最終章 The Final Part9
「!」
アスタとフェイ、互いの剣が衝突した。
「…」
「…!」
フェイが、アスタの剣を振り払い、アスタに隙をつくった。
「!」
「んーんっ!」
隙をつかれたアスタだったが、なんとか身体に剣が当たる前に、剣を使い防いだ。
「…」
「あっぶね」
「…」
「(流石フェイだな、昔と変わらず隙をつくって、そこに攻撃を仕掛けてくる。戦法は変わらないけど、確実に腕は上がってるな)」
「…」
「さて、どうするかな(フェイは洗脳されているだけ、つまり、殺してしまえばフェイも当然死ぬ。なんとか気絶で済ませたいが)…!」
「!」
アスタがフェイをどうするか、考えていたが、考えるヒマを与えさせまいと、フェイが攻撃を仕掛けてきた。
「んっ!」
その攻撃を、なんとか防ぐアスタ。
そして、フェイは隙をつくる為、アスタの様子を伺いながら攻撃を仕掛ける。またアスタは、自身を守りながら、反撃のチャンスを伺っていた。
「…」
二人の剣戟は、風を斬るほどとても重みがあり、早かった。戦闘経験がないヒナとミレイユ姫には、その動きが見えなかった。
「アスタ…」
「アスタ様…」
アスタを見守るヒナとミレイユ姫。
そして反対に、戦闘経験があるマキ、そしてスレイヤーには、アスタとフェイの剣の動きが見えていたが、重みがあるのは、二人も分かっていた。
「!フェイ、お前は、ホントに洗脳されちまったのか、なんとかして、正気に戻ってくれ」
「…」
「無駄よアスタ、フェイには、もう貴方の声は届かないわ」
「そんなの、分かんねーだろ、フェイ、お前は、あんな奴に洗脳されちまうよーなヤツじゃない!」
二人は距離をとった。
「…」
「(フェイ、俺の思い、この剣に込めるぜ)」
そして、ここで決める勢いで、アスタとフェイは、剣に魔力を込め、集中する。
「ハァーーア」
そして、二人は向かっていった。
「!」
衝突した二つの剣、そして、勢いが勝ったのは、アスタだった。
「っ!」
フェイは、吹き飛ばされた。
「んっ、ハァ、ハァ。これで、どうだ…」
「ふん、やるな、アスタ。フェイを倒すとは、しかも、殺さずに」
「…余裕そうだな、でも、最後はアンタだぞ、スレイヤー」
「ふん、次はマキを相手にするか」
「…」
「だが」
「…」
「勘違いしているようだな」
「なにがだ」
「まだ終わっていないぞ」
「!」
スレイヤーがその一言を発した瞬間、気絶したと思われていたフェイが、アスタの方へ飛び出した。
「っ!」
アスタも構える。
「死ね、アスタ」
スレイヤーがそう言った。そして、フェイの持ってる剣が、アスタに。
「っ!」
「(さあ、覚醒の力を見せてみろ)」
スレイヤーは、覚醒の力を使うアスタの姿とパワーを見てみたかったのだ。
「…んっ!」
「!」
アスタは驚いた、なぜなら、アスタへと振りかざすはずだったフェイの剣、それをフェイは、自らの身体に刺したからだ。
「あぁ?」
その行動に、スレイヤーも反応する。
「!フェイ!」
腹に剣を刺し、傷を負ったフェイが、アスタの元へと飛んだきた。
「んっ、フェイ!」
なんとか受け止めたアスタ。
「ウッ、ぶはっ」
血を吐くフェイ。
「フェイ、どうして」
「…アスタ、ごめんよ、僕は、スレイヤーに操られて、君に剣を向けただけじゃなく、君を、殺そうとしてしまった」
「そんな事はもういい!今から回復させてやるから」
アスタがフェイに回復魔法をかけようとしたが、フェイがアスタの手を止めた。
「っ!」
「無駄なんだ、アスタ」
「…どういう事だよ」
「洗脳された時に、呪いをかけられたんだ。もし僕が傷を負っても、回復すれば、スレイヤーが洗脳を解かない限り、僕はずっと洗脳されたままだって」
「!そんな…」
「だから、僕はここで…」
「…なにか、方法はないのか」
スレイヤーが洗脳を解くはずがなく、何も方法がないのかと、悔しく涙を流すアスタ。
「ない」
「まさか、俺と話す為に、お前はわざと傷を負ったのか」
「…ごめんよ、こうでもしないと、君と話せなかったから」
「バカヤロ!そんな事しなくても、俺が、洗脳を…」
