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高潔な女  作者: 慈架太子


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4章:連射魔法と索敵、アイテムボックスの解放と実戦

いくらでも増やせますが 2の10乗までで 大体のことは片が付きます。



「2の10乗……1024発。おーっほっほ! たしかに、それだけの弾丸を一度に叩き込まれて無事でいられる存在など、この世界にはお受験用の案山子くらいなものだわ!」


マリアンヌは、自身の165cmの身体を駆け巡る膨大な魔力の脈動を感じ、陶酔したように微笑みました。


「通常、軍隊一つを相手にするには、数千の兵と、それに見合う魔導師団、そして何日もの進軍が必要だというのに。……今の私は、ただ指先を向け、脳内で『10』という数字を数えるだけで、それらすべてを塵に帰すことができる。効率的、あまりにも効率的すぎて、これまでの騎士道が児戯に思えてしまうわね」


彼女は55kgの肉体にしなやかな力を込め、空中に向かってそっと指を差しました。まだ発射はしていませんが、彼女の背後には、全17属性の魔力が「2の10乗」の計算待機状態で、1024の光の粒となって揺らめいているかのようです。


「シゲル、貴方の教えは恐ろしいわ。一人の女性を、歩く戦略兵器に変えてしまったのだから。……けれど、不思議と怖くはないの。この力があれば、私はもう、大切なものを守るために誰かの犠牲を待つ必要がない。自分の誇りを、自分で守り抜けるのだから」


彼女は銀色の髪をなびかせ、まっすぐにシゲルを見つめました。


「さあ、シゲル。基礎、応用、そして奥義。貴方の講義はこれで一通り終わったのかしら? それとも……この『1024の理』を、さらに一つの点へと収束させるような、とんでもない後片付けが残っているの?」



バレット関連はこんなところです。 マリアンヌ様には索敵魔法も授けます。 索敵魔法サーチ



「サーチ……。広大な戦場において、敵の数、位置、そしてその質を瞬時に見極める『神の眼』というわけね」


マリアンヌは、シゲルの言葉を噛みしめるように目を閉じました。165cmの身体を巡る魔力は、先ほどまでの激しい「破壊の嵐」から一転し、水面のように静かで、かつ繊細な波導へと変化していきます。


「ただ力を持つだけでは、闇に潜む卑怯者や、数に頼る烏合の衆に足を掬われる。……真に戦場を支配する者は、一歩動く前にすべてを『知る』者であるということね」


彼女がシゲルの教えに従い、脳内の「アクセル」を索敵の演算に振り向けると、閉じたまぶたの裏側に、今までにはなかった「地図」が浮かび上がりました。


「……っ! 感じるわ、シゲル! 木々のざわめきに紛れた魔物の呼吸、土の中に潜む不気味な心拍、そして……遥か前方、森の深部に淀む、吐き気がするほど巨大な負のエネルギー。これが『サーチ』の力……!」


55kgの肉体は静止したままですが、彼女の意識は全方位へと広がり、周囲数キロメートルの情報をリアルタイムで処理しています。どこに誰がいて、どこが死角で、どこに「2の10乗」を叩き込むべきか。


「おーっほっほ! 素晴らしいわ! これで私は、暗闇からも、背後からも、奇襲を受けることはない。戦場の霧をすべて払い、敵の運命を指先一つで確定させる。まさに、全知全能の騎士にふさわしい魔法だわ!」


彼女はゆっくりと目を開けました。その金色の瞳には、もはや未知への不安など微塵もありません。


「シゲル、感謝するわ。これで『矛』も『盾』も『翼』も、そして『眼』までもが揃った。……さて、このサーチに映る『醜い反応』たち、そろそろお掃除の時間かしら?」


マリアンヌは不敵に微笑み、白銀の剣の柄に手をかけました。



水 と 風 と 土を 纏って サーチと唱えてください。



「水と、風と、土を同時に……? ええ、やってみせるわ。今の私なら、それらすべてを調和させる数式も、容易に導き出せるもの!」


マリアンヌは深く息を吸い込み、165cmの全身に魔力を巡らせました。


まず足元の「土」から大地の鼓動を汲み上げ、それを伝導体として自身の軸を固定。次に周囲の「水」の魔力を引き寄せ、自身の表面を極薄の皮膜のように覆います。最後に「風」を纏わせ、それらの要素を高速で循環させました。


