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今のすご~い女神達は女神を処罰する

 

 これ以上この神殿に留まっていても仕方がないし、さっさと出ましょう。

 女神レイニアの他の信徒達の視線も少し鬱陶しいものね。

 今にも気絶しそうなあの神官は、口をパクパクさせて何かを言いたげだけど、まぁどうでも良いわね。


「さ、サリアーゼ様、少し騒ぎが大きくなり過ぎたみたいです」


「ええ、そうでしょうね。神殿も半分程消し飛んでしまいました。怪我人が出なくて良かったです」


 被害が建物だけで済んだのは本当に良かった。

 関係の無い下民が怪我でもしたら、大変だものね。

 それにしても……ここまでの騒ぎを神殿で起こしたと言うのに、ココの下民達が信仰している女神レイニアとやらは全ッ然姿を見せないわね。

 やる気の無い女神なのかしら。


「それじゃ、こんな胡散臭い神殿とはさっさとおさらば致しましょうか」


 ま、出てこないのならソレも良し。私は知らないわよ。

 修理代も勿論、出さないわ。


「ふん」


 不安そうにコチラを見つめる視線の中、知らん顔を決め込んで扉へと向かう。

 この神殿の信徒達も、さっきの私達と神官の会話を聞いて自分達が騙されていたことに気付いたでしょうね。望むのなら私の信徒にしてあげても良いけど、今はやめておきましょう。

 ある程度の信仰心が集まり力が戻るまでは……ヒオラのような信頼出来る信徒を先に獲得したいものね。


 なーんて考えながら神殿から出ようとすると、丁度今入ってきた下民とバッタリとはち合わせる。


 何よコイツ、邪魔ね。私の行く道を塞がないで欲しいわ。


「どいて下さる?」


 見てみれば、キッチリとした身嗜みの好青年が神殿の出入り口を塞ぐように立っていた。

 私の言葉は聞こえた筈だけど、一度コチラに視線を向けたかと思えば、すぐに神殿内部へと意識を向けたようだった。


「全員ソコを動かないでもらいたい!」


 神殿全体へ響かせるようにお腹から発せられる声。

 全員に間違いなく声が届いたことを確認し、この下民は神殿内部へと足を踏み入れた。


「ではヒオラ。私達は行きましょうか」


「えぇ!? あ、はい!」


 誰だか知らないけど、私は関係ないわ。

 信徒でもない下民の言葉なんて無視よ無視。


「あなた方も! 神殿から出ないでいただきたい」


 すれ違い際に、そう声をかけられた。


「どうしてでしょう? 私達はもう帰るところなのですが」


「私は偉大なる女神アリア様の信徒。女神同士の争い、神殿での問題等が発生した際に調査する任を与えられております。よって、今しばらく御退場は遠慮願いたい」


 つまり、ココで何が起こったのかを調べに来たと言うことね。

 騒ぎが大きくなってしまったとは言え、この下民、なかなかに行動が早いわね。なかなかやるじゃない。

 ってか女神アリアって何よ。また知らない女神が出てきたわ。


「女神アリア様はこの世界で五本の指に数えられる偉大な女神様です」


「あら、そうなのですか?」


 ひっそりと教えてくれるヒオラに笑顔でそう返す。


 五本の指に数えられる偉大な女神様ねぇ。それはまた、なんとも生意気な女神なんでしょうね。


「失礼ですが、貴女は? 見たところ、あなた方は女神レイニア様の信徒では無い様子」


 へぇ。

 この下民、私とヒオラを見ただけでソレが分かるのね。なるほどなるほど。偉大な女神アリアとやらは少しはマシな女神みたいね。


「私は女神サリアーゼ。そしてコチラは私の信徒のヒオラです。どうかよろしくお願いしますね」


「……!? 女神、サリアーゼ……様? 聞いたことの無い名ですが」


 ニッコリと笑顔を向ける。


「なるほど。ではコレはあなた方の行いということですか」


 女神アリアの信徒と名乗る下民は、半壊した神殿と未だに腰を抜かした神官を見ながらそう語る。


「はいそうです。ですが、私達は何も悪くはありませんよ? 私の信徒であるコチラのヒオラが、あの神官に騙されそうになっていましたので、女神として神罰を下したまでです」


「本当です! 私も、ここにいる全ての信徒達は、あの神官様に騙されていました」


 ヒオラが、事の顛末を全て伝える。

 神官が、女神レイニアの加護と偽り自分の力を分け与え、あたかも加護を与えてように見せていたこと。そして信徒達から過剰な寄付金、献上金を集めていたこと。


「なるほど、全て承知しました。コチラで得ていた情報とも一致します」


 驚いたことに、女神アリアの信徒であるこの下民は、すんなりと私達の話すことを信じてくれた。と言うのも、この神殿は既に調査の対象になっていたという話らしい。

 今回は超偉大なる女神である私が成り行きで神罰を下す形になってしまったけど、遅かれ早かれ偉大なる女神の誰かが神罰を下すことになっていただろうと言う話みたい。


「女神サリアーゼ様。御協力感謝します。嘘偽りなく、我が女神であるアリア様へ報告させてもらうと誓います」


「えぇ。よろしくお願いしますね」


 跪かず、胸に手を当てて私への敬意を表す下民に、ニッコリと微笑んでおいた。


 ようやく解放された私達は今度こそ、神殿を後にする。


「この世界の女神には、上下関係があるのですね」


 さっきの下民が言うには、あの神官が信仰する女神レイニアにも、何らかの処罰が下される可能性があるみたい。

 女神が女神を処罰する。

 私以外にも女神が存在するようになったこの世界では、そんなことが起こっているらしい。

 生意気な話ね。女神は私ひとりで充分だと言うのにね。

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