最終章 The Final Part10
ユキ達がスレイヤーの次元に来る前、ユキ達は、ある人物と会っていた。
〈回想〉
「…?」
ユキは、コンソールから連絡がきたことに気づいた。
「…はい」
「あ、ユキ君」
「どうしたんですか?青山さん」
「実は…」
「?」
「ユキさん」
「!?」
ユキは、その声に聞き覚えがあった。
「武尊、君?」
「はい、お久しぶりです」
「ユキさん、お久しぶりです」
「!?陽菜ちゃんも、どうして二人が」
「雄也さん…アスタさんから連絡があったんです」
「アスタから?」
「はい、今ユキさん達が関わっている件、手を貸してくれないかって」
「アスタがそんな事を?」
「はい」
アスタは、一度リアルワールドに戻ってきた時に、今回の件には、武尊と陽菜の力が必要と考え、連絡していた。
「…でも武尊君、今回の件は、ゲームの時とは違うよ」
「分かってます。でも、俺も陽菜も、協力したいんです」
「私と武尊は、アスタさんとユキさんのお陰で今があると思ってます。アスタさんから連絡がきた時、アスタさん、なんだか、いつもと雰囲気が違うと思ったんです」
「俺も、ユキさんとアスタさんには、とても感謝しています。お願いです。協力させてください」
「私からもお願いします」
「……」
「どうするの?ユキちゃん」
ユキに聞くサオリ。
「…分かった。二人の強さは、ボクはよく知ってる。協力してもらえる?」
「…はい!」
「もちろんです!」
「…ありがとう、二人共」
「なに言ってるんですか、ゲームの時に最後まで戦った仲じゃないですか」
「…そうだね」
「じゃあ、俺と陽菜は、今からそっちに向かいます」
「うん、分かった」
こうして、スレイヤーの一件に、武尊ことリタ、陽菜ことエリーナが加わった。
〈数分後〉
「…あ、来た」
「…お待たせしました」
「待ってたよ、リタ君、エリーナちゃん」
「はい」
リタとエリーナは、ゲーム、Sword&MagicAdventureのアバターで現れた。
リタは、黒装備、エリーナは、青装備の格好だった。
「ユキちゃん、この人達があの時の?」
「うん、ボクとアスタを信じて、協力してくれた人達だよ」
「申し遅れました、俺はリタって言います」
「私はエリーナです。よろしくお願いします」
「うん、よろしく。二人共」
「はい!」
「…ユキが信用するって事は、つえーのか?」
「そうですねユウヤ、きっとお強いのでしょう」
「それなら安心ね、サキちゃん」
「うん、メイちゃん」
「お姉ちゃん、リタさんとエリーナさんは、どれくらい強いの?」
「二人共、ボクと同じぐらい強いよ。エリーナちゃんは槍使いの剣士。そしてリタ君は、剣使い、さらにリタ君は、アスタと同じように、一度覚醒状態に入ったことがあるの」
「!?そうだったのね。あ、私はミユキと言います。よろしくお願いします、リタさん、エリーナさん」
「はい、こちらこそ」
「よろしくお願いします」
「…それで二人共、今の状況を話すね」
ユキは、スレイヤーに関する情報を、知っている限り話した。
「ていう訳なんだ」
「なるほど、理解しました。こことは別の次元に、そのスレイヤーと言う人がいる。そして、今は待機」
「うん、そう言うこと」
「それにしても、別の次元だなんて、ユキさんから聞かなければ、どうしても信じられない内容です」
「そうだよね、ボクも驚いてる」
「(そう言えば、アスタさんがさっきからいない、なにか訳ありなんだろうな。だから、聞くのは良くないか)」
リタは、アスタがいないことに気づいていたが、いない事を聞くのは、あまり良くないと判断し、ユキに聞くのを止めた。
そしてそれは、エリーナも同様だった。
「(アスタさん、ここにいない、でも、聞くのは良くないわよね。リタもそう思っているだろうし)」