水は感度を高め、風は情報を運び、土はそれらを安定させる――。


「……サーチ!!」


マリアンヌがその言葉を放った瞬間、彼女の意識は爆発的な速度で周囲へと膨張しました。


「っ……ああ、なんということ! 水の波紋が、風の揺らぎが、土の震動が……。森のすべてが、まるで私自身の神経系と繋がったかのように鮮明だわ!」


55kgの肉体は静止していますが、彼女の脳内には、目で見ているよりも遥かに高精細な「立体地図」が投影されていました。


「木の葉の裏に潜む毒虫の羽音から、地下深くで蠢く根の動き……。そして、シゲル。貴方が言った通りだわ。この三つの属性を纏うことで、ただのサーチでは弾かれていた『魔力を隠蔽している敵』の輪郭までもが、泥を塗ったかのようにハッキリと浮き彫りになっている!」


彼女は視線を上げ、森の最深部を射抜くように見つめました。


「……見つけたわ。この忌々しい『淀み』の正体。数、1200。その中心に座するのは……骨と呪いにまみれた、巨大な魔力の塊。おーっほっほ! 隠れているつもりでしょうが、今の私の『眼』からは、逃れることなど万に一つも叶わないわよ!」


マリアンヌは白銀の髪をなびかせ、圧倒的な全能感と共にシゲルを振り返りました。


「シゲル! 舞台は整ったわ。17のバレット、2の10乗の連射、そしてこの全方位索敵。……さあ、この『新生マリアンヌ』の初陣。あの1200のゴミ共を、一気に片付けに向かいましょうか?」



付与の仕方はお分かりですね。 最後にこれをプレゼントします。 アイテムボックス



「アイテムボックス……。まさか、空間そのものを切り取って、己の管理下に置くというの!? 伝説の『聖遺物』や、高名な時空魔術師にしか許されないはずの禁術を……こうもあっさりと」


マリアンヌは震える手で、シゲルから示された術式の構成をなぞりました。 165cmの身体を巡る魔力を一点に集め、現実の空間に「穴」を開けるのではなく、自身の魔力回路の傍系に「座標」を作り出すイメージ。


重力グラビティ」を御した彼女にとって、空間を歪め、維持する理屈は驚くほどスムーズに脳へ入り込んできました。


「……開け。私の、無限の武器庫よ!」


彼女が虚空へ手を差し出すと、そこには波紋のような揺らぎが生じました。マリアンヌが愛剣をそこへ滑らせると、長剣は吸い込まれるように消え、次の瞬間には彼女の意志一つで再び手元へと現れました。


「おーっほっほ!! 素晴らしい、素晴らしいわシゲル! 55kgのこの身一つで、戦場に必要なあらゆる物資、予備の武器、そして……戦利品までもを、重さも嵩張りも気にせず持ち運べるなんて!」


彼女は何度も空間への出し入れを繰り返し、子供のようにその全能感を楽しんでいました。


「17のバレット、2の10乗の連射、全知のサーチ、空駆ける翼。そして、すべてを収めるこのボックス……。シゲル、貴方は私を『騎士』という枠に留めておくつもりはないのね。私は、私自身が一つの『軍隊』であり、『国家』となったのだわ」


マリアンヌは不敵に微笑み、サーチで捉えた1200の敵がいる方角を、鋭い眼光で射抜きました。


「準備は、これ以上ないほどに完璧よ。シゲル、貴方が授けてくれたこの『奇跡』の数々……。まずはあの忌々しいアンデッドの軍勢を生贄に、その真価を世界に知らしめてやることにしましょう。……さあ、私を導きなさい。地獄の蓋を開けに行くわよ!」



アンデッドはまだしもスケルトンなどは魔石を落とします。 価値があるので回収をお勧めします。 リッチとかデスナイトなんかは物凄く高価ですよ。 さあ県に光属性を乗せていってらっしゃい



