第四章 ゲーム学校編 Part1
〈Sword&MagicAdventure内の第二十階層にて〉
そこではたくさんのプレイヤーが、ゲームのラスボス、ゲータを倒す為、奮闘していた。
「っ!」
「おい、誰かアタッカーはいないのか!」
「ふん、愚かな、我に敵うわけがなかろう」
総勢二十人のプレイヤーは、二手に分かれ、ゲータの巨大な手を止めていたが、圧倒的な力の為、全員で止めるので、精いっぱいの状況だった。
「くそ!あと少しで倒せるのに、アタッカーが…」
ゲータのHPバーは、四つ合った中、残り一つで、あと二、三撃攻撃を加えれば、勝てる状況だった。だが、ラストアタックを決めるプレイヤーが、二十人のプレイヤーで挑んだ為、いなかった。
「ヤバい、そろそろ」
「ふん、これでどうだ!」
ゲータは抑えらていた手を上に挙げ、両腕を地面に思い切り下げた。
「うわ!」
二十人のプレイヤーは、吹き飛ばされた。そして、プレイヤーの方のHPバーも、残り僅かだった。
「くそっ、ここまで来て」
「もう、ダメなのか……!」
もう勝てない、そう思っていた矢先、マントを被った二人のプレイヤーが、颯爽とゲータのボス部屋に入り、プレイヤー達を追い抜き、ゲータへと挑んだ。
「ふん、まだ虫けらがいたか」
ゲータも、そんな二人のプレイヤーを倒す為、片手に魔力を込め、二人に放った。
「ハァ!」
「っ!」
二人は避け、槍を持った一人の女性プレイヤーが、ゲータの片手に一、二撃与え、ゲータを不利な体制へと追い込んだ。
「グオ!」
「っ!リタ!」
女性プレイヤーは、もう一人の男性プレイヤー、リタの名を呼び、リタは頷いた。そしてゲータを倒す為、ゲータへと迫り、頸を斬ろうと考えていたリタは、ゲータの顔の方へと飛んだ。
「ぐぬ!」
「…」
リタと言う少年は、何も言わず剣に魔力を込め、ゲータの頸を斬った。
「ふうっ!」
「!ガァー!」
そして、ゲータは消滅した。最終層である第二十階層のボスであり、Sword&MagicAdventureのラスボスであるゲータを倒した為、ダンジョン攻略は、全制覇したのだった。
「…」
リタは、手に持っていた剣を、背中にあった鞘にしまった。
「やったねリタ!」
「あぁ、エリーナ」
それを見ていたプレイヤー達。
「またあの二人か」
「今回もラストアタック奪われちまったな」
「あぁ、あの二人、何者なんだろうな」
「さて、ボスを倒して経験値やお金も手に入ったし、ログアウトするか」
「そうね」
ダンジョン攻略全制覇を成し遂げた為、二人は一旦ログアウトした。
〈そして現実世界にて〉
「……ふぅ」
ヘッドギアを外し、現実世界へと戻ってきた、プレイヤーネームリタこと、桐山武尊。
「はぁ、このゲームも、遂にクリアしたか」
武尊は、Sword&MagicAdventureというVRMMOゲームを、発売当初から友人である、プレイヤーネームエリーナこと、襟川陽菜と、やり込んでいた。
「…おっ、陽菜からだ」
陽菜からスマホにメッセージが届いた。
「お疲れ様、今回もナイスアタック。…確かに、皆があそこまで削ってくれたお陰で、倒せたからな。お陰でラストアタックが出来た」
武尊は、陽菜にもスマホにメッセージを送る為、打ち込み、陽菜に送った。
〈襟川陽菜の自宅にて〉
「お!キタキタ。えーと、陽菜こそ、サポートさんきゅっか、…武尊は優しいね。私ももう一回送ろ」
〈桐山武尊の自宅にて〉
武尊のスマホが鳴る。
「…もう遅いし、寝るね。あっそうだ、明日向こうで、二人でパーッとしよう。じゃあ、明日学校でね、か。確かにもう遅いしな、寝るか」
