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第三章 Part15

戦いを終えたサオリと菊池。その少し前、ユキとメギドも、戦闘していた。


ユキとメギド、二人が戦っていた森は、戦いの影響で、森が森ではなくなっていた。戦いの圧で、たくさんの木が吹っ飛んでいっていたのだ。


「…」


「…」


「っ!中々しぶといな」


「…」


「だが、これでどうだ!」


「んっ」


メギドはユキに、魔力攻撃を放った。そしてユキは、その魔力攻撃を空に瞬間移動し躱した。


「…っ!」


だがメギドは、瞬間移動したユキの方に、すかさず魔力攻撃を放った。


「ハッハッハ!どこに移動しようと、この攻撃からは逃げられない!」


だがユキは、そんなメギドの攻撃を躱し続けた。しかし、躱していたユキだったが、メギドの先読みで、一撃受けてしまう。


「ふん」


「!」


そしてユキに当たったとされた魔力攻撃は、当たったと同時に、爆発した。


「ふん(ようやく当たったか。これで致命傷に……ん?いない)ヤツはどこだ」


ユキを探すメギド。その時、後ろから足音がした。


「っ!」


そう、ユキはわざと攻撃に当たり、油断したメギドの後ろへと瞬間移動していた。


そしてユキは、メギドに一撃与える為、剣に魔力を込めた。


「くっ、この!」


メギドもその攻撃を受けない為に、攻撃を仕掛けようと、手に魔力を集中させた。


「…」


「(ダメだ、間に合わない!)」


「ハァーア!」


ユキの攻撃に、メギドは魔力の貯めが間に合わず、剣の攻撃を受け、空へと吹っ飛ばした。


「ウッ、アー!」


「ハァ、ハァ」


空へと飛ばされたメギドは、一撃にも関わず、サオリが菊池に与えた時と同様、血を吐いた。


「ぶはっ!…血、だと、この俺が、負ける…ダメだダメだ!俺が負けるなんて、あってはならない!」


メギドは受けた傷によって、過去、メギドが異世界の学び舎、リアルワールドで言う所の、学校で虐めを受けていた時の事を思い出した。それは、メギドが十歳の頃、ゲータ達に会う前の事。


〈回想〉


「やめてよ」


「なんだよメギド、反撃してみろよ」


「まあ、お前じゃ俺達に逆らうなんて無理だよな」


「…」


「あぁ?なんだよその目は!」


そのいじめっ子は、メギドを蹴り飛ばした。


「ウッ!」


「おい、何してる!」


「やべ、先生だ」


「行こうぜ」


「あぁ」


いじめっ子達は去っていた。


起き上がるメギド。


「…何で、僕は虐められるんだろう。僕が反撃しないから?僕が弱いから?」


魔力量は、明らかにいじめっ子達より、メギドの方が上だったが、この頃のメギドは、その力を使う事を恐れていた。何故なら、その力を使って誰かを殺してしまうんじゃないかと思っていたからだ。いじめっ子達は、当然力ではメギドより上だと勘違いしているが、メギドは理解していた、反撃すれば、勝つのは自分であると言う事を。だが、心に優しさを持っていた頃のメギドは、ゲータ達に会い、ゲータ達に助けてもらうまでの二年間、いじめを耐え抜いた。


耐え抜けた一番の理由、それは、いじめを通じて、何も感じなくなってしまったからだった。だから、いじめを受けても、痛くもなく、別に悔しくもない、死のうとも思わない。無の状態が続いていた。


