第四章 ゲーム学校編 Part2
二〇三四年、五月十五日。アスタとユキは二人で買い物をしていた。
「ふんっふふんふんー」
鼻歌を歌いながら歩く、テンションが高いユキ。それを見ていたアスタは。
「テンション高いな、ユキ」
「そりゃあ、アスタとこうして一緒にいられるんだもん。それが嬉しいからさ」
「…そうか、俺も、ユキといられるのが嬉しいよ」
「アスタも?良かった」
いつになく笑顔のユキ。普段も笑顔だが、恋人のアスタと一緒にいるお陰もあり、その日はずっと笑顔だった。
「ふんっふふんふんー、あっ、アスタ見て」
「?くじ引き?」
アスタとユキは、商店街の道の端っこで、くじ引きをしている屋台を見つけた。
「見てアスタ、お一人様初回一回目は無料だって、やろやろー」
「おう(何のくじ引きなんだ?)」
「あの」
「お!いらっしゃい!」
「これって、何のくじ引きなんですか?」
「良く聞いてくれたお嬢さん、これは、今月五月三十一日に、ヒーリングホテルでやるゲーム祭に参加できるくじ引きさ」
「ゲームって、何のゲームなんですか?」
「ふふん、それは当たってのお楽しみさ」
「なるほどな」
「お!君もやるかい」
「初回一回は、無料なんだよな?」
「ええ、二回目以降はお金を頂きますが、初回は無料ですよ」
「へえー、ちなみに、当たりはあと何個なんですか?」
「なんとビックリ!当たりはあと二個だけです!」
「二個だけ!?」
「ええ、何せ人気なもんで、当然当たりを引いた人も何人かいましてね。計算してみたら、あと二個だけなんですよ」
「なるほど、どうするユキ」
「うーん、うん!やろ、アスタ。何か楽しそうだし」
「…そうだな」
アスタとユキは、ひとまず一回目は無料と言うことで、まずはユキからくじを引いた。
「えーと、これで!」
「はい、お嬢さん。開けてみてください」
「えーと、!?」
「?どうしたユキ」
「アスタ」
「ん?」
「当たった!」
「!?マジか」
「おめでとうございます!お嬢さん、当たりです!」
「ヤッタ!」
「…(ユキ、早速当たりを…)」
「次は君だね、どうぞ!」
「(当たりを引くって、凄いなユキ。でも、さすがに二連続は、ないよな)えーと、これで」
「はい、確かに一枚、開けてみてください」
「えーと」
見守るユキ。
「…!?あ、当たった」
「ホントアスタ!ヤッター!」
「なっ、なんと、またまた当たりー!これにて終了です!」
「(まさか当たるとは)」
「ヤッタネ!アスタ」
「あ、あぁ(自分でもビックリだ)」
「はいどうぞ」
「これは」
「ゲーム祭へとチケットです。これで、お二人共参加できます」
「…?あの」
「なんでしょう」
「この、一名様までなら同伴可能って、どう言う事ですか?」
「ああ、それは、家族でも友人でも、一名様までなら、ゲームの参加は出来なくとも、ホテルでのパーティーには、当たった本人含め、参加できるってやつです」
「へえー」
「では、くじ引き、ありがとうございました!」
アスタとユキは、その場を後にした。
「一名までか、どうするユキ。誰か、と言うか、サオリとミユキも呼ぶか?」
「そうだね、聞いてみよっか」
ミユキに電話をかけるユキ。
「ん?もしもしお姉ちゃん?どうしたの?」
「ねえ、ミユキ。今月の三十一日って、空いてる?」
「三十一日?」
「うん、その日にボクとアスタで、ホテルに行ってゲーム祭に参加するんだけど、一名様までなら、その人もパーティーに参加できるみたいでさ、どうかなって」
「うーん、ちょっと待ってて。聞いてみる」
「うん」
〈施設にて〉
「え、ゲーム祭?」
「はい、三十一日にやるらしいんですけど、その日にお休みを頂けないでしょうか」
「うーん、まあ、ここの所特に何もないし、そうだね。施設は我々が見てるから、行ってくるといい」
「!ありがとうございます」
「何の話ですか?」
司令室に帰ってきたサオリ。
「あ、サオリさん。今月の三十一日に、お姉ちゃんとアスタさんがホテルでやるイベントものに参加するみたいで。サオリさんもどうですか?」
「私ですか?」
「はい」
「私も行けるの?」
「あ、そうだった。お姉ちゃん」
「あ、どうだった」
「私は行けるよ、あと、サオリさんも行けたりするの?」
「うん、アスタも当たりだったから、サオリちゃんも大丈夫だよ」
「そっか、サオリさん、大丈夫みたいです」
「でも」
「良いよサオリ君」
「青山さん」
「せっかくの機会だ、四人で楽しんでくるといい。ここの事は、一旦我々に任せて」
「…分かりました。ありがとうございます。青山さん」
「なあに、これぐらいは大丈夫さ」
「…お姉ちゃん、サオリさん行けるって」
「良かった。じゃあ三十一日に会おう」
「うん」
〈電話を切ったユキ〉
「どうだった?」
「うん、ミユキもサオリちゃんも大丈夫だって」
「そうか」
「アスタ?」
「いや、四人で集まるのもやっぱりいいなと思ってさ」
「そうだね、ボク達は今日休みだったけど、普段は仕事だからね」
「ああ、三十一日、楽しみだ」
「そうだね、アスタ」
