第四章 ゲーム学校編 Part10
剣を持ち、構えながら見つめ合うアスタとスラム。
「…」
「…やっと」
「…」
「長いこと待ってたよ、この時を。だが」
「…」
「これで終わりと言うのも、また悲しいものだね」
「そうか、俺は早くお前を倒して、皆をリアルワールドへ帰す」
「…なら、どうせ最後なら、楽しく終わろうか。アスタ!」
「!」
アスタとスラム、二人の剣が激突した。そしてその勢いは凄まじく、辺りの風の勢いが増し、誰か人がいれば、その人が吹っ飛んでいく程の勢いだった。
「っ!」
「…さすがアスタだ。やはり無謀に私へ挑んでは来ないか」
「おしゃべりか、余裕だな(スラム、当たり前だが、前よりも強くなってる。レベルも恐らく、俺と同じ九十九。プレイヤー狩りをしていた為だな。でも)」
「!」
「(俺も、負ける訳には、いかない!)ハァー!」
「っ!」
アスタはスラムの剣の圧を押し切り、剣を弾いた。
「っ!」
「ハァ!」
そしてアスタは、剣でスラムを、野原から森へと吹き飛ばした。
「んっ!」
吹っ飛ばされるスラム。
「んっ」
そしてスラムを追うアスタ。スラムを追い、追い越し、後ろからスラムに、剣に魔力を込めた五連撃の技を与えた。
「…ハァ!」
「っ、ウッ!」
スラムに五連撃技を与えることができたアスタ。そして次にアスタは、五連撃ほど連撃は多くないが、一撃一撃が重い、二連撃の技を、また魔力を剣に込め、スラムに与えた。
「ふんっ!」
「ウッ、アー!」
スラムは技を受け、倒れる。
「ハァ、ハァ」
スラムのHPバーは、全体で三割削った程、アスタが与えていた。
「ハァ(あと、七割ってとこか)」
「…んっ、んーん」
起き上がるスラム。
「いやー、さすがね、アスタ。私もプレイヤーと戦って、知識や経験は積んだつもりだったのに、貴方はその先にいるのね」
「そっちこそ、今の攻撃で三割か。前だったら、とっくに倒せてたのにな」
「貴方と私のレベルは同じ、なのにこの実力差。これが経験の差なのね」
「お前も攻撃こそ受けたが、動きは僅かに見えてたよな。経験を積んでる証だ。当たり前だが、前より手強いな」
「そうか、そう言ってくれるのは嬉しいわ。でも私も、貴方がいる所まで、この戦いを通していきたいわ。だから、今度はこっちの番よ」
スラムは話し終えたと同時に、アスタの背後へと移動し、技を仕掛けた。
「!」
アスタも反応し、その攻撃を防ごうとした。だがアスタが防ごうとした攻撃は、先程アスタがやった技と類似していた。
「っ!(その技はさっき俺がやった。なら次くるのは)」
アスタは、最初こそ似ている事に驚いたが、技が先程のものと同じなら、次くる攻撃を予想できた。
「(次はこうだろ)」
スラムからの連撃を、防、ごうとしたアスタだったが。スラムは次の攻撃パターンを微妙に変え、アスタに一撃を与えた。
「ふっ!」
「っ!ウッ」
「ふふ、これはいい。アスタ以外のプレイヤー達からは、ロクに吸収するものがなかったが、アスタの攻撃は、実に吸収しがいがある」
「(コイツ、俺の技をあの攻撃で覚えただけじゃなく、それをスラムなりにアレンジしてきた。恐らくスラムは、一度見た攻撃を覚えられるんだ。なら、毎度違う攻撃をしないと、スラムには勝てない)」
「さあ、もっと楽しもう、アスタ」
「(さて、どうするか)」
アスタがスラムの能力に驚いていた時、第二十階層のボス部屋では。
「クルアー!」
「んっ」
リタ達は、タイダンハーツに苦戦していた。それもそのはずで、タイダンハーツはSoul Make Onlineのラスボスであり巨大ボスモンスター。リタ達は、最初こそ順調に攻撃を仕掛けていき、四つあったHPバーも、残り二つの所まで与えていた。
だが、残りHPが少なくなるにつれ、タイダンハーツは、どんどん攻撃も防御も上がっていた。更には、スラムと同じく、一度見た攻撃には、素早く対応してくる。
最後の一撃を残して戦わなくちゃいけない為、リタ達は、攻撃パターンが絞られてきていた。
「んっ、タイダンハーツ、アイツ一度見た攻撃は通用しないのか。ならどうすれば」
「リタ、大丈夫?」
「あぁ」
「リタ、アイツどうする」