二人が話していた時間は、二十三時だった。明日が学校な為、二人は眠りについた。
〈そして次の日〉
「…」
アラームが鳴り、それを止め起きる武尊。
「う、んーん朝か」
武尊は歯を磨いたり、学校に行く準備を整え、一階のリビングへと向かった。
「あ、おはよう、武尊」
「おはよう、母さん」
「おはよう、武尊」
「父さんもおはよう」
「武尊、昨日は遅くまでゲームしてたでしょ、部屋を覗いたら、ヘッドギア被ってたからね」
「もー、部屋は勝手に見ないでくれよ」
「武尊も、もう高校二年生だ。進路について、ちゃんと考えろよ?」
「分かってるよ、父さん。母さんも、心配しなくて大丈夫だよ」
「そう、なら良いけど」
「今日も、陽菜ちゃんと学校か?」
「あぁ、家が隣だからな。今日、と言うより、いつも一緒に登校してるよ」
桐山一家は、いつもの様に、明るく接し、話していた。
「そうか、俺はそろそろ出るが、武尊、遅刻はするなよ?ましてや、陽菜ちゃんを待たせるんじゃないぞ」
「分かってるよ」
「じゃあ母さん、行ってくるよ」
「はい、行ってらっしゃい」
父である桐山総司が、家を出た後、武尊も朝食を食べ終え、玄関に向かった。
「じゃあ、行ってくるよ。母さん」
「ええ、気をつけてね」
「あぁ」
扉を開けると、そこには陽菜が待っていた。
「…あ、おはよう。武尊」
「あぁ、おはよう陽菜」
二人は小さい頃から、家が隣と言うこともあり、いつも一緒に遊んでいた。幼なじみってやつだ。そして昨日も、Sword&MagicAdventureというゲームを、二人でプレイしていた。
そして二人は、登校しながら、今までの様に会話していた。
「そう言えば、昨日の武尊カッコよかったよ。あのボスにラストアタック決めに行くとこ」
「ありがとう、俺もラストアタック決めてスカッとしたよ」
「ねぇ、武尊は学校でどんなゲーム作るの?」
「そうだな、正直、あのゲームが理想郷過ぎて、何も思い浮かばない」
「そうなの?」
「あぁ」
「ふーん、まあ実を言うと、私もなんだよね」
「陽菜もか」
「うん、あ、そうだ」
「ん?」
「文化祭の出し物、一緒にゲーム作らない?」
「一緒に?」
「ええ、だって、何人で作っても、作品になればOKでしょ?」
「まあ、そうだな」
「あれ、武尊あんまり乗り気じゃないね」
「そりゃあ、昨日やったゲームが一番だからな。作れと言われても、簡単には思い付かない」
「…まあでも、今はまだ五月だし、文化祭は十月。間に合うよ」
「そうだな」
武尊や陽菜が通っている、東京都立ゲーム高等学校は、年に一度のイベントである文化祭で、生徒達がゲームを作り、それを全校生徒に見せ合うと言う行事があった。
そして、今の桐山武尊と襟川陽菜は、十七歳の同い年で、クラスも一緒。そんな二人も、文化祭でどんなゲームを作ろうか考えていた。だが二人と言うよりかは、陽菜は乗り気ではあるが、武尊はあまり乗り気では無かった。
と言うのも、Sword&MagicAdventureに出会ってから、彼はその魅力に惹かれ、あれと同等のゲームを作ることは無理と思っている程だった。
武尊はどうせ作るからには、あれを超えるゲームを作りたいと思っているが、そんな事は出来る訳がないと考えていた。
そして話している内に、学校へと着いた。そして、自分達のクラスに行くまでの間も、二人はクラスが同じと言う事もあり、話していた。
「そう言えば、武尊。例の話どうなると思う?」
「例の話?」