だが、その二年後。


ゲータ達に出会えた時、メギドは変わった。


それは学び舎ではなかったが、外でメギドが虐められていた時。


「…」


「なあ、コイツ何も反応しないぜ」


「あぁ、飽きてきたな」


「…」


「いっその事、もう…」


「おい!」


「ん?誰だよお前」


「俺はゲータだ。虐めなんてみっともない真似は止めろ!」


ゲータは、いじめっ子達に立ち向かっていった。


「な、なんだよコイツ」


「つ、つえー」


「虐めなんて止めろ!分かったら、失せろ!」


「!おい、行くぞ!」


いじめっ子達は逃げていった。


そして蹲っているメギドに駆け寄るゲータ。


「おい、大丈夫か?」


「…」


「…なあ、お前名前は?」


「あ、え…」


「あ、言いたくないなら、無理に言わなくていいぞ」


「…ご、ごめん」


「気にすんなって」


「…」


「…(虐めの影響で、心を閉ざしちゃってるのかな。じゃあ)なあ」


「え…」


「良かったら、俺達、友達にならないか」


「とも、だち?」


「ああ!」


「でも、…怖いんだ」


「怖い?」


「この力で、誰かを傷つけてしまうんじゃないかって、それが、怖くて」


「安心しろ!」


「え…」


「そうなった時は、俺がお前を止めてやる!」


「…!」


蹲っていたメギドは顔を上げ、ゲータの方を見た。見るとゲータは、自信満々の笑顔だった。そしてメギドは気づいた。ゲータと言う男は、自分よりも、遥かに、力を持っていると。


この男なら大丈夫だと、メギドは感じた。


「ほら」


ゲータは手を差し伸べる。


「…」


メギドも、そのゲータの手を握った。


「これからよろしくな!」


「う、うん!」


「あ、いたー」


「ん?」


「もう、カインと二人で探したわよ?」


「ここにいたのか、ゲータ」


「あれ?ゲータ、その人は?」


「ああ、コイツは」


「あ、どうも、僕は、め、メギドです」


「そう、メギドって言うんだ」


「ゲータ、それ今知っただろ」


「いや、そんな事はないぞ」


「うそつけー」


カインはゲータとじゃれついた。


「もー、二人共、何やってるの」


この少女はミユ、ゲータの恋人だ。


「なんだよミユ、お前だってゲータとイチャイチャしたいんだろ?」


「な!」


ミユは照れた。


「そ、そんな事ないわよ」


「なに照れてんだよ、ミユ」


「う、うるさいわね!」


「あ、あはは」


メギドは、そんなゲータ達のやり取りを見て、生きてきた中で、久しぶりと言っていい程、笑った。


そしてメギドは、ゲータ、ミユ、カイン達と、行動を共にしていく。


だがある時、事件が起きてしまう。それは六年後、いつも通り、ゲータ達と帰り際に別れ、一人でメギドが帰っている時。


「じゃあなメギド」


「ああ」


いつも通り帰っていた。


「…」


それを見ている。遠くの木の影に隠れていた、昔メギドを虐めていた、いじめっ子三人組。


「おい、ホントにやったな」


「ああ、バレなきゃ問題ねー」


いじめっ子達は、ある事を計画し、それを実行し終えた後だった。


そんな事なんて知らず、家に帰っているメギド。


「じいちゃん、今日は何を話そうかな」


メギドの父と母は、メギドが幼い頃、メギドが外にいる時に、何者かに家が燃やされ、死んでしまっていた。メギドは、祖父の元へと引き取られ、祖父と祖母、メギドの三人で暮らしていた。