二人は、帰りながらそんな会話をし、家に着きご飯を食べたりお風呂に入ったりし、二人は就寝した。
そして早くも時が過ぎ、気づけば五月三十一日になっていた。
アスタ達は、ホテルにいた。
「早かったー、もうこの日が来たね、アスタ」
「そうだな」
「それはそうと、アスタ」
「ん?」
「どう、かな」
ゲーム祭とは言え、ホテルに行く為、ユキはホテルの部屋にあったドレスを着ていた。
「あぁ、その、凄く、似合ってる」
「!ホントに?」
「あぁ、可愛いよ、ユキ」
照れるが、嬉しさ満点のユキ。
「アスタも、その格好似合ってるよ」
「そうか?ありがとう」
「うん!」
「相変わらずのイチャイチャですね」
「わあ!ミユキ」
「そうね、イチャイチャ」
「だってー」
「別に怒ってはないわよ。まあ、見ていて微笑ましいわ」
「…ありがとう、サオリちゃん」
「まあ、アスタさんの気持ちも分かります。だって今のお姉ちゃん、とっても可愛いもん」
「ミユキも、ありがとう」
「…にしても、俺ら以外にも、当然オシャレだな。さすがホテル、そしてゲーム祭」
「そう言えば、何のゲームかは、まだ分からないんでしたっけ?」
「あぁ、ホテルに行けば分かるみたいだった」
「どんなゲームにせよ、頑張ってね。お姉ちゃん、そしてアスタさん。私とサオリさんは、ここで見守ってるから」
「うん!」
アスタ達や、周りの人も話してる中、司会者が現れた。
「今宵は、ようこそおいでくださいました。今回は、あのゲーム、Sword&MagicAdventureを手掛けた方々による、新作ゲームのお知らせと、それを皆様にプレイして頂く形となります。その新しいゲームのタイトルは、「Soul Make Online」です」
「ソウルメイク、オンライン」
そのタイトルに、興味を持った人達。そしてアスタ達や武尊達。
「今回は、そのゲームの先行体験会です!」
「おおー!」
ゲームの先行体験に嬉しさを隠せなかった、プレイヤー一同。
「さて、長話もなんですし、このゲームのプレイ権を手に入れた人達は、自分の部屋に移動し、ヘッドギアを被ってください。いざ、ゲーム開始と致しましょう」
「おおー!」
その言葉を聞き、移動を始めた一同。
「じゃあミユキ、サオリちゃん。行ってくるね」
「うん、頑張って!お姉ちゃん」
「うん」
「ユキちゃんとアスタ、頑張って」
「あぁ!」
アスタとユキも、部屋へ移動を始めた。
「そう言えば、ボク達って同じ部屋?」
「えーと、そうだな。二〇二号室だ」
「部屋までアスタと一緒か。なんか嬉しい」
「あぁ、俺もだ」
そして部屋に着き、二人はヘッドギアを被り、ボタンを押して。Soul Make Onlineへとダイブするアスタとユキ。
一方で、武尊と陽菜も同じ頃、部屋に着いていた。
「楽しみだね、武尊」
「あぁ、やるからには、クリアしよう。陽菜」
「ええ!」
抽選で当たったプレイヤー一同は、Soul Make Onlineへとダイブした。
そして、ダイブしている最中、プレイヤー達の前に、ある選択肢があった。
「ん?なんだ、この三つの内、どちらか一つだけ、ゲーム世界に持っていけます」
その選択肢は、「強い魔力を付与した状態で入る」と「強い剣や武器を持っていく」か「記憶だけ持っていくか」という選択肢だった。
「…なんで、記憶って選択肢があるんだ?」
アスタやリタを始め、皆が気になったが、そんな事より、早くプレイしたい思いから、皆それぞれの選択を選んだ。
「俺は、これかな」
リタは、クリアを目指してはいるが、最初から強いのはつまらないと判断し、不思議に思った記憶維持のボタンを押した。
「俺は、これで」
アスタも、記憶の選択をした。
そして、ダイブは再開し、Soul Make Onlineの世界へとダイブしたアスタ、ユキ、リタ、エリーナ、そして他のプレイヤー。
ダイブが完了し、アスタは、ある森の中で目を覚ます。
「……ん、うーん」
辺りを見渡すアスタ。
「ここは、森?」
「…強い武器とかにすれば良かったかな。でも、あの選択肢、絶対何かあるっぽかったからな。…まあ、いっか」
アスタだけではないが、アスタは記憶維持ではなく、武器とかにすれば良かったと思ったが、アスタも、最初から強キャラスタートより、楽しみを優先した為、後悔は無かった。
「さて、ユキを探すか。っとそれも大事だが、まずは武器、ん?」
アスタは背中に剣があることに気づき、それを取り握った。
「この剣…懐かしいな」
そう、Soul Make Onlineは、全く同じとは言わないが、Sword&MagicAdventureを元にした世界だった。
そして、記憶維持の選択があったのは、記憶以外を選んだ場合、能力や武器はついてくるが、その変わりとして、リアルワールドに関する記憶をブロックすると言うものだった。
記憶をブロック、これこそが、Soul Make Onlineの醍醐味であり、他では味わえない武器。真に仮想世界から生まれ、思う存分プレイする事ができるゲームだった。