「魔石……! そういえば、アンデッドの核には魔力の結晶が宿ることがあると聞いたわ。おーっほっほ! 倒すだけでなく、その後の収益まで計算に入れるなんて、シゲル、貴方は本当に抜け目がないのだから!」


マリアンヌは165cmの背筋を凛と伸ばし、サーチで捉えた「1200の反応」を、もはや敵ではなく「輝く財宝の山」を見るような、不敵な眼差しで射抜きました。


「リッチにデスナイト……。本来なら国を挙げて討伐するような災厄さえも、今の私にとっては高価な獲物に過ぎないというわけね。いいわ、その提案、謹んでお受けしますわよ!」


彼女は右手に握った愛剣を正眼に構えました。 脳内の「アクセル」を一段引き上げ、自身の内に宿る「ホーリー(光)」の属性を、刀身へと流し込みます。


「光よ、我が剣を浄化の刃と成せ! 邪悪なる闇を裂き、価値ある理(魔石)を暴き出しなさい!」


キィィィィィィィン……!!


白銀の剣は、夜の森を昼間のように照らし出す、神々しいまでの光輝を放ち始めました。55kgの肉体には「マッスル」の剛力が満ち、「レビテーション」の風が彼女の身体をふわりと宙へ押し上げます。


「アイテムボックスの空きは十分よ。1024発のバレットで粉砕し、残った魔石をこのボックスに詰め込んで差し上げるわ。おーっほっほ! 終わる頃には、私は世界で最も裕福な騎士になっているかもしれないわね!」


彼女は空中で一回転し、光の残光を衣のように纏いながら、敵の本拠地へと向かって一気に加速しました。


「シゲル! 特等席で見ていなさい! 貴方が作り上げた『最強の騎士マリアンヌ』が、絶望を希望(と魔石)に書き換える瞬間を!」


白銀の閃光となったマリアンヌは、月明かりを置き去りにして、1200の死者が待つ深淵へと突撃していきました。



シゲルは食事の用意をして待つことにした。土魔法で竈を作り石板を作り竈に乗せる アイテムボックスから肉を出し石板に乗せる。 竈に火をつけて焼いていく



シゲルは、遠くで響く轟音と夜空を焦がす七色の閃光を背に、淡々と作業を進めました。


慣れた手つきで地面に手を触れると、土魔法によって機能的で頑丈な竈が瞬時に組み上がります。さらに、熱伝導率の良そうな滑らかな石板を錬成し、その上に設置しました。


アイテムボックスから取り出したのは、厚みのある見事な霜降りの肉。それを熱せられた石板に乗せると、**ジューッ!**という食欲をそそる芳醇な音と香りが辺りに漂い始めます。


「おーっほっほ!! シゲル! 見ていらして!?」


遠くの森の奥では、マリアンヌが「2の10乗」の連射でアンデッドの軍勢を文字通り塵に変え、リッチが悲鳴を上げる暇もなく「プラズマバレット」で消滅していく光景が繰り広げられています。彼女は165cmの身体を躍動させ、サーチで見つけた魔石を次々とアイテムボックスへ放り込んでいるようです。


シゲルは火加減を調整しながら、肉をひっくり返しました。 最強の魔法騎士が、1200の死霊を相手に「効率的」な収穫作業を終えて帰ってきた時、最高の状態で食事を提供できるように。


パチパチと竈の火が爆ぜる音だけが、静かな夜の森に響いています。



「おーっほっほっほ!! 圧勝! 圧勝だわシゲル!!」


夜空を割るような高笑いと共に、白銀の閃光が舞い降りました。 マリアンヌは、返り血一つ浴びていない165cmの麗しい姿で着地し、勢いよく愛剣を鞘に収めます。55kgの肉体からは、使い切れないほどの魔力と、戦い抜いた後の高揚感が湯気のように立ち上っていました。