そして数分後、スレイヤーから連絡があり、ユキ達は、アスタからの合図を確認し、スレイヤーのいる次元へと行く為に、ある人物の元へと向かった。
「よし、皆行こう」
「ええ」
その人物は、テレポート盤の近くにいた。
「……」
テレポート盤の近くいた少女を見つけたユキ達。
「…君が、案内人さん、で良いのかな」
「はい、アスタ様から、仰せつかっております」
「じゃあ、スレイヤーのいる、次元に、ボク達を案内してくれないかな」
「承知しました」
ユキ達は、案内人を含め、全員がテレポート盤に乗った。
このテレポート盤の、本来の使い方は、ソウルワールドの階層の行き来だが、もう一つの役割があった。
それは、ソウルワールドに限らず、その人が覚えていたり、見たり、知っている次元なら、どこの次元にも行けると言うものだった。
「起動します」
案内人の合図の元、テレポート盤は光に包まれ、起動した。
そして、数秒後には、スレイヤーのいる次元へと着いていた。
「ここが…」
ユキ達は、スレイヤーの城の近くにある、森へと転移した。
「ここなんですか、ユキさん」
ユキに聞くリタ。
「うん、きっとそうだと思う。ありがとうね、案内人さん」
「いえ、私の役目は、皆さんをこの次元へと送ることだったので」
「そうだとしても、ありがとね」
「…はい」
「…じゃあ皆、行こうか」
ユキの合図のもと、ユキ達は、お城へと向かった。
そして、向かっている最中に、こちらに来るモンスター達を、ユキ達は確認した。
「…!あれは…」
「…」
モンスター達は、まだユキ達に気づいてなく、無言でこちらへと向かってきていた。
「どうするの、ユキちゃん」
「目的は、多分ソウルワールドへと奇襲だと思う。だから、ここで止めよう。ボクは、相手をしつつ、先にお城へと向かうから、皆はモンスターの相手をお願い」
「分かったわ」
「よし、じゃあ行こう」
ユキ達は、ソウルワールドに奇襲をかけられる前に、モンスターの方へと向かっていった。
「…!」
「グルアー!」
「っ!ハァー!」
ユキ達とモンスター達の剣戟が始まった。
「ハァ!」
「っ!エリーナ!」
「ええ!…ハァ!」
ユキだけじゃなく、サオリにリタとエリーナ、皆も、モンスター達との戦いを繰り広げた。
〈そして現在、ユキとマキ〉
ユキとマキの戦いは、とてつもないものだった。
「っ!」
「…んっ!」
二人の剣戟は、大地を壊し、剣の威力によって生まれる強風もおきていた。
「ハァ、ハァ、流石に強いね、マキ」
「…貴方こそ、ここまでの実力だとわ。驚いているわ」
「その割には、落ち着いてるね」
「そうですね。いかなる時も冷静に、スレイヤー様からの教えです」
「なるほどね。でも、ボクだってまだまだ」
ユキはマキに向かっていった。
「ふっ!ハァーア!」
「っ」
ユキは全力で戦っているが、マキには、まだ余裕が見えていた。
なぜなら、ユキが息が上がっているのに対し、マキにはそれが無かったからだ。
「(この人、やっぱり強いな、こりゃあ様子を伺ったりしながら戦うのは無理だな。出し惜しみしてたら、こっちがやられる)」
「(ユキさん、覚醒状態ではないとは言え、これほどの力、流石、生まれながらの剣士、と言った所でしょうか)」
「(こうなったら、なんとか隙をつくらないと)」
ユキは、戦いつつも、隙をつくることにこだわった。
だが、相手はマキ、中々隙をつくるのは困難だった。
二人の剣戟は続いた。
そんな中、たまたまマキが、体制を崩した。
「!」
「(っ!今だ!)」
ユキはその瞬間を見逃さなかった。
「(これなら、いける!)」
ユキは、剣をマキの身体に当てようとした。だが、それはマキの罠だった。
マキは、わざと体制を崩し、ユキの行動を絞ったのだ。
マキは、ユキの剣を止め、反撃しようと考えた。
だが、そんな中、マキに予想外の出来事が起こる。
「…!」
「ハァーア!」