「うん、Sword&MagicAdventureを制作したチームの人達が、一般の人達と、私達の学校の中から、百人限定で参加できるやつ」
「あぁ、あの話か」
「ねえ、どんなゲームだと思う?」
「さあ、なんだろうな。でも、あのゲームみたく、ワクワクさせてくれるゲームなら良いな。まあ、まだ当たってないけど」
「絶対当てよう」
陽菜は目をキラキラさせながら、武尊の方を見た。
「当てようって、あれほぼほぼ運だぞ?」
「そんな事分かってるわよ。でも、当たりたいじゃない」
「まあな」
「今日のHRで発表されるのかな?」
「かもな」
二人はクラスに着き、お互いの席に着いた。
「…(あのゲームを作った人達だ、きっと凄いゲームなんだろう)」
「おーい、席につけー」
先生が来た。
「はい、皆さん気になっていると思う、例の話。その抽選結果が決まった」
「おお!」
自分か自分かと、期待に胸を膨らませる生徒達。
「このクラスからは、五名選ばれた」
「(五名か)」
「じゃあ、発表していくぞー」
「…どうせ外れる。期待するだけ無駄だな」
先生が、三名の名前を言っていき、あと二人の所、武尊はやはり気になり、聞いていた。
「襟川陽菜」
「!?」
「!(ヤッタ!)」
「(陽菜が選ばれた)」
「そして最後、桐山武尊」
「!?」
「以上だ」
「!(やったね、武尊!)」
武尊の方を見て、喜ぶ陽菜。
「…(なんだろう、期待していなかっただけに、嬉しい)」
「はい、呼ばれた人達は、帰りに先生の方から内容を話すから、授業が終わったら先生の職員室に来てください」
「はい!」
「…」
武尊は、陽菜と一緒に、新たなゲームを共にできる喜びを噛み締めていた。そしてそれは、陽菜も同様だった。
「(ヤッタ!まさかホントに当たるなんて、絶対そのゲーム、クリアする)」
「…(楽しみだ)」
そして、授業が終わり、先生の職員室へと集まった、選ばれた五名。
「よし、お前ら、せっかく掴み取ったチャンス、無駄にはするなよ」
「分かってますよ」
「そして、内容の方だが。日にちは、今月末の三十一日、このホテルに行くように。時間はお昼の十二時集合だ」
「分かりました」
「よし、解散」
解散していく者達、そんな中先生は、武尊と陽菜を止めた。
「あ、武尊、それに陽菜も」
「はい?」
「なんですか?」
「良かったな、お前ら二人共、無事通過できて。お前ら幼なじみなんだろ?大事にしろよ」
「はい!」
「それと、せっかく当たったんだ。進路の勉強も大事だが、祭りだ。楽しんでこい」
「はい」
「楽しんできます」
「あぁ。じゃあ、気をつけてな」
「はい、さようなら」
「さようなら先生」
「おう」
二人は帰っている時、あまりの嬉しさに、興奮しっぱなしだった。
「やったよ武尊、無事通過できた」
「あぁ、そうだな。楽しみだ」
「あー、早く三十一日にならないかなー」
「待っていれば、三十一日なんてすぐさ」
「そうね」
「陽菜、今日も、やろうな」
「ええ、帰ったら練習しなきゃね」
「あぁ」
二人は家に着き、またあのゲームをプレイしていた。ホテルで行なわれる一大イベントの為に、強くなった状態でプレイする為に。
二人は、当然学校の勉強もしつつ、あの世界に行って、毎日プレイしていた。
そして時は過ぎ、二〇三四年五月三十一日、当日。その日は来た。
「遂に」
「あぁ、きたな」
「えぇ、ホントにあっという間だったね」
「そうだな、皆はもう着いたかな」
「ねえねえ武尊、早く行こ!」
「あぁ」
二人は、イベントが行なわれるホテルまで、興奮のあまり、急いで向かった。するとそこには、アスタ達の姿もあった。