「スレイヤーの洗脳は強力だ、僕の力じゃ、洗脳を解くには、こうするしか、なかったんだ」
「…」
「アスタ、君は強い、君なら、スレイヤーを止められる。そして、最期に、君と話せて、良かった」
「止めてくれ、最期なんて言うなよ、フェイ…」
アスタが悲しんでいると、城に一人乗り込んでいたユキが、アスタ達の部屋に辿り着いた。
「…!アスタ!」
ドアを突き破り、アスタ達を見つける。
「…ユキ…」
ユキの方を見るアスタ。
「アスタ…!?フェイ君!」
「…ユキ、さん」
ユキの方を見るフェイ。
「フェイ君!」
「ユキさん、アスタを、お願いします。僕は、時間、みたいだから」
「そんな、フェイ君!」
「君達は、どうか、生きて」
「フェイ!」
「フェイ君!」
「…後は、頼んだ」
フェイは、アスタとユキ、二人に最期の別れを告げ、光に包まれ、消滅していった。
「…」
親友を、また救えなかった。絶望に浸ってしまうアスタ。そしてユキも、アスタの親友を、また救えなかった、その思いが、ユキの心を侵食した。
「(死んだか、駒が減ったが、まあ、アスタに絶望を植え付けるには充分か)」
玉座から立ち上がるスレイヤー。
「無様だな、アスタ。お前は、また目の前で親友を救えなかった。つくづく無力で愚かな男だな」
「!」
アスタを侮辱され、立ち上がるユキ。
「お前、アスタを、侮辱するな!」
怒りの言葉を、スレイヤーに放った。
「ふん、ユキ。貴様も無力なヤツだ。昔もフェイの事を救えなかった。貴様らは、ホントに無力だ」
「くっ」
「それより、貴様は、邪魔だ!」
スレイヤーは、剣を出現させ、全力の速さでユキに迫った。
「!」
あまりの速さに、反応ができないユキ。
そして、その光景を見たアスタ。
「!」
その光景を見て、アスタは過去を思い出す。それは、フェイを救えなかったが、ユキがモンスターから、アスタの命を救ってくれた事。
そのユキが、スレイヤーに殺されようとしている。アスタは、考えるより先に、身体が動き、剣を握り、ユキの窮地を救った。
「っ!」
「!アスタ」
アスタに救われ、言葉を発するユキ。
「貴様、邪魔を」
スレイヤーは、アスタから一旦距離をとった。
「…ユキ、大丈夫か」
「う、うん、君のお陰で」
「…良かった」
スレイヤーの方を見るアスタ。
「アスタ、親友を失い、何の為に、お前は剣を握り、戦うのだ。もうお前には、戦う理由など」
「戦う理由ならある」
「なんだと」
「フェイからの、最期の約束だ」
「約束だと」
「お前を、止めると。そして、ユキや、ヒナ、ミレイユ姫様、ミユキにサオリ、皆を守る為に、俺は、戦う!」
「ふん、お前が、支配者たる私に挑むか」
「…民を、そこに暮らす人々を思いやれないお前に、支配者を名乗る資格はない!」
アスタは白い髪に赤い瞳の覚醒状態へと入り、構える。
「アスタ…んっ」
その言葉を聞き、ユキも、アスタの隣に来た。
「ボクも、皆を守る為に、戦う!」
ユキは、マキを相手にする為、マキの方を見て、構える。
「ふん、なら場所を変えようか」
スレイヤーは、転移魔法で、ヒナやミレイユ姫除いた、アスタ達を移動させた。
アスタとスレイヤー、ユキとマキ、この組み合わせで、各々が一体一で戦う為、場所が変わった。
「!(場所が変わった)」
「また」
「…」
「貴方と戦う時がきましたね、ユキさん」
「今度は勝たせてもらうよ、マキ」
「…私、結構強いですよ」
「…だとしても、ボクも負ける訳にはいかない」
「…そうですか」
「…君に勝つ」
「…試してみますか」
ユキもマキも、お互いが剣を握り、構える。
〈その頃、アスタとスレイヤーは〉
「私に勝つ気か?アスタ」
「ああ」
「お前に剣を教えたのは私だ。言わば師匠に弟子が勝てるとでも」
「弟子ってのは、いつか師匠を超えるもんなんだぜ」
「なら、証明してみせろ」
「そうするさ」
サオリやサキ、ミユキ達がモンスター達と戦っているなか。ユキ、マキ、アスタ、スレイヤー、この四人による戦いが、ソウルワールドを含め、四つの次元をかけた戦争が今、始まりを迎えた。




