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第三章 Part16

ミレイユ姫のお城から、東の森へ移動していたアスタとカイン。


二人は周りの木を巻き込みながらも、ほぼ互角の戦いを繰り広げていた。


「中々やるな、アスタ」


「お前も強いな、カイン」


「…だが」


「…」


「まだだな」


「何がだ」


「お前は強い、だが、ゲータを倒す程の力ではない」


「…」


「お前、何か隠してないか?」


「それはどうかな」


アスタとカイン、互いに構える。そして、二人は相手の方へ向かい、二人の剣が衝突した。


「…」


「…ゲータを倒したその力、見せてみろ!」


カインは遠くへアスタを蹴り飛ばした。


「っ!」


そしてカインもアスタの方へ、とてつもない速さで移動し、剣を振るう。


「っ!」


「!」


それを、何とかアスタは剣で躱し、カインを上空へ蹴り飛ばした。


「!やるな、だが、これはどうだ!」


カインは、巨大な気玉を創り、アスタに放った。


「…ふん!」


アスタは、覚醒の力を剣に少し流し、カインの放った気玉を真っ二つに両断した。


「隙だらけだぞ!」


カインはアスタの後ろへ瞬間移動し、アスタに剣を振り下ろした。


「!」


と、その瞬間、アスタは覚醒状態へと入り、白い髪に赤い瞳へと変化した。そしてカインの剣を片手で止めた。


「!その力は、まさか」


「見せてやるよ、俺の全力を」


アスタは、片手で止めていたカインの剣を、アスタから見て右にやり、宙で隙だらけのカインを、覚醒状態の力で、遠くへ殴り飛ばした。


「ウッ!」


そしてアスタは、カインの行き先へ瞬間的に移動し、次は空へ、空の次は地面へ蹴り飛ばした。


「ウワッ!」


カインは、地面に倒れた。


「…」


「っ!」


起き上がるカイン。


「まさか、お前がその力を持っていたとはな」


「…」


カインに近づくアスタ。


「ゲータと同じ力を、それに」


「?」


「あの方に近い力を」


「あの方?」


「あぁ、俺やお前、メギドやゲータが束になっても敵わないお方さ」


「…」


「まあ、お前には関係…ん」


「…」


「いや、待てよ」


アスタの方を見るカイン。


「アスタ、お前、その力、いつから使えた」


「…何でお前に教えなきゃいけない」


「いいから教えろ、お前にとっても大事な事だ」


「俺にとっても?」


「あぁ」


立ち上がるカイン。だが、その時はアスタに敵意は向けていなかった。


「…この世界の時間で言うなら、二年ぐらい前だ」


「…その力に気づいたのは」


「それも二年ぐらい前だ」


「両親は」


「なんでそこまで」


「いいから答えるんだ」


「…よく覚えてないが、病気で亡くなった」


「そうか(コイツの戦い方、まさかな)」


「さっきからなんなんだ」


「いやなに、少し気になってな」


「何がだ」


「何故ゲータが、この世界を創り、そして、お前の世界に行ったのか」


「?どういう事だ」


「俺はゲータの魔力を辿ってお前の世界に行った。だが、何故ゲータがお前の世界に行ったのか、それは知らないからね」


「…(ゲータは、俺がいたから、計画を進めたと言っていた。それはつまり、俺がいたから、この世界を創ったと言う事、でもなんで)」


「(コイツがあの力に気づいたのは二年前、そして、ゲータが消えたのも、二年前。どういう偶然だ?それに、さっきからコイツと戦ってみたが、コイツの戦い方、見覚えがある)ん?」


