第2話 笹の才蔵、仁王立ち
だが、数の暴力は残酷だった。
正午近く。伊達軍の猛攻により、後藤隊は壊滅寸前まで追い込まれていた。
敵将・片倉重長が叫ぶ。
「狙え! 銀色の甲冑だ! 大将・後藤又兵衛を討てば終わる!」
ズドォォン!!
数百挺の鉄砲が一斉に火を噴いた。
鉛の弾丸が、雨のように又兵衛に降り注ぐ。回避は不可能。又兵衛は覚悟を決め、目を見開いた。
――その時である。
ドンッ!
重い衝撃が、又兵衛を横へ弾き飛ばした。
「……才蔵!?」
又兵衛の視界に映ったのは、両手を広げ、全ての銃弾をその身で受け止める友の背中だった。
ドスッ、ドスッ、ドスッ!
肉を穿つ音が連続する。才蔵の身体がビクンと跳ねる。だが、彼は倒れない。
「ぐ……うぉぉぉッ!」
才蔵は血を吐きながら、槍を杖にして大地を踏みしめた。
全身から血を流し、意識はもう遠のいているはずだ。だが、その瞳だけは、鬼火のように燃え盛っていた。
彼は震える手で懐を探り、最後の一枚となった笹の葉を取り出した。
それを口に咥える。
ニヤリと、不敵な笑みを浮かべて。
「……見よ! これが、笹の才蔵だ!」
雷鳴のような咆哮。
才蔵は十文字槍を天に突き上げ、敵軍を見下ろすように仁王立ちになった。
「俺の首を取れる者がおるかぁッ!!」
その気迫に、伊達の兵たちは恐怖し、後ずさった。
撃てない。近づけない。
立ったまま死んでいると気づくまで、敵軍は数分間、その場に釘付けにされた。
才蔵は、己の命を燃やし尽くして、友を守るための「壁」となったのだ。
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