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吸血鬼ですが、何か? 第3部 訓練編  作者: とみなが けい
14/23

今後の悪鬼対策を話し合う、そして四郎は文明の利器に驚き、はなちゃんがついに…

俺達は辺りを見渡せる高台で昨日よりも種類が多いスナックバーと水で食事を摂っていた。

四郎は3種類のバーをすべて開封してそれぞれ食べ比べていた。


「四郎ってばさ~味なんて同じなんじゃないの~?」


真鈴が呆れた顔で四郎を見ていた。


「いや、それぞれ微妙に味や食感が違って面白いぞ。」

「ふぅ~ん、そんな物なのかな~?

 ところで、さっき言ってたけど悪鬼の集団がここに攻撃してくる可能性があるの?」


四郎が一本のスナックバーを食べ終わり包み紙を丸めてポケットに押し込んで水を一口飲んだ。


「うむ、絶対とは言えないが有り得るぞ。

 どうもこの世界を見ているとわれの時代よりも一匹狼の悪鬼は生きにくくなったかも知れないな。

 テレビでニュースを見ても人口が多い場所は監視カメラがあちこちにあるだろう。

 まず、街の暗がりでいきなり人を襲う事は難しくなったと思うぞ。

 そして誰かの家に忍び込んで、または誰かを自分の家に引きずり込んだとしてもあちこちにある監視カメラを気にしなくてはならない。

 もしもわれが餌に困らないある程度の都会に住むのならば、悪鬼が集まり餌場のような所を作るか等の工夫をしてそれぞれの悪鬼が連絡を取りあえる組織を作る事を考えるな。

 一匹狼の悪鬼がいたら相当に周りに注意をして暮らさなければならないだろう。

 人里離れた所にひっそりと住む事は安全だが、それでは餌の確保に困るだろうしな。」

「…」

「…」

「われらがこれから身近にいる悪鬼を倒してゆくとすればそのうち絶対に組織化した悪鬼達に感づかれる。

 彩斗のマンションを主に使うとしたら、一度場所を突き止められて悪鬼どもが一度に攻めてきたら一たまりも無いぞ。

 仮に攻撃してきた悪鬼をその時はすべて始末しても近隣が大騒ぎになってしまう。

 そしてこの屋敷を拠点にするとならば、人目に付かないから逆に攻めてくる可能性は上がるがこの広さの敷地とあの非常に守りやすい屋敷…あの屋敷は少し手を入れればちょっとした城塞になるぞ。

 まあ、ここならば武器も制限が無く使えるからな。

 悪鬼の撃退はやりやすいな。

 肝心なのは悪鬼どもにわれらの拠点を知られないように注意する事だがな。

 だが、知られてしまった時の対策は必要だ。」

「そうね、私は素人だけどあの屋敷なら守りやすい感じがするわ。」

「窓など少し強化するだけで入りにくく出来るし仮に悪鬼に入り込まれても戦いやすいかも知れないな。」

「そうだろう。

 だが、そうなるとわれらも常に3人で固まっている事が難しくなるな。

 それぞれに持ち場を守る必要が出てくるかも知れん。

 離れた所でも連絡が取れる手段があれば良いのだがな。」


四郎が考え込んでしまった。

俺はセキュリティショップでインカムのヘッドレストを人数分購入していた事を思い出した。


「四郎、そういう事に使える物が買ってあるよ。」

「そんな物を買ったかな?」

「何だっけ?色々買って忘れちゃった。」

「ここに持ってきているから屋敷に戻ったら見せるよ。」

「彩斗、それは楽しみにしておこう。」

「あ~思い出した!

 あれね!」


真鈴はインカムの事を思い出したようだ。


「確かにあれなら両手が塞がっていても連絡が出来るわね。

 四郎、優れモノだから楽しみにしていなさいよ。

 後は…敷地に悪鬼が入り込んだ時にすぐ判る物があれな良いんだけどね~」

「そうだな…そういう物があれば良いのだけどね悪鬼探索レーダーとか…」

「ふん、そんなものがあれば苦労しないわね~」

「よしよし、そろそろ食事は終了だ。

 出発しよう。」


俺達はまた敷地を巡りその地形を覚えて屋敷に戻った。

四郎はダイニングのテーブルに弓矢を持ってこさせ、リュックから先ほど発射した58マグナムピストルを出した。


「使った武器はチェックと整備をしないとな。

 これが終わったら屋敷の探索と掃除をしよう。

 おお!四郎が言っていた便利な物も見たいぞ!

 持ってきてくれるかな?」

「オーケー、持ってくるよ。」


俺が2階からインカムのヘッドセットを3組持って部屋を出ると真鈴が人形の前にかがみこんでいた。


「お人形さん、まだ寝てるね~」

「そのうちに起きるよそしたら真鈴はきっと…」

「え、何?何が?」


振り向いた真鈴の後ろで椅子に座り脱力していたはなちゃん人形が顔を俺に向けた。

はなちゃん人形の無表情な顔は俺に『余計な事を言うんじゃねえよ!ぶっ殺すぞこの野郎!』と、どすの効いた老婆のような声で言っているように見えて慌てて口をつぐんだ。


「いや、早く四郎にこれの使い方を教えようぜ。」

「そうね、四郎も喜ぶよきっと。」


ダイニングでは弓の弦の張りや練習用の鏃の曲がり具合をチェックした四郎が58マグナムリボルバーを分解して掃除をしていた。


「四郎、持ってきたよ。

 これこれ。」

「おおそれか…どう使うのかな?」


四郎は分解途中のピストルの部品を木の小箱に入れて身を乗り出した。


「実際につけてみよう。」


俺と真鈴でインカムの電源を入れてヘッドセットを3人の頭につけた。


「それじゃ真鈴に屋敷の外に出てもらおう。」


ヘッドセットをつけた真鈴がダイニングを出て行き、しばらくしてからダイニングの窓を外から真鈴がコンコンと叩いた。

俺と四郎がそちらを見ると真鈴は屋敷から離れて行き30メートルほど離れた所に立ってこちらを向いた。


「四郎、彩斗、聞こえる~?」


ヘッドセットから真鈴の声が明瞭に聞こえた。

四郎も聞こえたようで驚いた顔で遠くの真鈴を見て感嘆の声を上げた。


「おお!これは凄いな!