「…?何だ…火事?……!あの方角は!」


メギドは嫌な予感を胸に抱き、急いで家に向かった。


「ハァハァ」


家に着いたメギド。だが、着いた家は、父と母の時の同じように、祖父と祖母がいた家が燃やされていた。


「ハァ、ハァ、ハァ。んっ、大丈夫、きっとじいちゃんとばあちゃんはいない。大丈夫、きっと、逃げて…」


メギドは能力で、身を守りつつ、恐る恐る家の中へと入った。祖父と祖母はきっと逃げた、家にはいないそう願い。


だが、その願いは、一瞬で消えた。


「あ、あ…」


メギドの視線の先には、火で燃やされたメギドの祖父と祖母の死体があった。


「アーーー!」


メギドは、崩れ落ちた。


「あ、あー!何で、何でじいちゃんとばあちゃんが、何で、何で!」


メギドはあまりの出来事に、気が狂った。


「あー、あー!」


そして、度重なってきた虐め、そして今回の出来事、大切な者を失ったメギドは、今までのメギドではなくなっていった。


そして、メギドの祖父と祖母の墓参りが終わり、絶望し、復讐に取り憑かれていたメギドに、ゲータ達は駆け寄る。


「メギド」


「…」


ゲータが声をかけるが、返事を返さないメギド。


「メギド…」


ミユも声をかける。


「…」


カインも声をかけようとするが、なんて言えば良いのか分からなかった。


すると、メギドは立ち上がった。


「メギド?」


「ちょっと、行ってくる」


そう言って、メギドはある所へと向かった。


「おい、さすがにやり過ぎたんじゃないか?」


「なんだよ今更、アイツが調子に乗ってたから悪いんだ」


「なるほど」


「!?」


「やっぱり、まさかとは思ったが、お前達か」


「お前、メギド」


メギドは山にいたいじめっ子達の元へと来ていた。


「お前達が、やったのか」


「なんの事だよ。証拠でもあんのか?」


するとメギドは、必要ないと思ったが、証拠と言われ、能力を使い録音していたものを、出した。


「!?」


「これが、証拠とやらだ」


「っ、それで何だよ」


「メギド、その、今回の事は、ホントに、すまなかった!」


「俺も、すまなかった!」


「おいおい、なんだよお前ら」


「…許しか、止めずそれを見ていたお前らも同罪だろうに」


すると、メギドはいじめっ子達に向かって行き、殺した。


「ハァ、ハァ、ハァ」


復讐を成し遂げたメギドだったが、殺した所で、気持ちは晴れなかった。


そしてメギドはその場を立ち去った。


後日、そのいじめっ子達の死体を、通りすがりの人が見つけ、魁平隊(ソウルワールドで言う所、ミレイユ姫の様な存在の組織)に連絡をし、犯人の特定を急いだが、犯人は特定できずにいた。


「…」


メギドは一人、黄昏ていた。


〈現在〉


その様な過去がメギドにはあった。そして今も、もう誰にも負けない為に、今この瞬間、一人の剣士であるユキに勝つ為に、メギドはユキに向けて、自身の漲っている大量の魔力を貯めた巨大な気玉を創り、ユキに向けて放った。


「っ!俺は、負ける訳には、いかんのだー!」


「…」


ユキに迫る巨大な気玉、それを斬る為に、ユキは集中した。


「……ハァーア!」


ユキも全力の一振を、気玉に放った。


するとその気玉は二つに分れ、爆発した。


「!なんだと」


「ふっ!」


気玉を斬ったユキは、空にいるメギドに向かって飛んでいき、メギドを斬った。


「ハァーア!」


「…アー!」


「…」


「俺は、こんな所で、負ける、訳には」


メギドは走馬灯を見ていた。


「こんな、形で」


虐められてきた過去、祖父と祖母を失った過去。


「死ねない、まだー、…ハァ!」


そして最後に、一人黄昏ていたメギドに、ゲータ達が声をかけてくれた時。


〈走馬灯〉


「メギド」


「ゲータ」


「お前の辛さは、俺には到底分かるもんじゃないと思ってる。でも、お前がとても辛いのは、重さは分からなくとも、気持ちは分かる」


「…」


「メギド、お前は一人じゃない!少くとも、俺やミユ、カインがいる!だから、…とても辛いが、乗り越えよう!」


「…乗り越えるか、そんな事…」


「乗り越えよう、メギド!」


「…ミユ」


「俺達がいる!」


「カイン」


「俺達が、お前を支える!」


「!」


復讐を終え、何もかも失った、そう思っていたメギドだったが、ゲータ達の言葉を聞き、メギドはもう一度、もう一度だけ、立ち上がる決意をした。


〈現在〉


「ありがとう、カイン、ミユ、そして、ゲータ」


そう言い、メギドは消滅した。


「…」


地面に着地したユキ。


「…メギド、アイツ、最期に、泣いてた」


メギドを倒したユキだったが、何か不思議な感情が、ユキの中を駆け巡った。


「アイツも、何かあった、って事だよね。……それはそうと、サオリちゃんの方は、きっと大丈夫だよね。アスタの方は……うん、大丈夫。アスタを信じよう」

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