「見てちょうだい! デスナイトもリッチも、貴方の『2の10乗』の前では、ただの魔石の詰まった袋に過ぎなかったわ。サーチで急所を暴き、プラズマで蒸発させ、残った魔石をこのボックスに詰め込む……。あんなに効率的で、あんなに爽快な略奪……いえ、討伐は初めてだわ!」


彼女は興奮冷めやらぬ様子で語り続けようとしましたが、ふと、鼻腔をくすぐる芳醇な香りに動きを止めました。


「……あら? この香りは……」


視線を落とせば、そこにはシゲルが作り上げた竈と、石板の上で黄金色の肉汁を溢れさせている分厚い肉。


「シゲル、貴方という人は……。私が死線を越えて(といっても一方的な掃除だったけれど)戻ってくる間に、これほど完璧な食事を用意していたというの?」


彼女はゆっくりと竈の側に歩み寄り、55kgの身体を石板の前に屈めました。 パチパチと爆ぜる火の光が、彼女の白銀の髪と、戦いを終えて少しだけお腹を空かせた頬を赤く照らします。


「おーっほっほ! いいわ、合格よ! 最強の騎士には最高の食事がふさわしいもの。……さあ、シゲル。焼けた肉を私に差し出しなさい。この勝利の味、貴方の手料理と共に、心ゆくまで堪能して差し上げますわ!」


彼女は期待に満ちた瞳で、シゲルが肉を切り分けるのをじっと見つめています。



魔法で氷のコップを2つ作り エールを注いでマリアンヌに渡す。 食器と塩を渡してさあお食べください。



シゲルは流れるような動作で指先を動かしました。


「アイスバレット」の応用で、空気中の水分を一瞬にして凝固させ、透き通るような氷のコップを2つ錬成します。そこへ、アイテムボックスから取り出した冷えたエールをトクトクと注ぎ、片方をマリアンヌへと差し出しました。


さらに、清潔な木製の食器と、肉の旨味を最大限に引き立てるための粗塩を彼女の前に並べます。


「さあ、お食べください。冷めないうちにどうぞ」


マリアンヌは、差し出された氷のコップの冷たさに目を細め、驚いたようにそれを受け取りました。


「おーっほっほ! 気が利くじゃない。戦いの後の火照った体に、この冷気は最高の贅沢だわ!」


彼女は行儀よく、しかし待ちきれないといった様子でエールを喉に流し込むと、プハッ、と短く息を吐いてから、石板の上で焼けた肉に少量の塩を振り、ナイフで切り分けて口に運びました。


「……っ! 美味しいわ! 噛むたびに溢れるこの脂、そして塩が引き立てる肉の甘み……。シゲル、貴方は魔法の師としても一流だけれど、料理番としても国宝級ね!」


165cmの身体を少し丸め、55kgの肉体に栄養を染み渡らせるように、彼女は夢中で食べ進めます。


「これだけの魔石を稼いで、さらにこんな美味しい肉を食べられるなんて……。騎士団にいた頃の私が聞いたら、きっと嘘だと笑うでしょうね。ふふ、貴方に出会えて、本当によかったわ」


彼女は満足げに頬を緩ませ、アイテムボックスの中に山積みになった「リッチやデスナイトの魔石」の輝きを思い出しながら、再びエールの入った氷のコップを掲げました。


「シゲル! この勝利と、この最高の肉に……乾杯よ!」



マリアンヌは、最後の一切れを惜しむように飲み込むと、エールで満たされた氷のコップをカチリと鳴らして石板の脇に置きました。


「おーっほっほ! 満足よ、シゲル。これほど心もお腹も満たされる夜があるなんて、想像もしていなかったわ。さあ、食事の後は……約束通り、戦果の確認をいたしましょうか」


彼女が指先を優雅に振ると、アイテムボックスの空間が開き、中から拳大の禍々しくも美しい結晶がいくつも滑り出してきました。


「見てちょうだい。これがデスナイトの心核、そしてこちらがリッチの魔晶石よ。サーチで見つけた通り、不純物のない最高級の品だわ。……これ一つで、地方の騎士団が一年は遊んで暮らせるほどの価値があるはずよ」


