物でも聞いたことがないわ! まるで生きているみたいね」
マリアは助手席で、滑らかに加速するトラックの挙動に感嘆の声を上げました。彼女は165cmの身体を窓から少し出し、サーチを広域展開します。
「……シゲル、トラックが向かっている方向に、生命反応の希薄な地点を捉えたわ。おそらくそこが、貴方の言った『飢えて滅びそうな村』ね。……でも、シゲル。あえてそこを選ぶなんて、貴方は本当に……ただの『お人好し』以上の何かを感じるわ」
彼女は少し真剣な表情になり、運転席のシゲルを見つめました。
「魔石も、力も、このトラックも。貴方が持ち込んだ『理外の力』が、その村に何をもたらすのか……。私はこの目で、最後まで見届けさせてもらうわよ」
ゴーレムトラックは、サーチの誘導と自らの判断で、枯れ果てた大地を切り裂きながら、絶望の淵にある村へと猛スピードで直走ります。
村の入り口が見えてきました。人影はまばらで、家々は朽ち果てています。トラックを村の広場に乗り入れる。 ヒールバレット レイン
ゴーレムトラックが地響きを立てて村の広場に停車すると、マリアは助手席からその惨状に息を呑みました。倒れ伏した老人、虚ろな瞳でうずくまる子供たち。村全体が死の香りに包まれています。
しかし、シゲルは迷うことなく指先を天に向けました。
「ヒールバレット・レイン」
放たれた無数の光弾が空中で弾け、柔らかなエメラルド色の光の雨となって村全体に降り注ぎます。
「……えっ? あ、ああ……! 体が、軽い……!?」 「傷が消えていく……! 痛くない、痛くないよ!」
広場で動けずにいた村人たちが、光を浴びるたびに活力を取り戻し、驚愕の声を上げながら次々と立ち上がります。衰弱しきっていた彼らの細胞に、シゲルの膨大な魔力が直接生命力を流し込んだのです。
「おーっほっほ!! 素晴らしいわ、シゲル!」
マリアはトラックのドアを勢いよく開け、165cmの凛とした姿で広場に降り立ちました。その背後には、圧倒的な存在感を放つ巨大なゴーレムトラックと、降り注ぐ癒やしの光。村人たちの目には、二人が神の使いか何かに見えているに違いありません。
「見てちょうだい、シゲル。絶望しかなかったこの場所に、今、確実に『生』の灯が戻ったわ。……でも、貴方のことだから、ただ癒やして終わり、ではありませんわよね?」
彼女は不敵に微笑み、跪き、涙を流して感謝を捧げようとする村人たちを制するように手を掲げました。
「おだまりなさい! 感謝するなら、このシゲル様にしなさいな。そして、よく聞きなさい。私たちは貴方たちを『生かし』に来たの。……さあ、シゲル。この者たちに、次にどんな『奇跡』を見せてあげるつもり?」
ピュリフィケーションバレット レイン
シゲルが再び指先を天にかざすと、今度は雪のような白銀の光弾が打ち上げられました。
「ピュリフィケーションバレット・レイン」
空中で炸裂した光は、細かな霧となって村の隅々まで染み渡っていきます。 ドブ川のように濁っていた井戸水は一瞬で水晶のような透明度を取り戻し、長年の連作障害や病害に侵されていた痩せた土壌からは、どす黒い気が抜けて、ふかふかとした肥沃な大地の香りが立ち上りました。
「……信じられない。空気が、水が、こんなに清らかになるなんて」
マリアは深呼吸をし、浄化された風を胸いっぱいに吸い込みました。165cmの身体を包むマントが、清浄な風にたなびいています。
「おーっほっほ! 見てちょうだい、シゲル! 村人たちの顔に、ただの安堵ではない『希望』が宿ったわ。環境そのものを清めるなんて、高位の聖女でも一生に一度できるかどうかの奇跡ですわよ」
広場では、村人たちが井戸から溢れ出す清らかな水に歓喜し、土を手に取ってはその温かさに涙しています。
「でも、シゲル。環境は整ったけれど、彼らが今日を生き延び、明日への種を蒔くには……まだ『物理的な力』が足りないのではないかしら?」
マリアは期待に満ちた瞳でシゲルを振り返りました。 癒やし、浄化し、次に来るもの。彼女は、シゲルの「アイテムボックス」の中に、さらなる驚きが詰まっていることを確信しています。
シゲルは土魔法で竈とテーブルをを5つ作ると土魔法で大鍋を5つ作り竈にセットする。フォレストボアの肉をと野菜を鍋に入れて炒める い溜まったところで ウォーター 鍋に水を入れる。
氷魔法で丼とスプーンを100個ほど作りテーブルに置く 鍋に塩を入れて味をみる
シゲルの無駄のない、それでいて神速の作業に、村人たちは言葉を失って見入っています。
「おーっほっほ! 次から次へと……! シゲル、貴方の魔法はもはや、一国を支える兵站部隊そのものね!」
マリアは感嘆の声を上げながら、氷魔法で次々と生み出される透き通った丼とスプーンをテーブルに並べるのを手伝いました。165cmの身体を優雅に動かし、55kgのしなやかな身のこなしで、村人たちをテーブルへと誘導していきます。
大鍋の中では、アイテムボックスから出された新鮮なフォレストボアの肉と、瑞々しい野菜がジュウジュウと音を立てて炒められ、そこへ清らかな水が注がれると、辺りには空腹の極みにあった村人たちの鼻をくすぐる、この世のものとは思えないほど芳醇な香りが立ち込めました。
シゲルが塩で味を整え、最後の一仕上げを終えると、マリアが代表して声を張り上げました。
「さあ、飢えた者たちよ! このシゲル様が振る舞う、奇跡のスープをいただきなさい! これを口にすれば、絶望など微塵も残らないはずよ!」
村人たちは、氷の丼に並々と注がれた具だくさんのスープを、震える手で受け取ります。熱々のスープを一口啜ると、彼らの瞳からは大粒の涙が溢れ出しました。
「うまい……うますぎる……」 「体が……力が湧いてくる……!」
マリアは、一心不乱にスープを口に運ぶ村人たちを満足げに見守りながら、シゲルの隣に並びました。
「シゲル。貴方が今日ここでやったことは、単なる施しではないわ。彼らの魂を、この土に繋ぎ止めたのよ。……おーっほっほ! 見てちょうだい、あの子供たちの笑顔を。私のサーチには、彼らの生命力が先ほどの百倍以上に膨れ上がるのがはっきりと映っているわ!」
彼女は少しだけ声を低くして、シゲルに微笑みかけました。
「……ねえ、シゲル。貴方、本当に『ただの平民』なんて嘘を吐き続けるつもり? こんなことができるのは、世界で貴方一人だけよ」