「ヤツには一度見せた技は通用しない。アスタさんからの合図があるまで、時間稼ぎするつもりだったが、マズイな、このままだと、アスタさんからの合図がきても、こっちが倒せない。同時に倒さなきゃいけないのに」
「でも、このまま何もしなかったら、私達が全滅しちゃう」
「ああ、どうにかヤツのHPを削っていかないと」
「なら、合図があるまで、必死に抗うしかないわね」
「ああ」
リタやエリーナ、ユキ以外は、タイダンハーツの攻撃を、何とかして防いでいた。
そして、リタとエリーナが作戦を考えている中、ユキはプレイヤー達と共に、タイダンハーツに攻撃を仕掛けていた。
「んっ、ハーア!」
「!」
「んっ、おらぁ!」
「!」
ユキも他のプレイヤーも、何とか違うパターンの攻撃を繰り返し、タイダンハーツのHPを減らしていった。
「…ハァ(アスタからまだ連絡がこない。アスタの方も苦戦してるのかな。でも、そうじゃないにしても、今合図がきても、今の攻撃じゃ、HPを全て削るのは無理。だから、合図がくるまで、何とか耐えて削らないと。ほぼ同じタイミングで倒さないと、タイダンハーツもスラムも倒せない。しかもコイツ、少しずつだけど、HPが回復してる。一定のHPをキープしないと、やられる)」
「コイツ、中々やるな。さすがラスボス」
「倒しがいがあるな」
「おい、これからどうするんだ」
「皆、HPバーが残り一つになるまで、何とか攻撃を続けてくれ。そして一つになって、HPバー残り半分になったら、その状態をキープしてくれ!」
「倒しにはいかないのか?」
「合図するまで待ってくれ、タイダンハーツとスラムは、ほぼ同じタイミングで倒さないと、復活するんだ!だから、合図を送るまで、何とか耐えてくれ!」
「おう!」
「分かった!」
皆に指示を出すリタ。
そしてその指示に従い、気合いをいれるプレイヤー達。
「リタ。私達も」
「ああ、合図がくるまで、必死に抗って、合図がきたら、一斉に皆で攻撃を仕掛ける」
「そうね、行きましょう!」
「ああ!」
作戦を決め、リタとエリーナも、また戦いに参加した。
「ハーア!」
タイダンハーツに攻撃を与えるリタ。
「ふっ!」
リタに続き、エリーナも仕掛ける。
「(必死に)」
「(抗う!)」
タイダンハーツ相手に、必死に抗うリタ達。
〈時を同じくして、アスタの方は〉
「ハァ、ハァ」
「さすがねアスタ。攻撃パターンを覚えたと言うのに、ここまで私を追い詰めるなんて」
「ハァ…」
「でも、どこか手を抜いてるのかしら?」
「…」
「攻撃を仕掛けてはくるけど、全てを削ろうとはしていないし、考えてもいない。考えうる限り、タイダンハーツのHPが残り少なくなるまでの時間稼ぎ。って所かしら」
「…」
「だから、私を倒そうとはしていないのね。どちらかだけが先に倒されれば、復活するからね」
「…」
「図星かしら、なら、せいぜい私を楽しませてよね」
「(ユキ、そっちどうだ)」
「(アスタ、こっちはまだ少しかかりそう。アスタの方は)」
「(俺の方はそろそろいける。そっちの状況次第でトドメをさすから、合図を送ってくれ)」
「(分かった)」
「…作戦会議は終わったかしら?」
「…」
「まあ、私は楽しめればそれで良いんだけど、そう簡単には死なないわよ」
「んっ」
「じゃあ続きを、始めましょう!」
アスタとスラムは、戦いを再開させた。
アスタも、最後の一撃を残している為、それ以外の技などで攻撃をするしかなかったが、さすがに、攻撃パターンも尽きてきていた。
「ふん!」
「っ!」
「あらら、さっきまでの威勢はどこにいったのかしら」
「…(なんとかユキ達がHPを減らすまで耐えないと、下手に攻撃を繰り返せば、スラムだけを倒してしまう。それに、あの事にスラムが気づく前に、倒さないと。ユキ、リタさん、エリーナさん、頑張ってくれ)」
「ハァ!」
「んっ!」
アスタはなんとか、スラムからの攻撃を防いでいた。
「んー」
「どうした、来ないのか」
「なんだが、手加減されてるみたいで嫌ね。どうすれば貴方は本気になってくれるのかしらね」
「さあ、なんだろうな」
「……ん?そう言えば」
「…?」
「私自身が私にトドメをさしたら、どうなるのかしらね」
「!?」
「ふっ、やってみようかしらね」