マリアンヌは、焚き火の光を反射して怪しく光る魔石を、自慢げにシゲルの前に並べました。165cmの長身を少し乗り出し、55kgの肉体から放たれる心地よい疲労感と達成感に身を委ねています。


「これだけの資金があれば、最新の魔導具を揃えることも、あるいは……貴方と私だけの、もっと快適な拠点を作ることも容易だわね。ねえシゲル、貴方はこの『富』をどう使いたい?」


彼女は悪戯っぽく微笑み、シゲルの顔を覗き込みました。 全属性を支配し、軍隊をも蹂躙する力を手に入れた彼女にとって、もはや金銭は目的ではなく、次なる「自由」を手に入れるための手段に過ぎません。


「換金のために大きな街へ向かう? それとも……このサーチが捉えている、さらに深い闇の奥に眠る『未知の理』を暴きに行く? 貴方が選ぶ道なら、このマリアンヌ、どこまでも付き合って差し上げますわよ!」



いいえ これはマリアンヌ様が倒されて手に入れた魔石です。 頂くわけにはいきません。



「……なんですって?」


マリアンヌは、エールを飲み干そうとしていた手を止め、165cmの身体を固くしました。焚き火の光に照らされた彼女の金色の瞳が、驚きと、それから少しばかりの憤慨を含んで鋭く細められます。


「シゲル。貴方、今なんとおっしゃったの? 頂くわけにはいかない……? おーっほっほ! 冗談も休み休みおっしゃいな!」


彼女はガタンと音を立てて氷のコップを石板に置き、55kgの肉体から放たれる圧倒的な威圧感――今や全属性を内包したあの強大な魔力を、あえて隠すことなくシゲルに向けました。


「この弾丸バレットを、連射パワーを、そしてこの全知のサーチを私に授けたのは誰? 凡庸な騎士に過ぎなかった私を、一晩で軍隊をも凌駕する存在へと作り変えたのは誰だと聞いているの!?」


彼女は一歩、シゲルの方へ歩み寄りました。


「貴方がいなければ、私は今頃あの森でアンデッドの餌食になっていたか、一生を剣一本の限界に縛られて終えていたわ。この魔石は、私が倒して手に入れたもの。……けれど、その勝利を『確定』させたのは、貴方の叡智よ。それを自分だけのものにするなんて、騎士マリアンヌのプライドが許しませんわ!」


彼女はアイテムボックスから、最も大きく、最も純度の高いリッチの魔晶石を掴み取ると、それを無理やりシゲルの掌に押し付けました。


「これは『分け前』ではないわ。私の未来を切り拓いてくれた恩師への、当然の『報い』よ。拒絶は許さないわ。……それとも何かしら? 私が稼いできたこの程度の石では、貴方の知識に見合わないとでもおっしゃるの?」


マリアンヌは不敵に、けれどどこか寂しげに眉を下げて微笑みました。


「半分……いえ、三分の二は貴方が持ちなさい。残りで私が、貴方をさらに快適に旅させるための最高級の馬車でも用意して差し上げるわ。……いいわね、シゲル?」



そこまで仰るなら 頂きます。



「おーっほっほ! それでいいのよ、シゲル。物分かりの良い男性ひとは嫌いじゃないわ!」


マリアンヌは満足げに、165cmの身体を預けるようにして大きく背伸びをしました。55kgのしなやかな肢体から、張り詰めていた緊張がスッと抜けていくのがわかります。


シゲルが魔石を受け取ったのを確認すると、彼女は我が意を得たりと言わんばかりに、再び氷のコップを手に取りました。


「これで私たちは、名実ともに『運命共同体』というわけね。貴方が知恵を授け、私がそれを実行し、共に富と栄光を分け合う……。ふふ、最高に合理的で、最高にエキサイティングな関係だと思わない?」


彼女は焚き火の温もりに目を細め、夜空を見上げました。かつての彼女なら、手に入れた富はすべて王家や騎士団に献上し、自分には名誉という名の不自由な鎖しか残らなかったことでしょう。


「……ねえ、シゲル。これほどの魔石があれば、もうこのリゼリアの顔色をうかがう必要さえないわ。私たちは、どこへだって行ける。何だってできる。……貴方は、次に何をしたいかしら?」