それは、ユキの全力の攻撃が、マキの予想を遥かに超えていたからだ。
「(入る!)」
「(このままでは!あっ!しまった!)」
ユキから攻撃をくらう、そう思い焦ったマキは、とっさに、ユキに絶望の光景を見せる魔法を使ってしまった。
〈絶望の世界〉
「…!ここは…」
ユキは再び、絶望の世界へと入ってしまった。
「暗い、一体ここは…て言うかボク、なにしてたんだっけ、ん?」
ユキは、なにか足に、ピタッと言う音が聞こえた。
「なんだろう、これ。…!?」
それは、血だった。
「これ、血?一体誰の…!?」
そして、ユキはその光景を見てしまう。
その光景は、ミユキやサオリ、仲間達の死体が目の前に広がっている光景だった。
「…皆、そんな…、っ!ハァ、ハァ、ハァ」
ユキはその光景を見て、胸が苦しくなった。
「ハァ、ハァ、ボクの、せいで」
ユキは当然、その世界が絶望の世界とは気づいていない。
人で言う所の、ユキは今、夢を見ている様な感覚だった。
夢も、夢の世界にいる間は、その世界が夢だと認識できないのと同じように、ユキも、その世界が絶望の世界とは気づいていなかった。
ユキは、その光景が、自分が辿る未来の光景と思ってしまった。
〈現実〉
「…焦ってまた使ってしまった。これじゃあ、ユキさんはもう無理ですね。ただでさえ、一度経験しているのに、今回で二回目なのだから」
「…!」
ユキが絶望の世界にいた時、アスタは、ユキの魔力反応が薄れたことに気づいた。そして。
〈絶望の世界〉
「ボクが、皆を巻き込んだから、ボクは…」
ユキの目には、光がなかった。
このまま絶望の世界に飲み込まれてしまう。そう思った時だった、彼が助けに来たのだ。
「……」
「ユキ!」
「!?」
蹲っていたユキの元に、一人の声が聞こえた。
「…アスタ…」
「ユキ、大丈夫か!」
「アスタ、ボク、皆を」
「目を覚ますんだ!ここは今でも未来でもない、一つの光景に過ぎないんだ!」
「光景?」
「あぁ」
「でも、皆、死んじゃった」
「騙されるな!皆生きてる!」
「生きてる?」
「あぁ、ミユキだけじゃない、サオリやサキさん、ユウヤにメイさん。俺だってそうだ、皆生きてる!だから、目を覚ますんだ!」
「……ハァ!」
ユキは、アスタからの言葉を受け取り、思い出した。
ここは現実でもなければ、今でも未来でもない。光景に過ぎないのだと、そして、ユキは立ち上がった。そして、目に光が戻った。
「そうだ、ボクは、マキと戦ってて」
「思い出したか!」
「うん、思い出した。思い出したよアスタ」
「良かった」
「…アスタ」
「?どうした?」
「アスタ、ボクに、力を貸して」
「…」
「ボクに、おまじないと言うか、前に進む為に、してほしいことが」
「何をすればいいんだ?」
「それは」
ユキは、アスタにある言葉を伝えた。
「!?…分かった」
「!?ありがとう」
「特別だからな」
「うん!」
そう言い、アスタとユキがある事を行なった。
それは、キスだ。
「…頑張れよ、ユキ」
「うん!元気が出るおまじない、ありがとう」
そして、ユキは絶望の世界から抜け出し、見事に、現実へと帰ってきた。
〈現実〉
「…!?」
マキは、驚いた。それもそのはず、なぜなら、絶望の世界で消えていくはずだったユキが、現実へと戻ってきたからだ。
「…まさかユキさん、帰ってくるとは」
「…!?帰ってきた」
「どうやったんですか、あの世界から抜け出すなんて、並大抵の人には不可能のはず」
「おまじないだよ」
「?おまじない?」
「あぁ、…アスタ、ありがとね。ボク、頑張るよ」
その瞬間、アスタからのおまじないがトリガーとなり、ユキは、黒髪の黒い瞳から、アスタやリタ同様、白髪に赤い瞳の覚醒状態へと入ることに成功した。
「!?その姿は」
ユキが覚醒状態へと入り、驚きが隠せないマキ。
「じゃあ、第二ラウンドといこうか」