「!っ!」
アスタが恐れていた事態、それが起こってしまう前に、スラムを止めにかかるアスタだったが、一足遅かった。
アスタが恐れていた事態、それは、スラムが自害し、また復活してパワーアップしてしまうことだった。
「んっ(遅かった)」
スラムは自身の心臓に剣を突き刺し、自害した。そして自害をし、光に包まれたスラムは、HPを全回復させ、パワーアップを果たし、復活してしまった。
「あー、この手があったのね。これなら、貴方も本気になるかしら」
「…どんどん手強くなるな」
「でも、この方法を繰り返せば、私だけが有利ね。なら、いざと言う時以外は使わないことにしましょ」
「…(こうなってしまった以上、俺も本気をだすか)」
アスタが言った本気、それは、覚醒状態へと入る事だった。
「…」
アスタは白い髪に赤い瞳の覚醒状態へと入った。
「!?なんだその姿は」
「これが俺の本気だ。スラム、悪いが手加減は終わりだ。お前を、倒す」
「…ふふ、そうね。そうこなくっちゃ」
アスタとスラム、二人はまた衝突し、全力で戦いに挑んだ。
〈その頃、ダンジョンでは〉
「んっ、あと少し」
リタが攻撃し、残り一つのHPバーまでいった。
「あとは、残り半分」
残りのHPが少なくなり、気合いが入るエリーナ。
「!クルアー!」
残りHPバーが一つになったタイダンハーツは、今に至るまで、動きが少なく、攻撃回数も少なかったが、HPバーが一つになったことにより、今までとは打って変わって、宙へと飛び、剣を出現させ、リタ達に攻撃を仕掛けてきた。
「!皆避けろ!」
「お!」
「クルアー!」
宙へ飛び、落ちてきたタイダンハーツは、剣に魔力を込め、範囲攻撃を仕掛けてきた。
「ウッ、アー!」
「ウワッ!」
タイダンハーツからの攻撃を受け、大半が吹き飛ばされた。
「んっ」
「コイツ、こんなに動くのか」
驚くプレイヤー達。
「(マズイ、このままじゃ)」
「リタ」
「…どうしたエリーナ」
「私が動けるプレイヤーさん達と、何とかしてHPを削るから、リタはラストアタックが決められる準備をしておいて」
「…それしかないか」
「ええ、この方法を使って、勝とう」
「ああ、分かった!」
エリーナはまだ動けるプレイヤー達と一緒に、タイダンハーツに挑んだ。
そしてリタは、ユキにある提案をする。
「ユキさん」
「…どうしたのリタ君」
「エリーナ達が、何とかしてHPを削ってくれます。俺達は、アスタさんからの合図があるまで、剣に魔力を込め続けて、待機しましょう」
「分かった。それでいこう」
「はい!」
「ハァ!」
「うりゃあ!」
「!クルアー!」
「(あと少しで、タイダンハーツを)」
「これでどうだ!」
「クルアー!」
「!?」
プレイヤーの中の内の一人が、タイダンハーツに重い攻撃をいれ、タイダンハーツのHPが、半分を通り過ぎた。
「(今しかない)ユキさん!」
「うん!(アスタ!)」
〈一分前、アスタとスラム〉
「ハァ!」
「っ!やるねアスタ!」
「んっ、ふう!」
「ふんっ」
アスタの攻撃をかわし、一撃を加えようとしたスラム。だが、アスタも、その攻撃をかわし、覚醒状態の重い一撃を加えた。
そしてスラムのHPが残り二割になった時、ユキから連絡が入った。
「(アスタ!)」
「!?(ユキ)」
「(アスタ、今ならいけるよ!)」
「(ああ、俺もだ)」
「(分かった!)」
今しかない、そう悟ったアスタは、覚醒状態の最大の攻撃を繰り出す為、今まで以上に集中した。
「!?この魔力(なんて凄まじい。決めにくると言う事は、タイダンハーツが、なら、その攻撃を)防ぐまで!」
「行くぜ、スラム!」
アスタはスラムに仕掛けた。スラムも、その攻撃を防ぐ為、剣でガードしたが、アスタの攻撃は、スラムの剣など、軽々破壊し、頸に剣が当たった。
「なに!?」
「(ユキ!)」
〈リタの方も〉
「(うん!)リタ君!」
「はい!」
ユキとリタ、二人はこの瞬間の為、大量の魔力を剣にこめ続け、ついにそれを使う時がきた。
「いっ!、?、!?」
エリーナも、リタとユキを見て、合図がきたと確信した。
「んっ」
「クルアー!」
エリーナは、タイダンハーツがガードしないよう、体制を崩させた。