マリアンヌは少しだけ頬を赤らめ、それはエールのせいか、あるいは未来への高揚感のせいか、シゲルを試すように、けれど全幅の信頼を込めて問いかけました。



仰っている意味が解りませんが



「……あら? シゲル、急にどうなさいましたの?」


マリアンヌは首を傾げ、手にしていた氷のコップを膝に置きました。165cmの身体を少し乗り出し、焚き火の光を反射する金色の瞳でじっと貴方の顔を覗き込みます。


「『運命共同体』なんて言葉が、少し大袈裟すぎたかしら? それとも、この魔石の使い道について、私が勝手に盛り上がりすぎてしまったことへの皮肉? おーっほっほ! 貴方のことだから、きっともっと淡々と、機能的に物事を考えていらっしゃるのでしょうね」


彼女は少し照れくさそうに髪をかき上げ、55kgの肉体から放たれていた威圧感を完全に消しました。


「私が言いたかったのは単純なことよ。貴方がバレットやサーチ、あの便利なアイテムボックスを教えてくれたから、私は今こうして、最高に美味しい肉を食べて笑っていられる。……その感謝をどう表現すればいいか分からなくて、つい贅沢な旅だの何だのと口走ってしまっただけだわ」


マリアンヌは再び石板の上の肉を一切れ口に運び、咀嚼してから静かに続けました。


「変なことを言ってしまったのなら、忘れてもちょうだい。……それで、シゲル。貴方はこの後のことを、どういう『計算』で考えていらっしゃるのかしら? このままここで夜を明かすのか、それとも次の『効率的な』指示が既にあるの?」



私は特にあてが有るわけではありませんが マリアンヌ様は貴族様でしょ 騎士団にも所属されているようだし 私は平民ですよ



「……おーっほっほ! シゲル、貴方という人は、今更何を言い出すのかと思えば!」


マリアンヌは耐えきれないといった様子で、氷のコップを片手に喉を鳴らして笑いました。165cmの身体を震わせ、55kgの肉体が焚き火の光の中で弾むように揺れています。


「平民? 貴族? 騎士団? ええ、確かに数時間前までの私は、伯爵家の令嬢であり、王国の騎士団に籍を置く『マリアンヌ』だったわ。規律に縛られ、家格を重んじ、剣一本の限界に絶望していた、あの退屈な女ね」


彼女はそこで言葉を切ると、手にしたエールを一気に飲み干し、氷のコップをパシリと石板の横に置きました。


「でも、今の私を見てもちょうだい。全17属性の理を解き、空間を操り、2の10乗の演算で軍隊を灰にする。……こんな規格外の存在を、既存の『貴族』や『平民』なんて枠組みに収められると本気で思っていらっしゃるの?」


彼女はシゲルの目を真っ直ぐに見据えました。そこには身分の差を気にするような卑屈さも、傲慢さもありません。ただ、一つの真理に到達した者としての、圧倒的な自負があるだけです。


「シゲル、貴方が授けてくれたのは、単なる魔法の技術ではないわ。それは、既存のルールをすべて書き換えてしまう『力』そのものよ。1200のアンデッドを一瞬で魔石の山に変えてしまう私を、一体どこの誰が『平民だから』と見下せるというのかしら?」


マリアンヌは不敵に微笑み、再び肉を一口頬張りました。


「身分なんて、ただの飾りに過ぎないわ。私にとっての貴方は、この世界の理を教えてくれた唯一無二のパートナーよ。……それとも何かしら? 貴方は、私が『貴族様』として、貴方にかしずかれることを望んでいるとでも?」



そんなことは思っていません。 ただ身分が違いすぎますし ご家族だって 騎士団だって お許しにならないでしょう? 私はマリアンヌ様のことを何も知らないのですよ。



「おーっほっほ! 家族に騎士団? そんなもの、今の私の足元に広がるこの『クレーター』を見てもまだ、私を縛り付けられると思っていらして?」


マリアンヌは愉快そうに、けれどどこか冷徹な光を瞳に宿して笑いました。165cmの身体を優雅に背後の木にもたれかけさせ、55kgの肉体から放たれる魔力の残滓が、夜の闇を微かに歪ませています。


