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得てして世界は不幸である。僕の人生最大の不幸は、音楽に出会ってしまった事だろう。
音楽という魔物はいつでも僕らを誘惑してくる。例えば街、例えば学校、家の中ですら気を抜いてはいけない。
音楽の魔物は感情に問いかけてくる。例えば感動、例えば焦燥、愛情にすら手を出してくるんだから節操がない。
得てして音楽は不幸である。なぜなら皆んなに好かれていて、僕に嫌われているからだ。
僕は音楽が嫌いだ。
君はいいよね。春になれば綺麗な花を咲かせるし、その華やかさに皆が酔いしれている。
それに比べて僕は無花果だ。花は咲かなければ肝心の身なんてたいして味もしない。そう、生まれた瞬間から運命は決まってしまっている。
そう、思っていたかったんだ———