「…」


「なんだ、お前も考え事か?」


「!いや、考えてない」


「そうか……!」


「!この魔力」


「…(メギド…敗れたか)」


「(ユキ、それに、サオリも)」


「…」


「…どうした」


「いやなに、仲間が死んだからね」


「!メギドか」


「…知っていたか」


「あぁ」


「…なあアスタよ」


「なんだ」


「止めにしないか」


「!何を言ってる」


「俺とお前の戦いさ」


「そう言う訳にはいかない、お前がこの世界を支配する気があるなら、俺はお前を止める」


「あー、その事なら」


「…」


「もう支配はしない」


「なに、どういう事だ」


「そのままの意味さ。だが、お前の世界に迷惑をたくさんかけたからな。俺を捕まえでもすればいい」


「…」


「信じてない顔だな」


「当たり前だ」


「メギドが死んだ今、俺は目的を失った。正直支配なんて最初から興味はなかったし、俺の目的は、アスタ、お前と戦う事。その目的は果たしている。それに…」


「…」


「お前も、俺を殺すのは惜しいんじゃないか?」


「?どういう事だ」


「お前がどう思ってるかは知らんが、知りたくはないか、ゲータが何故、お前の世界に行き、この世界を創ったのか」


「生憎、ゲータから答えは聞いている」


「ほう、何て言ってたんだ?」


アスタは覚醒状態を解いた。


「俺がいたから、ゲータはこの世界を創ったと、それはつまり」


「お前がいたから、ゲータはお前の世界に来た」


「そう言う事になる。だが、何で俺がいたからかは、知らない」


「なら、共に考えてはみないか?」


「考える?お前とか」


「あぁ、俺はもうこの世界の支配と言う目的は捨てる。ついでに言えば、この世界への攻撃も止めよう」


「どういう手のひら返しだ」


「俺は支配より、何故ゲータが君に拘ったのか、その方が興味がある」


「…」


「どうにも俺を信用してないな。まあ、無理もないが」


「当然だろ」


「なら、どうすれば、君は信じてくれるかな?」


「…」


「…なら、制約を決めよう」


「制約?」


「あぁ、今後、この世界への攻撃は一切しない」


カインがそう言うと、カインの溢れていた魔力が、ロックが掛かったように、抑え込まれた。


「!?」


「これで俺はもう、この世界への攻撃はできなくなった」


「…」


「これで信じてもらえたかな?」


「…信じた訳じゃない、だが、俺も無駄な戦いはしたくない。だから、お前を拘束する」


「あぁ、好きにしてくれ」


カインは両腕を突き出した。


「…」


そしてそれをアスタは、腕を拘束する拘束具を出し、カインを拘束した。


「それで、今はひとまずこれで最後にするが、アスタ、お前は誰からその戦い方を教わった」


「…独学だ」


「独学だと?」


「独学、と言うより、親友と毎日戦っていたからな」


「…そうか」


アスタは、カインを連れて、ミレイユ姫の城へと瞬間移動した。


「…!アスタさん」


「!?」


「おい、どういう事だ」


「アスタ、どうして」


「アスタさん、何故カインと一緒に」


ミユキを含め、メイ、ユウヤ、ヒナ、サキも、アスタがカインと居る事に驚いていた。


「あぁ、それは…」


「俺はもうこの世界への攻撃はしない、そう制約した」


「制約」


制約と言う言葉に反応したサキ。


「あぁ、俺はもう、この世界を支配しない。牢にでも何でも入れればいいさ」


「んなこと、信用できるか」


「まあそういうな、剣士君。俺はこの通り拘束されている。ここから抜け出そうなんて、俺は考えていない」


「おいアスタ、てめーはコイツを信用してんのか」


「信用はしてない、だがコイツには、今は死なれちゃ困るんだ」


「あぁん?どういう事だ」


「それは…」


「アスタさん」


「?何だサキさん」


「アスタさんは、それで後悔はしていませんか?」


「あぁ、後悔はしていない」


「…そうですか、なら、私もとやかく言いません」


サキは、アスタの真剣な眼差しを見て、アスタを信じることにした。そして、刀を鞘に収めた。


「おいサキ、お前はいいのかよ」


「ええ、アスタさんの決めたことなら、私はアスタさんを信じます」


「サキちゃん、ホントにいいの?」


「はい、アスタさんが後悔をしていないように、私も後悔してません」


「そう、サキちゃんがそう言うなら、私も」


「アスタ、ホントに良いんだな」


「あぁ、ヒナもミユキも、今は俺を信じてほしい」


「…分かった。アスタの事だ、考え無しではないだろうからな」


「分かりました。アスタさん、でもこの事は」


「あぁ、ユキとサオリにも説明する」


「はい」


「ちっ、てめーら、アスタを信じ過ぎじゃねーのか?」


「そうかもしれないですね、でも、ユウヤも分かっているはずです。アスタさんは、信用に値する人間だと」


「ふん、まあ、コイツが悪さしたら、俺がぶっ潰す。覚悟しとけ」


「あぁ、覚悟しとくよ」


