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双璧の槍 ―笹と亀―  作者: beens
第二章 渡り鳥と番犬

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間話 名槍「日本号」の嘆き

 俺は、槍だ。

 「日本号」などという大層な銘を付けられ、天下三名槍などと崇められているが、所詮は人を刺すための鉄の塊よ。

 今の主は、福島正則という男だ。悪い男ではないが、ちと酒癖が悪く、腕っぷしに頼りすぎる。

 ある夜、城の武器庫で、奇妙な気配を感じた。

 隣に立てかけられた、無骨な十文字槍。銘もない、使い古された実戦槍だ。持ち主は、あの可児才蔵とかいう新入りらしい。

 その十文字槍から、血の匂いと、微かな震えが伝わってくる。

『……おい、名槍殿』

 十文字槍が語りかけてきたような気がした。

『あんた、羨ましいぜ。飾られて、磨かれてよ』

 俺は答える。

『馬鹿を言え。俺だって血を吸いたい。だが、今の世の武士は、槍を道具ではなく飾り物にし始めている』

 十文字槍は、低く笑った。

『俺のあるじは違うぞ。俺を石ころのように扱うが、俺の芯まで使い切ってくれる。……だがな、主は探しているんだ』

『探している?』

『ああ。遠く西の国にいる、白銀の槍をな。主が本気でぶつかり合えるのは、世界であの槍だけだ』

 白銀の槍。黒田にあるという、あの名槍か。

 俺は武器庫の闇の中で、身震いした。

 使い手たちが惹かれ合うように、我ら武器もまた、至高の激突カチアイを待ち望んでいるのだ。

 その日が来れば、俺たち「名槍」の出る幕などない。

 あの泥臭い十文字槍と、白銀の槍。

 本物同士が砕け散る音を聞くのが、今から楽しみでならない。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

読者の皆様の応援のおかげで、ここまで書き進めることができています。

もし「続編が気になる!」「応援してるぞ!」と思っていただけましたら、ぜひブックマークや、星での評価で応援をいただけないでしょうか。

皆様のポイントが、ランキングを駆け上がる原動力となります!

これからも熱い展開をお届けします!

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