 真鈴の声が聞こえる。」

「四郎、凄いでしょ?」


真鈴の声に四郎はうんうんと頷いた。


「四郎、これは遠くに離れた人間同士話せる機械なんだよ。

 スイッチを入れておけば手を塞がずに話すことが出来る。

 勿論今、俺の声も四郎の声も真鈴に聞こえてるよ。」

「これは離れた所で連携を取るのにちょうど良いな。

 だが彩斗、これはどのくらい離れても聞こえるのかな?」

「そうだね、ちょっと待って。」


俺はインカムのマニュアルを取り出した。


「これは特定小電力トランシーバーで見晴らしがよい所は1キロから2キロマイルにするとええと大体1マイル半に少し足りない位かな?

 それくらいは通じるね。

 街中だともっと短くなるけど100メートルか200メートル大体90ヤードか180ヤード、この屋敷の中なら殆どどの階にいても通じるはずだね。」

「それは良いな。

 ただ、外にいる場合もう少し遠くまで通じれば最高なんだが…」

「そうだね…あ、簡易業務用無線機と言うのがあってこれは申請が必要だけど見晴らしがよい所だと5キロから10キロ、ええと、3マイルから7マイルくらいなら通じるな。」

「うん、それだけ遠くとも話が出来るなら敷地の中なら充分だな。」

「マンションに帰ったら申請して簡易業務用無線機を手に入れよう。」

「そうしてくれると助かるぞ。

 屋敷の中はこれでも問題無いのだな。」

「うん、大丈夫。」

「それでは屋敷の探索と掃除は各自分かれて行い、この機械の使い勝手を試そうではないか。」

「よし、そうしよう。

 真鈴、戻って来て。」

「オーケー。」


窓の外の真鈴がこちらに手を振って窓の外の景色から消えた。


「いやはや、便利な時代になったな。

 これがわれの時代にあったらさぞやポール様も喜んだ物だと思うよ。」


四郎がヘッドセットとインカムをいじりながら呟いた。

その後、四郎がピストルの掃除組み立てを終えて再び撃てるように火薬弾丸を各シリンダーの穴に詰めて、銃身の下のレバーを押して固く押し込み、暴発予防のグリスを塗り込み、小さなパーカッションキャップを嵌めるのを俺と真鈴はコーヒーを飲みながら興味津々で見物した。


「これ、確かに威力は凄かったけど弾を詰めるのが大変ね~。」

「確かに面倒だ、だからわれもポール様も3丁のピストルを持っていたのだよ。

 だが彩斗、今の時代は銃も進歩しているのだろう?」

「そうだね、今は火薬も弾丸もパーカッションキャップも一つになっていてただ銃の中に入れればバンバン撃てるよ。

 サプレッサーと言って銃声を小さくするものもあるしね。」

「それは凄いな!日本では手に入らないのか?」

「あ~ダメダメ、日本でも狩猟…ハンティング用のショットガンとかライフルは所持出来るけど…車の免許取るよりは簡単だと言うけどね…どうなのかな?」

「そうか、残念だな。」

「あ、四郎、身分証明書が出来たら車の免許を取ると良いよ。」

「そうね!四郎なら実技は簡単に覚えられると思うわ!

 学科は大変かも知れないけどね。

 運転免許証はそれだけで身分証明証にもなるから便利よ。」

「そうだね、そうすれば良いよ。」

「われがあの馬無しの馬車を運転するのか…それは面白そうだな!」


俺達はコーヒーを飲んで笑いあった。


「さて、じゃあそれぞれに分かれて屋敷の掃除と探索を始めるか。

 君らを信じてない訳じゃ無いが念の為に後で我が屋敷の全てを探索するからな。」

「うん、そうだね。

 それなら安心だよ。」

「私達じゃ見落とすところがあるかも知れないからね。」


そして四郎が地下室とキッチンダイニングとバスルームトイレ使用人部屋、真鈴が暖炉がある広間書斎応接室娯楽室と2階のバスルームトイレと人形が椅子に座っている部屋を含めた3部屋、俺が2階の残りの部屋と屋根裏を掃除しながら調べる事にした。

一人で屋根裏に行くのは少し怖いが、ヘッドセットをつけているので何かあれば四郎と真鈴を呼べば住む事だ。

俺達はそれぞれに分かれて掃除と探索を始めた。


順調に探索と掃除を進めていたら、ヘッドセットに真鈴の声が響いた。


「きゃ~!あなた、はなちゃんていうのね!あたし真鈴よ~!可愛い~!私も大好き~!きゃ~!きゃ~!」


遂にはなちゃん人形が真鈴に話しかけたかと俺は微笑みを受かべて掃除と探索の手を止めて屋根裏から2階に降りて行った。

明かりとりの窓から夕陽が差し込んでいた。

やはり死霊は陽が落ちると活発になるのだろうか?








続く


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