「サキさん、ちょっと間、コイツを見張っていてくれないか?」


「良いですが、何故です?」


「この世界に来た俺の仲間をここに連れてくるから、その間だけ見張っていてほしい」


「…分かりました」


「ありがとう」


アスタは、サキにカインを任せ、瞬間移動で、ユキとサオリに会いに行き、状況を説明して戻ってきた。


「…」


「あ、お姉ちゃん」


「ミユキ、良かった。無事で」


「アスタ、コイツが」


「あぁ、カインだ」


「あれ、貴方は」


「?」


「もしかして、サキさん、ですか?」


「はい、そうですが」


「私は、サオリです。貴方が、神道流を継承して下さったのですね」


「!?貴方がサオリさんでしたか」


「はい」


「私、貴方に伝えたい事がたくさん」


「ええ、ですが、それは後で伺います」


「!?そうですね」


「…アスタ、ホントに良いんだよね?」


ユキはアスタに最後の確認をする。


「あぁ。カイン」


「なんだ」


「ミレイユ姫様達は」


「あぁ、お城の地下牢にいる」


「そうか、サキさん。この世界で一番厳重な牢はどこか分かるか?」


「はい、第十九階層にある牢が、一番厳重です」


「なら、そこに案内してもらえるか。ユキとサオリ達は、お城にいるであろうミレイユ姫様達の確認に向かってくれ」


「分かった」


「分かりました」


「じゃあサキさん」


「はい」


アスタとサキ、カインは、第十九階層の牢へ、ユキやサオリ達は、ミレイユ姫のお城へ行き、ホントにミレイユ姫達がいるのか、確認へ向かった。


そして、第十九階層の牢に着き、カインを牢に閉じ込めたアスタとサキ。地上へと戻っている中、話をするアスタとサキ。


「ところでアスタさん」


「?なんだ」


「カインを生かした理由は、なんですか?」


「それは、ゲータについて知る為だ」


「ゲータ、ヒナさんから聞きました。この世界を創ったと」


「そして」


「もう一つあるんですか?」


「あぁ、もう一つは、俺について、何か分かると思ってな」


「アスタさんについて、ですか?」


「あぁ」


「(アスタ)」


心の声で、ユキから連絡が入る。


「ユキ、どうだった?」


「(ミレイユ姫様達は、皆無事だっだよ)」


「そうか、分かった」


「どうでした?」


「ミレイユ姫様も、皆無事だって」


「それは良かったです」


「あぁ」


アスタとサキは、ユキ達と合流し、アスタ達は、サキ達に、一旦別れを告げ、リアルワールドへと帰った。


「じゃあサキさん、今は帰るが、また戻ってくる」


「はい、待っています」


「うん」


リアルワールドへと戻ってきたアスタ達。青山達は司令室にいた。


「…戻ってきた」


「お、アスタ君、それにユキ君達も。終わったんだね」


「青山さん」


「?なんだい」


「実は」


アスタは、青山達に、メギドは倒したが、カインは生かした事を説明した。そして、ソウルワールドの時間加速を等倍にする事もお願いした。


「なんだって!それは、ホントなのかい?」


「はい」


「青山さん、等倍、完了です」


「あぁ、でもなんで」


「ゲータについて知る為には、カインの知識が必要と考えたからです」


「ゲータ、ソイツは、菊池が言った、ソウルワールドを創ったって言う」


「そうです」


「?そう言えば、菊池は?」


「菊池は今もソウルワールドにいます。今は気絶してるし、後で連れてきます」


「あぁ、そうか」


「それと」


「もう一つあるのかい?」


「はい」


アスタは、ユキ達がいる前で、もう一つの理由を話した。そしてそれを話し終えた後、アスタは菊池を連れて来た。そして更に、時が過ぎ、二〇三四年、アスタ達は、児童養護施設を卒業し、自立していた。就職先は、青山のいる特別チームだ。


とは言っても、アスタ達のする事は、ソウルワールドにちょくちょく行き、ソウルワールドの平和を確認したり、アスタは、カインとゲータや、自分の事について話したりする程度で、危機にさらされていない為、アスタ達のする事は、そんなに多くはなかった。


そして、アスタは、ユキと共に生活していた。最初はミユキも一緒に暮らしていたが、今のまま、姉の後ろを歩くだけではいけないと、ミユキは思い、サオリと同様、一人暮らしをしている。


そして、アスタはユキと出掛けながら、考え事をしていた。


「(あれから四年、カインと話して分かった事、それは、俺が倒さなくちゃいけない相手が、ソウルワールドとは別の次元にいると言う事、ソイツの名前は、カインに制約があるのか、答えなかった。そして、もう一つの可能性。でもそれは、あまり考えたくなかったし、誰にも言っていない、何故なら)」


「アスタ?」


「あぁ、なんでもない」


「そう、なら行こ、アスタ!」


「あぁ(何故なら、その可能性は、俺がこの世界、リアルワールドの人間ではないかも知れないと言う可能性だからだ)」


第三章 完

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