「スイッチ!」
エリーナがユキに合図を送り、ユキはタイダンハーツに向かっていった。
「ハァーーーア!」
ユキはタイダンハーツに、三連撃だが、とても与える技を、タイダンハーツに決めてみせた。
「クルアー!」
タイダンハーツの残りHP、一割もない、その瞬間を逃さず、ユキはリタに合図を送った。
「スイッチ!」
「!」
リタも合図を受け取り、大量の魔力を込めた剣を、タイダンハーツの頸の所まで飛び、頸に剣が当たった。
アスタとリタ、二人は同じタイミングで、アスタはスラム、リタはタイダンハーツの核を破壊する為、その一撃に全力を込めた。
「ハァーーーーア!」
そして攻撃を与えてる中、リタはシステム上の最大攻撃を上書きし、一時的ではあるが、黒髪に黒の瞳から、アスタと同じように、白い髪に赤い瞳へと、変化した。
そう、リタも覚醒状態へと入ったのだ。
元々覚醒状態が使えるアスタとは違って、リタの場合は、システム上で決められていた、ダメージの最大値を超えた為、覚醒状態へと、一時的に入ることに成功した。
「ハァーーーーア!」
そして、覚醒したアスタとリタの渾身の攻撃を受け、スラムとタイダンハーツの核は破壊され、スラムとタイダンハーツは光に包まれ、消滅した。
「アーー!」
「クルアーーー!」
「ハァ、ハァ、ハァ」
リタもアスタも、覚醒状態は解かれた。
「や、やった。勝てた」
勝てた事に嬉しさと驚きを感じたリタ。
「勝った…」
「勝ったぞー!」
「おおー!」
タイダンハーツ、そしてスラムを倒し、嬉しくなるプレイヤー達。
「やったねリタ!」
勝てた喜びを分かち合う為、リタの元へと行くエリーナ。
「エリーナ、勝ったん、だよな」
「ええ!勝てたわ!」
「や、やった」
リタは、全身全霊で挑んだ為、疲れがきて、地面に倒れる。
「ハァ」
「リタ!大丈夫?」
「ああ、大丈夫。疲れがきただけだ」
「そう、なら良かった」
「やったな、リタさん」
「…アスタさん」
スラムを倒したアスタは、瞬間移動で、リタやユキ達の元へと来ていた。
「お疲れ様、リタ君。それにアスタも」
「ああ、タイミングが重なって良かった。これで…」
アスタも、渾身の一撃を与えた事で、リタと同じく疲れがきて、倒れそうになる。
「あ、アスタ、大丈夫?」
だが、ユキに支えてもらった。
「ああ、大丈夫。ちょっと疲れがきただけだ」
「良かった」
「これで、終わったんですね」
「そうだな」
「これで、帰れるんだね。アスタ」
「ああ」
アスタ達が嬉しさに浸っていると、アナウンスが流れる。
「プレイヤー諸君、ホントにお疲れ様。タイダンハーツに、スラムも倒された。君達のお陰だ。今からログアウト処理を開始する。待っていてくれ」
「…もう少し待ったら、帰れるみたいだな」
「そうだね、アスタ」
「…リタ、帰ったら、まずどうする?」
「そうだな、とりあえずは帰れた喜びに浸るさ」
「…そうね」
笑顔で答えるエリーナ。
「…お」
待っていると、アスタやユキ、リタ、エリーナ含めたプレイヤー達が、ログアウト処理が始まり、光に包まれ、リアルワールドへと帰ったアスタ達。
「ん、うーん」
リアルワールドに帰ってきて、目が覚めるアスタ。
「ん」
起き上がるアスタ。
「…帰ってきたか」
「アスタ」
「お、ユキも起きたか」
「うん」
アスタ達プレイヤーは、それぞれの部屋で目が覚めた。
もちろん、この二人も。
「んっ、うーん」
目が覚め、起き上がるリタ。
「…帰ってきた」
「リタ」
声の方を向くリタ。
「エリーナ」
「帰ってきたわね」
「…そうだな。帰ってきた」
プレイヤー達が帰ってきたことにより、アスタ達以外の親や友人が、目が覚めた子や友人の目覚めに、部屋まで行っていた。
そして、あの三人も、アスタとユキの部屋へと来ていた。
「ユキちゃん、アスタ」
「お姉ちゃん、アスタさん」
「ミユキ、サオリちゃんも。それに」
「やあ、無事でなによりだ。アスタ君、ユキ君」
「青山さんも来ていたんですね」
「ああ、サオリ君から連絡があってね」
「なるほど、スラムか」
「ああ、今、スラムに知識を与えたとされる者を連行する所だ」
「ん?与えたとされる?確定では無いんですか?」