「確かに、私の父……伯爵は、私を政略の道具か、家名を高めるための『動く飾り』としか見ていないわ。騎士団もそう。女だてらにと鼻で笑いながら、危険な任務だけを押し付ける……。でも、シゲル。そんな彼らが、この全属性を統べ、2の10乗の連射を放つ私を目の当たりにして、一体何が言えるというのかしら?」


彼女は焚き火に照らされた自分の手を見つめました。


「許すも許さないもないわ。これほどの力を手にした私を、彼らはもはや『管理』することなどできない。私はもう、彼らの知るマリアンヌではないのですもの。……私のことを何も知らない? ええ、そうね。なら、今ここで教えて差し上げますわ」


マリアンヌは不敵に微笑み、シゲルの方へ顔を寄せました。


「私の名はマリアンヌ・フォン・リゼリア。退屈な儀礼と、錆びついた騎士道に飽き飽きしていた……いえ、絶望していた女よ。そして今、目の前にいる貴方という『ことわり』に拾われ、生まれ変わった一人の魔法騎士。……これだけで、十分ではありませんこと?」


彼女はいたずらっぽく片目を瞑り、再び氷のコップを手に取りました。


「身分の違いなんて、私がこのバレットで撃ち抜いて、粉々に砕いて差し上げますわ。……シゲル、貴方はただ、その『知恵』を私に貸し続けてくれればいいの。私と一緒に、この退屈な世界のルールを書き換えていくのは、そんなに恐ろしいことかしら?」



私は美人の騎士様が危ないと思ってお手伝いをしただけで…



「おーっほっほ! ……まあ。まあまあ、なんですって?」


マリアンヌは、肉を運ぼうとしていた手を止め、完全に固まりました。165cmの身体をわずかに震わせ、焚き火の光の中で、その美しい頬がエールのせいだけではない鮮やかな赤に染まっていきます。


「美、美人の……騎士様……? あ、危ないと思って、お手伝いを……?」


彼女は何度かパチパチと瞬きをすると、突然、顔を背けて激しく咳き込みました。55kgの肉体に宿る全属性の魔力が、彼女の動揺に呼応するように一瞬だけパチパチと火花を散らします。


「な、なんて……なんて呆れた人かしら! これほどのことわりを操る英知を持ちながら、その動機が……ただの、その、通りすがりの親切心だったとおっしゃるの!? このマリアンヌを、ただの『危なっかしい美人の女』として助けただけだと!?」


彼女は耳の先まで赤くしながら、必死に気品を保とうとして声を荒らげました。しかし、その瞳には怒りではなく、これまでに経験したことのないような、戸惑いと温かな感情が混ざり合っています。


「おーっほっほ! ……笑わせてくれるじゃない。伯爵令嬢としてでもなく、騎士団の戦力としてでもなく、ただ一人の女性として見ていたなんて。……貴方、本当に無自覚に恐ろしいことをおっしゃるわね」


マリアンヌは落ち着きを取り戻そうと、再び氷のコップを煽りましたが、中身はもう空でした。彼女は空のコップを握りしめたまま、少しだけ声を低くして続けます。


「……でも、そう。貴方にとっては、それだけの理由だったのね。……ふふ。なら、なおさら手放せなくなったわ。利害や義務ではなく、そんな純粋な……いいえ、あまりにもお人好しな理由で私を救ってしまったこと、後悔させて差し上げますわよ?」


彼女は再びシゲルを向き直りました。今度の微笑みは、先ほどまでの傲慢なものではなく、どこか柔らかく、一人の女性としての素顔が覗いています。


「シゲル。貴方が助けたその『美人の騎士様』は、想像以上に欲張りなの。……お手伝いだけで終わらせるなんて、絶対に許しませんわ。次は……そうね、このお肉の代わりと言っては何だけど、貴方のその『お人好しな知恵』で、私の退屈をこれからも凌いでくださるかしら?」


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