「どういう訳か、本人は知らないの一点張りなんだ。だから、一旦は我々の施設まで連れていく。あの施設では、人の記憶が見れるみたいだからね」
「なるほどな」
「でも、ホントに君達が無事で良かったよ。モニターで君達の活躍は見ていた。さすがと言う他ない」
「皆のおかげさ。俺らだけじゃ倒せなかった。だから、皆の力があってこそさ」
「…そうだね。それじゃあ、私はこれで」
「あ、青山さん」
「?どうしたんだいサオリ君」
「私も行っていいですか?私も、その人がどうにも気になりまして」
「ああ、別に構わない」
「ありがとうございます。じゃあまた後でね。ユキちゃん、ミユキちゃん、アスタ」
「ああ、また後でな」
「ええ」
青山とサオリは、その場を後にした。
そして、ホテルでは、帰ってきたプレイヤー達に、謝罪した制作チーム一同。
制作チームは謝罪と共に、解散も発表した。だが、帰ってきたプレイヤー達は、解散しないでほしいと言う願いがほとんどだった。
それを聞いた制作チームは、解散はしないが、しばらくは休止することとなった。
そして日は過ぎ、武尊と陽菜は、公園のベンチに座って話していた。
「それにしても、あの制作チームの人達、解散しなくて良かったね。武尊」
「ああ、本来なら解散だけど、皆がそれを拒否したからな。こんな事もあるんだな」
「そうね、それだけあのチームの作ったゲームは凄いってことよね」
「そうだな」
「…」
「…陽菜」
「ん?」
「俺、作ろうと思う。学校でのあの課題」
「!?ホントに?やる気になったの?」
「ああ、やる気が湧いてきたよ」
「そう、なんか嬉しい」
「それでなんだけど、陽菜。俺と一緒にゲーム作らないか?」
「課題の事?」
「ああ、何か。作る気は出たけど、陽菜と一緒に作りたいんだ。ダメかな?」
「…もちろん良いわよ、一緒に作りましょ」
笑顔で答える陽菜。
「…ありがとう」
武尊も笑顔で返事をした。
最初こそ、ゲームを作る課題に興味はなかった武尊だが、あの経験を得て、武尊の心に火がつき、陽菜と二人で作ることになった。
「タイトルは決めてるの?」
「候補はあるけど、これって決めるのは、陽菜との話で決めるよ」
「分かったわ」
「じゃあ、そうと決まれば、またあの世界で話し合おうぜ」
「ええ!」
二人は遊びではなく、今度は勉強の為、家に帰り、またあの世界へと行ったのだった。
そして、少し日は戻り、施設にて。
「…」
「どうでしたか?青山さん」
「調べて分かったが、あの男は、ホントに何も知らないみたいだ」
「…でも、監視カメラには」
「ああ、あの男がバッチリ映っている」
「どういう事なんでしょう」
「分からない。ひとまず、この件は保留にしよう。サオリ君も、帰って大丈夫だよ」
「分かりました。では」
サオリが帰ろうとした時、施設のコンソールに通信がきた。
「?」
「通信?誰からだ」
通信ボタンを押した青山。
「聞こえますか」
通信を送ってきたのは、サキだった。
「聞こえているよ。どうしたんだい?」
「そこに、アスタさんか誰かいませんか?」
それを聞き、コンソールの方へ行くサオリ。
「私ならいますよ。サキさん」
「良かった、大変なんですサオリさん」
「どうしたんですか?」
「カインを覚えていますか?」
「ええ、四年前、アスタが倒さなかった異世界人ですよね?」
「はい」
「そのカインがどうしたんですか?」
「実は」
「…」
「そのカインが、消えたんです」
「!?どういう事ですか?」
「詳しい事は、会って話したいので、コッチに来てくれませんか?」
「分かりました」
サキにそう言われ、ソウルワールドに行く為、サオリはカプセルの部屋へと向かった。
〈その頃、別次元では〉
「…」
「…ただいま戻りました」
瞬間移動で、その次元へと帰ってきた一人の少女。
「おかえりマキ」
そして、その少女、マキを褒める女ボス。
「はい、上手くあの男になりすまし、アスタに試練を与えました」
「よくやってくれたわ、そろそろ私も本格的に動こうかしらね」
「はい、スレイヤー様」
謎の少女マキと、そのボスであるスレイヤー。アスタ達の知らない所で、また大きな陰謀が動こうとしていた。
第四章 ゲーム学校編 完




